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夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

游鯉図 鈴木華邨筆 

2020-02-04 00:01:00 | 掛け軸
初釜のために幾つかの道具類を男の隠れ家から輸送しましたが、下記の写真の「(古)伊万里錦手草花文染付捻八角鉢(20客揃)」が3個ほど破損しました。自分で補修できる範囲の破損でしたので現在修理中です。骨董の整理はモノづくりにて自分でできるものは自分ですることは大いに必要なようです。



本日は初めて本ブログで紹介される画家の紹介です。逸翁こと小林一三氏が高く評価していた画家でもあります「鈴木華邨」の作品の紹介です。

游鯉図 鈴木華邨筆 
絹本水墨軸装 軸先 岡田華筵識箱
全体サイズ:縦1990*横500 画サイズ:縦1080*横380



展示室に飾っていますが、鯉の作品も多くなりました。ちょっと太めの鯉ですね。



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鈴木 華邨(すずき かそん):安政7年2月17日(1860年3月9日) ~大正8年(1919年)1月3日)。明治から大正にかけて活躍した日本画家。名は茂雄、通称は惣太郎。

華邨は号で、しばしば華村とも表記されるています。別号として「魚友」、「忍青」を用いています。はじめ容斎派の人物画を学びましたが、のちに四条派から土佐派や浮世絵の要素を加えた独自の画法を立ち上げ、特に花鳥画に優れた作品を遺しています。20世紀初頭ヨーロッパで北斎以来の日本画家とされ、もっとも知られた日本画家と称されました。逸翁こと小林一三が評価していたため、大阪府池田市の逸翁美術館にまとまって収蔵されています。



*本作品に鑑定書している「岡田華莚」は、鈴木華邨の作品の鑑定によく出てくる画家ですが、詳しい来歴は不詳です。

岡田華莚(おかだ かえん);1864年(元治元年)生まれ。東京の画家。本名・直次郎。光琳、梅逸、容斎等を研究した。

小林 一三(こばやし いちぞう):1873年(明治6年)1月3日~1957年(昭和32年)1月25日)。日本の実業家、政治家。阪急電鉄・宝塚歌劇団・阪急百貨店・東宝をはじめとする阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の創業者。美術蒐集家。号は逸翁、別号に靄渓学人、靄渓山人。旧邸雅俗山荘は逸翁美術館。
 日露戦争後に大阪に出て、鉄道を起点とした都市開発、流通事業を一体的に進め、六甲山麓の高級住宅地、温泉、遊園地、野球場、学校法人関西学院等の高等教育機関の沿線誘致など、日本最初の田園都市構想実現と共に、それらを電鉄に連動させ相乗効果を上げる私鉄経営モデルの原型を独自に作り上げた人物。

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本作品は墨一色で描かれた作品ながら、その卓越した描写力は並々ならぬ力量が感じられる作品です。



綿密な描写で絵画を描き、写実的な繊細な筆遣いで美しい作品を描いています。



鈴木華邨は日本画の大家として高名でいながら、美術界の発展のため教育者としても大きく貢献しています。1898年に日本画界の結成に参画し、日本美術院の創設で評議員となったり、自ら門下を集い、数々の画家を美術界に輩出している教育者としても一流であったと評されています。著名な門下には梶田半古がおり、鈴木華邨とは最も親しく、梶田半古の長男光雲を弟子入りさせています。



日本の美術界をけん引し続けた鈴木華邨であり、彼の功績は今の美術界の発展には欠かせない重要な実績なのですが、惜しむらくは現在は忘れ去られて画家のひとりと言えるかもしれません。



上下の作品は版画ですが、人物画も基礎から学んでいる鈴木華邨だけに、その一人一人の表情から個々の心情が伺い知れるような描写力は抜きんでています。

とくに上の作品は木版口絵で描かれている作品「春のや主人」ですが、怨霊に怯える物が茶坊主を刺殺する場所が描かれる大胆な作品で、その繊細ながら大胆な色彩の鮮やかさが、悲惨な状況でありながらも華やかな印象を与える秀作のひとつです。



最近の関連する展覧会には下記のものがあったようです。チラシの左下の犬の描写もかわいらしくていいですね。



鈴木華邨・・・、渡辺省亭が再評価されたように、今後再評価されることを願わざる得ません。



菊池容斎、渡辺省亭、松本楓湖、そして鈴木華邨・・・、菊池容斎の門下の画家が本ブログに揃いました。



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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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掛け軸 (春蘭)
2020-02-08 09:55:55
ブログ楽しく拝読しています。
鈴木華邨は素晴らしい作家です。あまり知られていませんが、線がきれいです。
日本人の基礎教養がなくなり、掛け軸をみる目が無くなる事はさみしいかぎりです。
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鈴木華邨 (夜噺骨董談義)
2020-02-09 21:19:26
ブログをご覧いただいているとのこと、感謝申し上げます。
鈴木華邨の作品はいつか投稿したいと考えていました。まだまだ取り上げたい画家は多いのですが、基本は蒐集されている作品があることが前提なのでなかなかままなりません。
日本人の生活から掛け軸が徐々に消滅していくのは寂しい限りですね。
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