夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

羅漢と虎 今村紫紅筆

2012-02-13 08:15:05 | 掛け軸
本日はシミが発生した掛け軸です。掛け軸はシミが発生すると非常に厄介です。掛け軸は桐箱に収納していけば、シミやカビが発生しないだろうと思っている方が多いでしょうが、大きな間違いです。



羅漢と虎 今村紫紅筆
紙本水墨 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1250*横420 画サイズ:縦260*横350



本作品は共箱入の作品ではないので、作品の題名はあくまでも仮の題でしかありません。羅漢が描かれた作品であるのかは解りません。羅漢と虎が一緒に描かれた作品はあまり記憶にありません。



今村紫紅の作品とはいえ、ここまでシミがひどくなると価値が大幅に下がるのでシミ抜きが必要です。シミもとれるかどうかは表具師と相談しなくてはいけませんし、費用もかさみます。このような作品は作品の価値とのバランスによって、表具するなら廃棄のほうがよいという判断もあります。



いい作品ですとカビやシミが少しでも発生したら、処置を講じなくてはなりません。ただし、いい作品ほど費用がかさみます。数十万かかるのはざらですので、所持するにはそれなりの費用負担が必要です。虫干しなど維持管理していても、期間を延ばすだけで、いつかは表具までの処置が必要になります。

刀剣でもしかりです。いつか数十万の砥ぎ代金がかかります。陶磁器が一番メンテナンスが楽でしょうが、割れたら終わりです。とにかく所有者は気と金と労力を使います。

ただ集めるだけの収集家は失格です。きちんとメンテナンスができなくてなりません。

今村紫紅:(1880―1916) 日本画家。本名寿三郎。明治13年12月16日横浜に生まれる。1897年(明治30)17歳のとき松本楓湖の門に入った。98年日本美術協会展に入選、翌年から日本美術院日本絵画協会連合共進会に出品した。1901年(明治34)小堀鞆音門下の安田靫彦らと紅児会を結成、さらに巽画会にも加わって歴史画の新境地を求め、07年には岡倉天心の知遇を得て五浦の日本美術院研究所を訪れ、研究を深めている。14年インドに旅行。同年の日本美術院再興に同人として参画、その第1回展に大胆な構成と明快な色調をもち、彼の代表作となる『熱国の巻』2巻を出品した。やはりこの年、速水御舟、小茂田青樹、中村岳陵らと赤燿会を結成し、日本画の近代化になお盛んな意欲を燃やしたが、翌15年病に倒れ、大正5年2月28日、35歳の若さで世を去った。作品にはほかに『説法』『風神雷神』『潮見坂』などがよく知られている。


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