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夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

白藤之図 渡辺省亭筆 その19

2018-04-11 00:01:00 | 掛け軸
昨夜は上野の中華料理店で同僚らと一献。

先週末は本ブログに出品されている木島桜谷の作品が、東京・泉屋博古館分館にて、生誕140年記念特別展『木島櫻谷』が、2018年2月より開催されているので家内と息子の三人で観に出かけてきました。息子の目的は途中の食事とお菓子、そしてお目当てのおもちゃ・・。久々に都会のムードを愉しんできました。



展覧会そのものはいい作品ばかりで堪能できるものでしたが、蒐集する側にはあまり大作ばかりでは意外につまらないものでした。ただその中には思文閣のカタログにて販売されてた作品がありました。「もう美術館で展示されているの?」という驚きもありました。「りすを描いた作品」ですが、説明文も当時の販売目録のまま・・・? おそらく美術館で購入したものと推察してきました。



「2013年に開催された回顧展をきっかけに、その後知られざる作品が続々と見出され、再評価の気運が高まっている。」という説明・・
「画業のなかで、最も高く評価されたのが動物画です。」という説明ですが、どうも動物画は竹内栖鳳のコピーをみているようでした。

本ブログで紹介した木島桜谷の動物画の作品には下記の作品があります。

狗 木島桜谷筆
絹本着色絹装軸 共箱 
全体サイズ:横*縦 画サイズ:横268*縦1110

 

寝ている子犬がとても可愛らしい作品です。



早々に観るのは息子と共に止めて図録を購入しました。役に立つのは図録くらい・・。竹内栖鳳、橋本関雪、山元春挙、京都画壇の成り行きのようなところがあります。やがて京都画壇は行きづまりましたが・・・。

蒐集対象側から観ると木島桜谷の真髄は風景画でしょう。再評価されるべき画家には相違ありませんが、美術館の説明はビジネスワークですので鵜呑みにしてはいけません。展示作品ではなく、画家全体像を観なくてはいけませんね。

本ブログで紹介した木島桜谷の風景画の作品には下記の作品があります

急灘 木島桜谷筆
絹本着色軸装 軸先象牙 共箱 
全体サイズ:横560*縦2070 画サイズ:横420 *縦1280



さて本日紹介する作品は、同じく近年見直そうという機運のある渡辺省亭の作品の紹介です。この画家の真髄は間違いなく花鳥画です。

白藤之図 渡辺省亭筆 その19
絹本水墨着色軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:縦1695*横805 画サイズ:縦670*横655



渡辺省亭の作品の中では大きめの作品となりますが、実に品の良い作品です。これほどの大きな画面に藤の花だけの単品を描いた作品は渡辺省亭の作品では稀有です。

*床の壺は室町期の古備前壷です。



実に品の良い作品に仕上がっています。渡辺省亭は最近の再評価の機運のある前からの当方の蒐集対象の画家ですが、出来不出来の作品も多くあり、選択しつつようやく20作品近くの作品数になりました。それでも当方で気に入っている作品は3作ほどです。



箱書きなどはありませんが、渡辺省亭の真作と判断しています。作品中の落款は「四季の花鳥 十二幅」の箱(印章のみ)に押印されたもの、当方の所蔵作品「三日月ニ木菟図」、「菖蒲白鷺図」、「梢上双禽図」らの朱文白楕円印(二重印)と同一のようです。



春には各所で藤の花が見どころになっています。



花言葉は「優しさ」「歓迎」「決して離れない」「恋に酔う」だそうです。日本では古くから、フジを女性に、マツを男性にたとえ、これらを近くに植える習慣があります。そうまるで振袖のようで外国人にも人気の花です。



渡辺省亭が藤の花を描いた作品では下記の作品が代表作品でしょう。

「四季花鳥図」4幅対のうち「夏(藤・鯉・金魚)」( クラクフ国立美術館所蔵 明治24年 1891年)。



迎賓館赤坂離宮の花鳥の間 「駒鳥に藤」(無線七宝)。



和洋を合わせた色彩が豊かで、新鮮、洒脱な作風を切り開いた画家と評されています。



春めいた花の季節、少しの間床の間に飾って愉しんでいます。このような愉しみ方は雑踏のような美術館では絶対にできない贅沢なひとときです。美術館では本来の絵の楽しみ方はできないと改めて痛感しました



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