夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

再考 鐘馗図 橋本雅邦筆

2017-11-21 00:01:00 | 掛け軸
10月31日放送の「なんでも鑑定団」に小橋川永昌(二代目「仁王」)の「赤絵壺」の作品が出品されていました。「どこかで見たことあるな。」と思い、収納部屋のある未整理の作品から探し出してきました。



義母が帯の布地で刀剣の保存袋を作ってくれた残りの端材で、作品の敷布を作ってくれましたので、その上に載せて撮影しましたら、おかげさまで作品がとても豪華に見えます。

どうもこの作品は正式には本ブログで紹介していなかった・・??



この図柄は壺屋焼ではよくある図柄で、本ブログでの紹介したように詳細な解説もあります。またネットオークションにもたびたび登場しているようです。



中島誠之助の番組での解説には「赤と緑と黄色と青、躍動していて生命力が溢れる。踊っているように感じる。雲形にとった窓絵の中に雲竜文と山水文を描いて、地紋は七宝繋ぎの格子文をびっしり描いている。底には「仁王」と窯の名前が書いてあって、共箱もある。まさに郷土のお宝。」とあり、「仁王」の作品中の銘と共箱によって60万という評価金額になったのでしょうが、相変わらず一桁値段が市場で取引されている金額とは違います。



当方の作品には「仁王」の銘がありますが、共箱はありません。小橋川仁王の作品には著名になる前は基本的に共箱はなく、共箱の伴った作品は非常に少ないと思います。



番組に出品された作品は絵の描き方が晩年? 金城次郎の作品もそうですが、壺屋焼の作品群は陶工が晩年にて有名になる以前のほうが作品に魅力があるように感じるのは小生だけでしょうか?



小橋川永昌の作品をいつか特集したいと思っています。



本ブログでは沖縄にちなむ民芸作品をいくつかの作品を紹介しています。金城次郎、新垣榮三郎、そして小橋川永昌を壺屋を代表する「壺屋三人男」の特集・・、加えて浜田庄司、河井寛次郎・・・。



下記の作品は上記の作品の絵柄を彫り込んだ秀作だと思っています。



さて本日の作品は橋本雅邦の「鐘馗図」についてです。この作品はどうも真贋の判断がつかずにしばらく棚に放って置いていた作品ですが、どうもその判断が最終段階にきたようです。

この作品と同図の作品が複数存在することから、「工芸品の可能性がある。」として今までのブログでは記述していましたが、どうも真筆である可能性が高くなりました。

鐘馗図 橋本雅邦筆
絹本水墨軸装 軸先象牙 合箱 
全体サイズ:横445*縦1710 画サイズ:横330*縦835



真筆して再検討することになった契機は下記の資料を見つけたことによります。



東京美術倶楽部の最近の鑑定書が添付されてるようですが・・・。



箱書は橋本秀邦によるもので、落款からは69歳の作となっています。



本作品は落款には「押印:(「克己」の主文長方印) 行年六十五歳雅邦圖之 押印:(「橋本雅邦」の白文朱方印と「勝園」の朱文白方印)」とあり、1900年(明治33年)の作と推察されますが、明治31年(1898年)には岡倉天心が罷免され(美術学校騒動)、雅邦も職を辞し日本美術院の創立に参加していた直後の頃です。

真作と思えてきたのは、落款と印章が上記の資料と一致する点からです。左が上記の作品、右が本作品です。

 

再度確認のために展示室に掛けてみました。共箱でもなく、鑑定なども当然ついていない作品ですが、掛けていて愉しい作品には相違ありません。



以前に橋本雅邦の屏風の作品に関して売買に関与したことがあるのですが、当初の思文閣の評価金額が40万円。そこで当方でそれは安すぎると指摘をし、改めて調査したところ図鑑に掲載されていることは判明するとなんと400万円で引き取られました

真贋の判断力は己の自腹で購入し、手元に置いて、しつこいくらい資料を漁り、調べていかないと身につかないもののようです。真贋を突き詰めていくとかならずその裏には贋作にからむ人というものが存在し、人間不信になりかねず、それによって作品に対する鑑賞がつまらなくなりがちです。そこを乗り越えていかなくては真実にはたどりつかないもののようです。

本作品は真作の可能性があると判断して、本日はここまで・・・。


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1 コメント

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問い合わせ (夜噺骨董談義)
2018-06-03 04:04:10
英語による問い合わせには残念ながら応じておりませんのでご了解願います。
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