水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

kayak dreamer

2008年01月24日 | カテゴリー外

いやー最近ずっと漕いでないのである。漕ぎたいなあ。うずうず。どうも就職活動が功を奏してきたみたいで、にわかに忙しくなってきた。連絡が取れないといけないので、なかなか旅に出れない。体もなまっているように思う。まぁ、今はきっとそういう時期なのだ。一時はなかなか仕事探しがうまくいかなくて、海岸でワカメを拾って潮干狩りでもしながら生きていこうかと半ば本気で考えていたのだけれど、どうやらその必要はなさそうな気配なのである。ありがたいことなのだ。

ぼくはこれまでミニマムパッキングを心がけてきたのだけれど、最近は少し違うスタイルもやってみたいと思うようになってきた。大きなタープとチェア。陸からアプローチできない浜で、焚き火と海の音を聴く。本を読む。カヤックに乗って海上を散歩する。砂浜でエクササイズをする。もしも別のカヤッカーが通りかかることがあれば、何か暖かいものでも出してあげる。こういうのもいいなあ。

今、窓の外では雪が降っている。おっと、今ぼくは神奈川県に来ている。それにしても盛大に降るなあ。積もりそうだ。

今朝夢の中でカヤックを漕いだ。それも、ブログで読ませていただいている他人のカヤックで、しかもぼくはアスファルトの下り坂でカヤックに乗ったまま滑り落ちるように漕いでいるのだ。ぼくはノリノリで、見事なパドルワークでクルマをよけ、くるりと反転し、リバースストロークでスーイスイ、フォワードストロークでスーイスイといった感じで、実に気分がいいのだ。あんなにうまくカヤックを漕げたことってない。フロイトならなんというだろう。フネ(女性の象徴)にのって、社会の秩序を乱しつつ(破壊の欲求)、縦横無尽に坂を滑る(オルガズム)。すなわちぼくの中に潜む未消化なリビドーを指摘されるかもしれない。自分でこう書いていて、そんなにオレはタメこんでるのかと情けなくなってしまうのだけど、違うんです。ぼくはただフネが漕ぎたい。

茅ヶ崎の海に猛烈な勢いで雪が降っている。ぼくがまだ小さかった頃、海に雨が降るのかどうか親に尋ねてみたことがある。そりゃあ降るさ、とぼくの父親はこともなげに答えてくれた。むしろ海のほうがたくさん雨が降る、陸より海のほうが広いからね、と。ひゃー、そうなのか!ぼくは仰天した。海に降る雨をぼくはまだ見たことがなかったのだ。それは想像するとなんだか不思議な光景だった。だからぼくは海に雨が降っている景色に出くわすと       今日は雪だけど       小さかった頃のことを少し思い出す。都内の交通機関に遅れが出た旨を伝えるテレビのニュースを聴きながら、海を白く煙らせる壮大な雪の景色をぼくは眺めていた。


三重県二見ヶ浦で漕ぐ

2008年01月01日 | カヤック



12月24日、三重県の二見ヶ浦を漕いできました。今回はソロではなく、ブログを通して知り合った神戸のてっさんとご一緒です。ぼくはこれまでアウトフィッターと漕ぐとき以外はすべてソロ漕ぎだったので、ちょっとワクワクです。これから少しずつ三重の海を漕いでいきたいな、と思っていたのでてっさんからのお誘いはぼくにとって大変有難いものでした。

時間が許せばテントをカヤックに積んで2~3泊してゆっくりと伊勢の島を楽しもうと思っていたのですが、年の瀬のいろいろであまり時間がとれず、結局一泊の行程となりました。23日の午後に二見(ふたみ)町に到着。誰もいない二見浦海水浴場をまずは視察。北よりの風が強いので、波が小さくチューブを作って砂浜を洗っていました。

うーむ、もう少し波を防いでくれるような出艇場所はないものかと、ジョギングをかねて夫婦岩(めおといわ)の方へ向かいました。そのまま二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)まで行き、参拝してきました。今年一年ありがとうございました。神社からほど近い海の上にはしめ縄で結ばれた夫婦岩があります。もう日も暮れようかという時間ですが観光客の方がまだ写真などを撮っています。これでは夫婦岩付近で沈などをした日にゃ、通報騒ぎになってしまいそうです。明日は風がやむといいなぁ、と思いながら車へ戻りました。

それから伊勢市駅付近のホテルに到着したてっさんと会い(はじめまして)、近所の洋食屋さんで夕食を食べました。その後ファミレスに移ってコーヒー&カヤック談義。てっさんは実にファルトに惚れ込んでいて、ぼくの知らない色々なメーカーの事なんかを教えてくれました。大変ためになりました。てっさんほどいろんなメーカーのファルトに乗り、なおかつ出艇回数も多い人ってなかなかいないのでは。そんな彼曰く、数あるファルトの中でもやはりカサラノは別格だということでした。ぼくもカサラノには、その美しさゆえに惹かれるものがあっていつか試乗してみたかった旨を伝えると、それでは明日フネを交換しませんか、ということになりました。もちろん、快諾。

翌朝、ぼくたちは8時前に二見浦で落ち合い、艇の組み立てを開始しました。あいにく波浪注意報が発令されており、午後にかけて風が強くなるとのことでした。はじめは穏やかだった海に、次第に白波が目立ち始め、出艇するころにはかなりの風&サーフになっていました。うーむ、今日はハードです。



意を決してウィスパーに乗り込みます。そして出艇。波をかぶりながらサーフゾーンを抜け、少し沖へ。気を抜くとすぐに波と平行になろうとする艇を必死のスィープで戻します。ぼくのワイドブレードパドルは風にあおられるので、それをコントロールするのにも体力を使います。今日は沈かー、と内心覚悟を決めました。それでも波風と戯れるのもそれなりに楽しいものです。後ろを振り向くとてっさんをのせたカサラノがサーフゾーンでグルンと転覆してしまいました。とてもじゃないけど今日はツーリングどころではありません。ぼくもほどなくして岸に戻りました。



その後、カサラノを借りてスープゾーンをほんの少しだけ漕いだのですが、はっきりいって初めての人がサーフゾーンを漕ぐようなフネじゃないですね、カサラノは。すごい傾きます。沈をしてもこの海況だとセルフレスキューも難しそうです。ということでぼくもカサラノ試乗は断念しました。ある意味自分の実力を教えてくれるフネですね。



インチューンパドル

風速計によるとぼくらが漕いでたときで、風速8から10mくらいありました。沖のほうはもう少しあったかもしれません。仕方がないので風が収まるのをブラブラしながら待ちました。しかし風は強くなる一方です。携帯で見てみると鳥羽のほうはここよりさらに強く、伊良湖岬ではなんと風速21mまで出てました。台風並みです。これではたとえサーフゾーンを超えて漕ぎ出したにしても、本当に夫婦岩あたりで沈しかねません。そういうわけでぼくたちは潔くカヤッキングを終えました。海の遊びですからこういうこともあります。海上にはたくさんのウィンドサーファーが、まるで色とりどりの飴玉を撒き散らしたみたいに軽快に滑走していました。

片付けを終えたぼくたちは再び車で伊勢に向かいました。いつもは観光客でにぎわうこの界隈も、さすがにクリスマスイヴである今日はほとんど人はいません。お店のシャッターも閉ざされています。そんな中をファルトに恋した二人の男が、一杯の伊勢うどんを求めてさまよい歩きました。あまり漕げなかったけどなんか充実感があります、とてっさん。同じこと考えてました、とぼく。また一緒に漕ぎましょうと、濃厚な伊勢うどんを食べながら約束を交わしたのでした。