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腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

バイオハザード4 Wii edition  前編

2008年12月14日 16時43分27秒 | Wiiゲーム感想文
7年前、期待の新ハード・NGCの発売前、カプコンの発表会が催された。

「今後、バイオハザードシリーズはGCに独占供給します!」
「最新作『4』ももちろん独占供給です!」


シリーズ生みの親として知られる三上真司自らが大々的に発表。
その傍らにはゲストとして宮本茂の姿もあり、この発表が
任天堂にとっても非常に重要であることが見て取れた。

しかし、カプコンは過去「コード:ベロニカ」にて同様の
独占宣言をするも、後に実質的に撤回するという醜態を晒している。 
当然「本当に約束を守れるのか?」という疑念が突きつけられた。
が、三上氏はそんな声を一蹴した。

「もし嘘だったら腹を切ります」

……ちょっと今ソースが2ch以外から取れなかったが、
確かに当時、そう言っていた記憶がある。切腹である。切腹。
もちろん本気でそんなことをする気はなかったに違いない。
つまり、本気で独占供給する気でいたのだ。

その後、「アウトブレイク」がPS2で発売された際は
「独占供給はあくまでナンバリングタイトルに限る」
という苦しい弁明をしていたが、まぁ一応理屈は
通っているので、この件は不問でいいと思う。

だが、ユーザーの不安は募っていった。
「もしかして独占撤回があるのでは?」。
発表会から数年が経ったが、GCの販売台数はちっとも
伸びず、世界規模ではPS2どころかXBOXにも負ける有様。
反対にPS2は正に無敵の快進撃を続けていたのである。
4の前に発売された「0」「リメイク1」の販売本数も
思ったより伸びず、ますますGC独占は怪しく感じられた。



そして、発表会から3年後、待望のGC版4の発売前。

「4をPS2に移植します」





はい、やっちゃった。
この後三上氏は雲隠れ同然にメディアから姿を消し、
久しぶりにファミ通に登場したのは、なんと去年の4月。
ホトボリが冷めるまでにそれだけの時間を要する大失態だったのだ。

まぁ独占撤回は三上氏じゃなく会社上層部の判断だろうし、
当時はGCがあんなに売れないとは予想しにくかったから、
同情すべき部分もあるかもしれない。
が、そんなの基本的にユーザーには関係ない。
「バイオハザード4」はゲーム史に残る大裏切りタイトルとなったのであった。


……ちなみに現在怪しい雰囲気が漂っているのが、
「モンスターハンター3」だ。GCと違ってWiiの販売は好調だが、
対応ハードとしての適性はどう考えても他の2機種の方があると思う。
今回も、何かしらやってしまうのではなかろうか。
そもそもPS3版を発売中止にしてハード替えした時点でやっちゃってるんだよな。
モンハンはPS系でしか出てないし、PSPで大ブレイクしたシリーズなんだから、
普通にPS3で出せば十分売れたと思うのだが。
まぁカプコンの動きをのんびり楽しませてもらいましょう。



で。
発売前に思いっきりケチが付いてしまったバイオ4だが、
ゲーム内容に関しては非常に高い評価を受けていた。
大幅に見直したゲーム性は大成功だったのである。
製作能力については「さすが三上」であった。

GC版から約1年後、PS2版が発売。
GC版より表示される敵キャラ数が減るなどの処置がなされているが、
概ね満足のいくレベルの移植だったらしい。
と言うより、追加要素があったので、寧ろGC版より豪華だったらしい。
販売本数もGC版よりずっと多かった。
……ホント、あの独占宣言は何だったんだろうなぁ。嗚呼GC。


そして去年、(恐らく)バイオ4の最終形態「Wiiエディション」が発売。
今からプレーするならこれがベストであろうと判断し、購入した。
さて……。







俺は今まで、前作までの操作方法を「ラジコンバイオ」と呼んでいたが、
実際は4もラジコン操作だった。ごめんなさい勘違いしていました。
しかし同じラジコン操作でも、プレー感覚は全く違う。
ガラリと変わったのは、操作法ではなく視点だ。
固定の客観視点から、やや後方からの準・主観視点に変更。
これにより移動のし易さが大幅に向上し、今までと違って
「思うように動かせない」という事態がほぼ発生しない。
この視点なら、ラジコン操作でも十分に快適である。


