太田知子の いきいき!健康長寿

健康医療ライターで介護予防インストラクターの太田知子が介護されない体づくり、若さと元気をキープする方法について語ります。

老人会で介護予防を指導

2014年05月24日 | 介護保険

青梅市の滝ノ上自治会館で今日、老人会「滝和会」主催の「介護されない体づくりと歌の会」が開かれ、講師を務めた。

 

昨年8月に行った会が好評だったらしく、また今年も依頼されたのである。

 

参加者は60代~80代の男女30人ほど。車いすで来てくれた人もいる。

滝和会の会長さんがとても若々しくてびっくりした。

 

まず話したのは高齢者をめぐる医療や介護事情。近年、高齢者の医療費が急増して国民健康保険(国保)財政が危機に瀕している。きのうもNHKの特報首都圏でこの問題を取り扱っていた。

 

国保の運営者である市町村は国保の赤字分を補うため、教育費や子育て支援など住民サービスを削らなければならない状況に陥っているという。

 

介護費用も年々増加している。介護保険が始まった2000年の要介護者数は218万人だったが、2010年には500万人を超え、2013年には580.7万人になった。2025年には720万人になる見込みで、介護費用は21兆円にのぼるという試算もある。

 

日本は今後、医療費用と介護費用が増え続け、沈没してしまうかもしれない。そうならないためには、「健康長寿」を実践することだ。

 

今、日本人の平均寿命は男が79.94歳、女が86.41歳。

ところが健康寿命は男が70.42歳、女が73.62歳。

医療や介護が必要な期間が男は約9年、女は約13年もある。

この期間をいかに短くするかが大きな課題である。

 

現在介護されている人はどんな原因で介護が必要になったのだろうか。

国民生活基礎調査によると、介護が必要になった原因の第1位は脳血管疾患、2位は認知症、3位は高齢による衰弱、4位は関節疾患、5位は骨折・転倒と続く。

 

そこでまず、参加者に脳梗塞の兆候がないか、簡単なチェックをしてもらった。3位~5位は運動器に関することで、ロコモティブシンドロームに関係する。

そこで、片足立ちテストをしてもらい、ロコモになりかけていないかをチェック。皆さん、真剣な表情で取り組んでくれた。

 

後半は健康長寿のための腹式呼吸法を指導。

発声練習をした後、「七つの子」「茶つみ」「ふるさと」「知床旅情」の4曲を皆で歌った。

その際、驚いたことがあった。

「ふるさと」の歌の出だしは「ウサギ追いし・・・」で始まる。

すると参加者から「小学生の時、ウサギ狩りをしたことがある」との声。昭和10年代後半、青梅第1小学校では学校行事でウサギ狩りをしていたそうだ。

 

明治天皇が聖蹟桜ヶ丘にウサギ狩りに来たという話は聞いていたけれど、昭和に入って青梅でウサギ狩りが行われていたというのは初耳だった。

会場はしばし、ウサギ狩りの話で盛り上がった。

 

最後に、認知症予防をテーマにした「お座敷小唄」の替え歌を皆で歌ってお開きに。

あるお寺の和尚さんが作った歌だそうで、「なるほど」とうなずける内容である。

6番まであるが、ここでは1番と3番を紹介したい。

 

 1.何もしないでボンヤリと

   テレビばかりを見ていると

   のんきなようでも年を取る

   いつか知らずにボケますよ

 3.お酒も旅行も嫌いです

   歌も踊りも大嫌い

   お金とストレスためる人

   人の2倍もボケますよ

 

帰宅後、役員の一人からメールがあった。

参加者の一人がわざわざ役員の家にやってきて、「今日はとっても楽しかった」と言ってくれたそうである。

よかった!

今日を機に、楽しく介護予防に取り組んでくれたら、こんなうれしいことはない。


羽村草花丘陵で出会った草笛おじさん

2014年05月17日 | 健康長寿 介護予防 ウォーキング

新緑がまばゆい季節がやってきた。

山歩きには最適なこの時期、家の中に閉じこもっていてはもったいない。

 

先日、羽村草花丘陵に登ったら、不思議な音色が聞こえてきた。

ピーピーと少し濁った音色は、楽器のような鼻歌のような・・・

 

丘陵の最高地点の浅間岳(235m)の頂上に立った時、その正体が分かった。

一人のおじさんが草笛を吹いていたのだ。

 

音がやんだとき、すかさず「こんにちは」と声をかけ、「草笛、上手ですね」と言うと、その草笛おじさん、にっこり笑って、手の中の葉っぱを見せてくれた。

そして、「柔らかい葉っぱより、弾力のあるしっかりした葉っぱのほうが、よく音が出るんだよ」と教えてくれた。

同じように私も葉っぱを唇の間にはさみ、吹いてみるが、少しも音が出ない。

 

このおじさん、中村さんという方で、年齢は何と85歳だという。

自宅が丘陵の下にあり、丘陵に登るのを日課にしているとか。

そして、浅間岳の頂上で草笛コンサートを開いているそうだ。

 

アップダウンのある丘陵を毎日歩いて足腰を鍛え、草笛を吹いて心肺機能を高めている中村さん。

健康長寿は1日にしてならず。毎日の積み重ねが大事なのだ。

 

あの草笛おじさんに会いに、また羽村草花丘陵に登ろう!


年金制度がつくり出す格差社会

2014年05月11日 | 日記

今日、NHKの日曜討論で田村厚生労働大臣と3人の学者が年金問題について議論していた。

日本の年金制度について知れば知るほど、なんて不公平な制度なのだろうと思えてくる

不公平というのは世代間の不公平と、年金の種類による不公平だ。

まだある。専業主婦と働いている主婦の間の不公平。

専業主婦は第3号被保険者として、保険料を納めなくても年金がもらえるという不思議。

 

現在、厚生年金や共済年金をもらっている70代80代は現役時代の手取り収入の約6割をもらっている。

たとえば、50万円の月給をもらっていた人は月額30万円もの年金をもらっているのだ。働かなくても毎月30万円が入ってきて、それが亡くなるまで永遠に続くのだから、受け取る年金総額は納めた保険料の何倍にもなる。

 

ところが、今の若い世代は汗水たらして働いても、月収が20万円に満たない人も多い。

その少ない収入から年金保険料を真面目に納めても、将来もらえる年金額は納めた額より少なくなるのは間違いない。

 

年金制度は働けなくなった高齢者を現役世代が支える制度だが、支える方が貧しくて、支えられる方が裕福だなんて、おかしいではないか

 

今日の日曜討論で、ある学者が「基礎年金部分には税金が使われている。高額な年金を受給している人には、基礎年金部分を遠慮してもらうということを政府は議論しているか?」と質問したら、「そのようなことは議論していない」と答えていた。

 

裕福な高齢者には税金を使ってますます裕福にし、貧乏な若者にはますます負担を強いる

これでは少子化になるのも当然だ。

少子化は、若者を冷遇し高齢者に手厚くしてきたこれまでの政策の当然の結果ではないだろうか。