夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

おもしろき作品 虎図 伝佐伯岸礼筆

2019-07-11 00:01:00 | 掛け軸
本ブログでもたびたび紹介している佐伯岸駒に始まる岸派の作品では、なんといっても虎の絵が群を抜いて出来の良いものがあります。本日紹介する作品は当初「岸岱」作として出品されていましたが、当方の判断では岸派の二代目岸岱の次男「岸礼」(岸駒の孫、岸岱の次男)の作であろうと推察しています。

虎図 伝佐伯岸礼筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 杉箱
全体サイズ:横610*縦1880 画サイズ:横470*縦1305

佐伯岸駒の作例に近い珍しい作品だと思いますが、あくまでも「伝」としておきます。



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岸礼:(がんれい)文化13年(1816年)~明治16年(1883年)5月24日)。江戸時代後期から明治時代の岸派の絵師、日本画家。姓は佐伯、名は持豊、持礼。字を士(子、仕)弟、号に雪峰、化鵬、北鵬、白雲館など。官名から岸大路左近将監と称した。

岸派の二代目岸岱の次男(岸駒の孫、岸岱の次男)。として現在の京都市内で生れる。父について岸派の絵を学び、安政度京都御所の障壁画製作のため禁裏絵所に出仕して近衛府官人となり、左近衛府下野守に任じられ、さらに左近将監に昇進した。『平安画家評判記』には「何も角にも出来升」とあり、一定の評価を得ていたことが窺える。明治維新後に東京に移住し、当地で没した。墓所は本禅寺。

画風は、岸派の個性的な筆法を更に力強くし、濃墨をふんだんに使った強い調子の作品と、四条派風の温雅な草花図などが残っており、画域に幅があったと見られる。

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岸礼の「虎」を描いた参考作品は下記の作品があります。



落款の比較は下記のとおりですが、朱文白長方印「枕流」については不明です。この印章の詳細が不明なことも「伝」の理由のひとつです。

 

虎で有名な岸派の創始者は言わずと知れた佐伯岸駒ですが、岸礼はその3代目ということになります。やはり歴代の岸派の画家は虎を描いています。



代が下ると画力は低下しているようですが、明らかに岸駒の影響を受けている画風を遺しており、岸派の虎の作品の中では佳作と言えるでしょう。



しかも少しながらありますが着色されている作品は貴重と言えるでしょう。



改装すると見栄えが格段に良くなりそうです。また費用が嵩む



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