太田知子の いきいき!健康長寿

健康医療ライターで介護予防インストラクターの太田知子が介護されない体づくり、若さと元気をキープする方法について語ります。

おひとり様の介護とお金

2014年08月29日 | 健康 女性 介護予防

東京交通会館ビル9階のオヤノコトステーションで一昨日、オヤノコトセミナー「おひとり様の介護とお金」が開かれた。講師は相続診断士・ファイナンシャルアドバイザーの本田典子さん。本田さんは、おばあ様やお母様の介護経験を生かし、ヘルパー1級や相続診断士などの資格を取り、ファイナンシャルアドバイザーとして介護や相続、上手なお金の増やし方などの相談にのっている。

 

この日は中高年の女性を中心に、30代くらいの若い女性から最近妻を亡くしておひとり様になったという70代くらいの男性まで、十数人が参加し、本田さんの話に耳を傾けた。

 

日本人の平均寿命は延び続け、今や男性が80歳、女性が86歳。今後さらに延びるだろうと推測されている。

そして、誰もがいつか、おひとり様になる可能性が高まっている。

 

では、おひとり様の老後に必要なお金はどれくらいか?

総務省家計調査(平成21年)によれば、持ち家なしのおひとり様の老後の生活に必要な額は月20万円だとか。

90歳まで生きるとすると、60歳以降に必要な額は20万円×12か月×30年=7,200万円になる。

 

えっ、そんなに必要なの? 改めて数字で示されるとびっくりする。

でも私の場合、これまでの経験から、質素に暮らせば月15万円以内で暮らしていけると思っている。

とはいっても、15万円×12か月×30年=5,400万円。年金ではとても賄えそうにない。

では、どうすればいいの?

 

本田さんのアドバイスは①おひとり様、特に女性は何があっても仕事を辞めない②できるだけ正社員③資格を生かす④ライフプランを作成し、自分の置かれた状況を客観的に知る⑤収入の確保を考える、の5つ。

「ライフプラン」を立てるには、エンディングノートを書いてみるのがお勧めだとか。

「エンディングノートを書いてみると、これから先、自分の生き方をどうしたいかが見えてきます。書けないところがあれば、それが個人の問題点になります」と本田さん。

 

エンディングノートなんて、まだまだ必要ないと思っていたが、決してそうではないらしい。

 

では、おひとり様の介護は、自宅と施設、どちらがいいのか? 

本田さんのお母様は現在86歳。体のあちこちを手術され、認知症を患っている。費用が安い特別養護老人ホームはどこも満杯で、要介護度が高くないと入所できない。

そこで、有料老人ホームへ入居されたが、入居金が100万円で月額利用料が40万円かかったとか。1か月40万円ということは年間500万円。2年で1,000万円かかったため、とても払いきれず、1か月26万円の別の有料老人ホームへ転居されたそうだ。

 

確かに有料老人ホームは利用料が高いが、月40万円というのは驚いた。きっと、よほど豪華か都心にある老人ホームなのだろう。郊外に行けば、月20万円以下で入れるホームはたくさんあるのだが・・・

 

では、自宅で介護を受ける場合はどうか。公的介護保険を利用すれば、1割負担でホームヘルプサービスやデイサービスなどを利用できる。

最も重い要介護5で、サービス利用限度額は月35万8300円。自己負担はその1割なので3万5830円。施設介護に比べ、費用はかなり安く済む。

ところが、介護保険のサービスは介護する家族がいるのを前提に作られているようなところがあり、おひとり様の場合、介護保険のサービスだけでは不十分だ。

サービス利用限度額を超えた部分は、全額自己負担になるので、その分をプラスして考えなくてはならない。

 

自宅か施設か。

私の場合、今から介護されない体づくりに励み(努力次第で介護リスクを減らすことは十分可能である)、極力、介護される期間を短くする。

どうしても介護が必要になったら、施設で介護を受けたいと思う。

 

この日のセミナーでは、生命保険会社が販売している介護保険の紹介もあった。

公的介護保険では現金給付はないが、民間の介護保険は要介護と認定されればまとまった金額が受け取れる。

「給付金を有料老人ホームの入居金として活用することもできますよ」と本田さん。これまで民間の介護保険に入ることは考えていなかったが、検討する価値はありそう。

早速、パンフレットを取り寄せてみようかしら。