夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

贋作考 薫風行旅 伝竹内栖鳳筆 

2016-08-10 00:01:00 | 掛け軸
畑で採れたブルーベリーを社内で配ったところ、そのブルーベリーを生かしてのケーキを女性の同僚が作ってくれていますが、本日はその第2弾。チーズ風味です。ブルーベリーと相俟って非常に美味しい。息子も大喜びでした。



ところで以前に紹介した下記の作品ですが、読書からのご指導で「希斎」という落款が作品中に記されていることが解りました。調べてみると、長野の善光寺の天井に江戸時代の天井が「希斎」という画家が描いたらしい。

蓬莱図 希斎筆
絹本水墨着色軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦2113*横504 画サイズ:縦1023*横355

善光寺金堂中陣天井には、江戸の希斎という画家によって、巨大な龍が二匹描かれているとのこと。



本作品と同一の画家かどうかは解りませんね。



本日紹介の作品は竹内栖鳳の水墨画です。ただし現時点では贋作と当方では判断しています。

栖鳳の絵の魅力は、水墨淡彩の濃淡の妙と線描の自在さにあるいっても過言ではないでしょう。

薫風行旅 竹内栖鳳筆 贋作
紙本水墨軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ縦1420*横570 画サイズ縦440*横450



「薫風」は初夏,若葉の香をただよわせて吹いてくるさわやかな南風を意味し、季語そしては夏になります。

  

竹内栖鳳は水墨の妙味について下記のように述べています。

「墨と筆の関係で生まれ出る言ふに言えない渋味、それが紙だと一層よく出る。(中略)絵を仕上げる迄の手間から言へば、紙のほうが絹より時間がかかる。あの墨のにじむ紙には私らも若い頃よわされたりしたものが。描いた時には反故の様にグチグチしているが、それが表具するとすかっとなる。底味のいいものを味わえるのは紙だ。」

 

落款などから昭和初期の作品と推察されますが、栖鳳は、1920・21(大正9・10)年の両年、春から夏にかけてのほぼ同じ季節に、中国の江南地方を訪れたており、その旅行時の風景でしょう。



円山・四条派の伝統を最も正統に継承し、西洋と東洋の絵画の特質を見極めた栖鳳。栖鳳が描こうとしたものは、自然を、自然の一瞬を、単なる風景描写ではなく、そこで暮らす人間、生きとし生けるすべての生命を内包するような自然の姿です。それが栖鳳にとっての「写生」であったものと思われます。



破墨による濃淡の薄墨で描かれた木々や下草が画面の大部分を描いていおり、伝統的な縦画面での水墨山水図を避け、横幅で描くことで、画趣に富む水郷風景を表現しています。



参考作品
墨蹟資料目録 「和の美」第490号 作品NO13「水墨山水図」より



本作品は、真作を模倣した作品ではないかと思われます。全体によく描かれており、離れてみると実に味わい深い作品ですが、どうも・・・・。こういう作品を飲み込むのも人生の味わいでしょう。




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