夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

游影 福田豊四郎筆 その54

2016-06-30 00:03:44 | 日本画
日本画にとってこの梅雨時は湿気対策が重要です。男の隠れ家にエアコンが必須となります。郷里に隠れ家にもエアコンが装備されました。扉を開けて、除湿のフル回転です。



掛け軸でろうと額装であろうと湿気は大敵です。

本日は早朝より日帰りで新潟まで・・。さて本日は福田豊四郎の作品「その54」です。

游影 福田豊四郎筆
絹本着色額装 軸装を額装に改装 共板付黄袋タトウ入
全体サイズ:横708*縦635 画サイズ:横*縦(10号)



故郷の風景を描いた作品が多い福田豊四郎ですが、動植物の作品がもうひとつの真骨頂と思います。決して写実的ではないのですが、実に愛情あふれた観察眼で描かれています。



色彩も見れば見るほど引き込まれていきます。この描写力は晩年になるほど見事に開花されているようです。



犬、蛙、鮎などの作品に優品が多いようです。



福田豊四郎の作品には決して手抜きがなく、その愛情豊かな表現はその人柄そのものです。



なかなか入手しずらい画家ですが、今後も小作品を中心として蒐集を続けたいと思います。



ところで地元では最近作品が多く売りに出され始めたような情報もありますが本当でしょうか?



共板の印章・落款は他の所蔵作品「鮎」、作品は「富士」と同一のものです。福田豊四郎の贋作の中で印章まできちんと本物と寸分違わずに作られたり、手書きされたものはまだ見ていませんので、印章は本ブログの作品を参考にされると良いかと思います。



ネットオークションなどには贋作が数多く最近出品されていますので、このあたりをよく見極めるといいでしょう。ただし、初期には印章の種類は意外に多いですが、戦後からはかなり限定された印章の作品が多いようです。

  

掛け軸であった作品をなんらかの理由で額装にした作品と推察されます。その際に共箱の題名や落款・印章部分を額やタトウ(額を入れておく保存箱)に組み入れたものを「共板」と称します。保存するタトウ(箱)をこのように細工するには特注で製作する必要があるため、費用がかかるのでここまでして保存している作品はなかなかありません。



掛け軸から額装に改装する場合はこのように共板を額に仕舞い込むか、タトウに仕舞い込むかしかありません。湿気の多い日本では額装にすることが多くなりました。思文閣に掛け軸の上村松園の作品を染み抜きを依頼したときには今後は額装が条件でした。

ただ額装が湿気に対して安全かというと決してそうではなく、かえって危ないことがあります。額内部に湿気がこもりやすく、一度カビが発生するとすぐに画面がやられますので非常に厄介です。その理由から上村松園の作品を額装にするのはお断りしました。

日本画の保存は本来方法については掛け軸がベストだと思いますが、飾る場所が限定されてますので、額装にしてもいいのでしょうが、やはり保存には湿気対策が必須です。



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