いやー最近ずっと漕いでないのである。漕ぎたいなあ。うずうず。どうも就職活動が功を奏してきたみたいで、にわかに忙しくなってきた。連絡が取れないといけないので、なかなか旅に出れない。体もなまっているように思う。まぁ、今はきっとそういう時期なのだ。一時はなかなか仕事探しがうまくいかなくて、海岸でワカメを拾って潮干狩りでもしながら生きていこうかと半ば本気で考えていたのだけれど、どうやらその必要はなさそうな気配なのである。ありがたいことなのだ。
ぼくはこれまでミニマムパッキングを心がけてきたのだけれど、最近は少し違うスタイルもやってみたいと思うようになってきた。大きなタープとチェア。陸からアプローチできない浜で、焚き火と海の音を聴く。本を読む。カヤックに乗って海上を散歩する。砂浜でエクササイズをする。もしも別のカヤッカーが通りかかることがあれば、何か暖かいものでも出してあげる。こういうのもいいなあ。
今、窓の外では雪が降っている。おっと、今ぼくは神奈川県に来ている。それにしても盛大に降るなあ。積もりそうだ。
今朝夢の中でカヤックを漕いだ。それも、ブログで読ませていただいている他人のカヤックで、しかもぼくはアスファルトの下り坂でカヤックに乗ったまま滑り落ちるように漕いでいるのだ。ぼくはノリノリで、見事なパドルワークでクルマをよけ、くるりと反転し、リバースストロークでスーイスイ、フォワードストロークでスーイスイといった感じで、実に気分がいいのだ。あんなにうまくカヤックを漕げたことってない。フロイトならなんというだろう。フネ(女性の象徴)にのって、社会の秩序を乱しつつ(破壊の欲求)、縦横無尽に坂を滑る(オルガズム)。すなわちぼくの中に潜む未消化なリビドーを指摘されるかもしれない。自分でこう書いていて、そんなにオレはタメこんでるのかと情けなくなってしまうのだけど、違うんです。ぼくはただフネが漕ぎたい。
茅ヶ崎の海に猛烈な勢いで雪が降っている。ぼくがまだ小さかった頃、海に雨が降るのかどうか親に尋ねてみたことがある。そりゃあ降るさ、とぼくの父親はこともなげに答えてくれた。むしろ海のほうがたくさん雨が降る、陸より海のほうが広いからね、と。ひゃー、そうなのか!ぼくは仰天した。海に降る雨をぼくはまだ見たことがなかったのだ。それは想像するとなんだか不思議な光景だった。だからぼくは海に雨が降っている景色に出くわすと 今日は雪だけど 小さかった頃のことを少し思い出す。都内の交通機関に遅れが出た旨を伝えるテレビのニュースを聴きながら、海を白く煙らせる壮大な雪の景色をぼくは眺めていた。