夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

藤井達吉 作品2点 紫陽花 & 樹木 (その39&40)

2024-03-15 00:01:00 | 掛け軸
印章も落款もない2作品ですが、明らかに藤井達吉の作品と当方では判断しています。



両作品ともに飾っていて愉しくなる作品です。



まずは紫陽花を描いた作品です。

紫陽花 藤井達吉筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1180*横490 画サイズ:縦280*横445



藤井辰吉は近所の方々との付き合いの中で、作品を多々あげていたようです。「野菜を持って行った時に水墨(画)をお礼に描いてくれた。」というエピソードもあります。



昭和25年から31年まで碧南市の道場山に住んでおり、故郷で藤井達吉の生活を支えたのは、碧南市民をはじめとする藤井達吉を敬愛する人々であったようです。

本作品は出来の良い作品です。紫陽花に金彩を施しています。



藤井達吉は昭和になってからは、軸足は次第の中央から離れていきます。また大きな展覧会に作品を出品することもほとんどなく、画商に作品を売り込むこともしませんでした。



そのため記録が少なく、活発な活動に比して近代美術史で取り上げられることも少なかったですが、ここ最近では藤井達吉の業績が見直されています。

藤井辰吉は転居を繰り返していたので、住まいがしばしば変わりましたが、後半生は郷里での後進の指導に重きを置いていたようです。瀬戸の陶芸や小原の和紙工芸の現在の発展の基礎は藤井達吉のよるものと言っても良いと評されています。

*良い表具材を使っていますね。



その郷里で日々の中で、このように落款も印章もない作品が数多く遺されてのでしょう。



もうひとつの作品は文人画的な作品です。

樹木 藤井達吉筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先陶器 合箱
全体サイズ:縦1300*横640 画サイズ:縦305*横610



なにかの樹木を描いたのでしょう。



こちらも良い表具の誂となっていますね。



踊るような枝ぶりに垂らし込みのような描き方・・。



簡素な中にも品格があります。



描けそうで描けない・・。



シンプルな表具が実に良い。これらの誂えから藤井達吉の作品と断定できますね。



名もなき作品は今後どのように評価されていくのだろうか?



現代は掛け軸が全く評価されていませんが、また見直される時期がくる・・・、そう信じていますが、評価がどうであろうといいものはいい。

ところで「現代のエグゼクティブは美を学べ」という通説・・、世の法律も規定も追いつかないほど、コンプライアンスが重視される現代の世の中で、自分の美的感覚でものごとの良し悪しを判断することが重要らしい。業界の常識が世間一般では非常識という感覚、思い当たるふしが多々あると思いませんか?  それゆえ エグゼクティブは美を学び、この世で美しいことを自己判断しなくてはいけない時代という説・・。とくに政治家たちには必要かもね。






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