水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

城ヶ島の南端へ

2008年11月03日 | カヤック

10月12日(土)。この晴天の日、久しぶりにぼくは一人でカヤックを漕ぎに出かけた。心温まる週末の朝の京急に乗り、終点三崎口から地図を頼りに三戸浜までテクテクと歩いた。神奈川県といえどもこのあたりは畑が多い。実にのどかである。ファルトのカートをコロコロと転がしながら畑と畑の間の道を歩いていくのも楽しい。たくさんの人が畑に出てなにかしていた(なにをしているのかよく分からない)。思うに収穫の秋なのである。



三戸浜でテキパキとフネを組み、ぼくは漕ぎ出した。夏に漕いだころと比べると随分透明度が上がったように思う。海にはヨットがたくさん浮かんでいる。遠泳するひとたちだろうか、ウェットスーツを着て団体で泳いでいる人たちもいる。少なくはあるけれどシーカヤックを楽しんでいる人たちもいる。三浦ってなんだか楽しい場所だなあ。

南を目指す。177によれば北東の風のちに東の風ということだったので、城ヶ島までいけるかもしれないと期待を抱いていた。疲れないようにゆっくりとしたペースで漕いでいった。



天気もいいことだし、日本人もノーベル賞取ったことだし、今日はなんだか楽しいのでいろいろと寄り道をすることにした。小網代(こあじろ)、油壺(あぶらつぼ)といった湾を奥へ入っていく。シーカヤックを漕いでいるとつくづく思うことなのだけれど、湾というのはいい場所である。さすがに天気がよいということもあって、たくさんの人が穏やかな海に釣り糸をたらしていた。



堤防のようなところを回り込むとようやく城ヶ島が見えてきた。オー、これが城ヶ島かー。イメージ的にもっとずっと遠くにあると思っていたのだけれど、案外近かった。ぼくは動力船のいないのを確認して、城ヶ島へ渡った。うねりがいくぶん強くなる。そのまま南の方角へ漕ぎ進めて行く。陸のほうからショウユを焦がしたような匂いがただよってきた。カヤックの上からはよくわからないけれど、人がたくさんいるみたいだ。城ヶ島というのは人がたくさんいるものなのだろうか。城ヶ島の南側はなかなかよさそうな場所であった。ぼくは何人かの人から珍しい動物を見るような視線を受けながらフネを岸につけた。





城ヶ島はぼくが想像していたよりずっとにぎやかな場所だった。いたるところに「まぐろ」とか書いてある。たくさんの人が通りをぶらついている。狭い路地にお店がズラリと並んでいる様子はまるで江ノ島みたいだ。

ぼくはハラペコだったので、一軒の食堂に入った。瓶ビールをもらい、アジのタタキを注文する。店は忙しそうに回転しており、店の若いお兄ちゃんと若いお姉さんが店内を飛び回っていた。これはきっと夫婦だろう、とぼくは想像した。女性のほうは東南アジアの人かもしれない。言葉や顔つきからぼくはそう推測した。男性のほうは、昔はちょっとやんちゃだったような雰囲気を漂わせているが、なかなかの働き者である。おやじさんと思われる人は、奥の厨房で肉厚の包丁をふっていた。厨房とビールを交互に眺めていると、まもなくおじさんのおろしてくれたアジが運ばれてきた。ぼくはまだヒクヒクと体をふるわせているアジの身を醤油につけながら、少しだけ日常からの逸脱を味わった。

アジにすっかり満足し、フネに戻った。さあ、これからどっちに行こうかと考えていたら、携帯の着信を発見。夜に予定が入った。ぼくはしばらく大海原を見て、スッカリ乾いた船をその場で畳んだ。久しぶりにウィスパーを背負い、バスと電車を乗り継いで横浜まで帰ってきたのであった。

秋のうちにキャンプツーリングをしたいな!