夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

分福茶釜図 倉田松涛筆 その13

2014-05-13 04:38:53 | 掛け軸
震災への鎮魂の作品。被災された方々にもこのような狸が出現しないものかと願っています。秋田の生んだ倉田松涛の傑作のひとつと思っています。

分福茶釜図 倉田松涛筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 合箱入 
全体サイズ:横570*縦2100 画サイズ:横350*縦1350



賛には「維時大正十二年龍集□陽大□□九月一日 帝京以前古今未曾有ニ一大震災後数の日鎮静記念以外下脱六縣写於北?海道巴□臥牛山麓福會南□東都牛龍之俳畫禅寺□住百三談有髪 □□陀 松濤」とあり、関東大震災の鎮静を祈念しての作品?

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分福茶釜(ぶんぶくちゃがま、ぶんぷくちゃがま):日本中で語り継がれている昔話のひとつ。文福茶釜とも表記する。タヌキがあらわれ、化けて人を騙す場面が見られる。




あらすじ
貧しい男が罠にかかったタヌキを見つけるが、不憫に想い解放してやる。その夜タヌキは男の家に現れると、助けてもらったお礼として茶釜に化けて自身を売ってお金に換えるように申し出る。次の日、男は和尚さんに茶釜を売った。和尚さんは寺に持ち帰って茶釜を水で満たし火に懸けたところ、タヌキは熱さに耐え切れずに半分元の姿に戻ってしまった。タヌキはそのままの姿で元の男の家に逃げ帰った。次にタヌキは、綱渡りをする茶釜で見世物小屋を開くことを提案する。この考えは成功して男は豊かになり、タヌキも寂しい思いをしなくて済むようになったという恩返しの話である。茂林寺の伝説ではタヌキが守鶴という僧に化けて寺を守り、汲んでも尽きない茶を沸かしたとされている。普通、物怪(もののけ)は鉄を嫌うが、このタヌキはその鉄の茶釜に化けており金の精霊たる所以を表している。




「民俗学者・柳田國男:基話の狐の恩返しを基にすれば、動物と人間との交渉を物語る昔話の根幹には<動物援助>の考えがあり、選ばれた人間に神の使いである鳥獣が富を与えるのだという。そこで動物の危機を救ってやり報恩を受けるのを見ると、動物が献身的に尽くす好意も理解できる。動物援助から動物報恩に移行する過渡的な様相を帯びた話といえる。山形県米沢市南原横堀町の常慶院にも類種の伝説が伝わっているが、こちらでは狸ではなくキツネが登場する。
その他



その他

茂林寺:狸は元の姿に戻れず、気の毒に思った茂林寺の和尚さんは、狸の茶釜を手元におき大切にしました。やがて、この茶釜は福を呼ぶと噂が広がり、「分福茶釜」と呼ばれるようになりました。
狸の口上
「いや、助かりました。実は情けないことになっちまって。山で仲間と化け比べをしたんですが、私はそこで茶釜に化けたんですが、戻れなくなっちまって…。大変なことですよ。だからあなた、ここに置いてくれませんか?」

「古道具屋さんはきいているうちに要領が悪くて損ばかりしている自分の姿が重なります。とても他人事とは思えません。似たもの同士という感じです。」

「はい。私は綱渡りが得意ですから、あなたに見世物小屋を作ってもらって、お客さんをワッと呼んで、二人で稼ぎましょうや」

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