そしてこの視点変更は、ゲーム性も大きく変えてしまった。
俺はゲーム内容については予備知識が全く無かったので、
最初の雑魚を数人倒した時点で非常に驚かされてしまった。

なんと、雑魚が弾薬を落とす。それもどうやらランダムらしい。
なんと、雑魚が金を落とす。なんと買い物・改造の概念があるらしい。

どちらも従来のバイオとはかけ離れた要素である。
特に弾薬は、決められた数をやりくりする従来の形とは全く異なっている。


こうなると、もう明らかだ。
バイオ4は、アクションゲームなのである。
アクションアドベンチャーでは、最早ない。

従来のバイオは、実はメタルギアシリーズもびっくりの、
「逃げるゲーム」だった。
もちろん障害になる敵は倒すし、そこに爽快感はあるが、
倒さずスルーできるならそれに越したことはない。
経験値や金の要素がない以上、敵を倒しても障害物除去以上の
メリットは何もない。だから逃げた方がいい。
これが今までのバイオハザードだった。

それが4では一変、アイテムゲットという敵を倒す事に対する
メリットを付加し、倒せば倒すほど有利になるようになった。
こうなれば逃げる理由はない。ガンガン倒し、ガンガンモノを得る。
結果的にそれが一番ゲームを楽に進めることにもなるからだ。

従来のバイオを貫いていたもう一つの要素「謎解き」を見ても、
今作がアクションゲームを目指したことは明らかだった。
つまり、謎解き要素がない。あるにはあるが、殆どない。
謎の難度も非常に低く、詰まる人は殆どいないだろう。
冒険中のアクセント的に用意されているだけであって、
従来のような障害ではない。
シナリオは一本道であり、カギは普通に進めていけば自然に入手できる。
「そんな事に悩む暇があったら、戦闘を楽しんでね!」
という製作者のメッセージが聞こえるかのようだ。


これは、どうなんだろう。
率直に言って、バイオ4は非常に面白いゲームである。
非常によく出来ているゲームであるとも思う。
しかし、これは「バイオハザード」シリーズなのだろうか。
ゲーム性を大幅に変えるのはアリとしても、
方向性までここまで変えて良かったのだろうか?
正直、プレーしていても「あ、これバイオだ」とは全く感じなかった。
シリーズ生みの親が渾身の力を込めて作った最新作は、
従来の作品とはかけ離れた雰囲気になっていた。
もちろん、悪い事ばかりではない。変化は大切だ。
だが、「これがバイオ?」の違和感は最後まで抜けることはなかった。



もう一つ、「これがバイオ?」と思わざるを得なかった要素がある。

「恐怖」だ。

恐怖こそは偉大なる初代の製作テーマとして掲げられた、
正にバイオハザードの肝と言える要素である。
これまでの作品も、様々な方向性の恐怖を提案していた。
恐怖なくして何がバイオか!
そう思っていたのである。

だが、4はその肝すらもバッサリと切り捨てていると思う。
捨てるは言い過ぎにしても、そこを重要視はしていないだろう。

それをすぐに感じたのが、雑魚の姿だ。
バイオの雑魚と言えばゾンビであり、ゾンビはバイオの恐怖の象徴でもある。
雑魚だからたくさん出てくるし、倒すのはまぁ簡単だが、
どれだけ慣れてもゾンビは嫌な敵である。
ゲーム的に掴まれて体力が減るのも嫌だし、見た目への生理的嫌悪もある。
「近寄って来るな!」と叫びたくなる敵がノロノロと近寄ってくる。
秀逸な恐怖の表現である。


それに対し、今作の雑魚は、舞台となる村の村人だ。
彼らは要するに寄生虫にやられて正常な判断が出来なくなって
いるのだが、基本は村人である。
レオンを見つけるまでは、普通に野良仕事や牛の世話をやっていたりする。
また、銃で撃つととても痛がる。
言葉を発する。
他の村人と連携を取って行動してくる。

どれも、ゾンビとは全く違う生態である。
もちろんそんな連中に追い回され、攻撃されることも十分に怖いが、
これまでのような陰惨で粘着質の嫌悪感はまるでない。
彼らは基本人間であり、ゾンビのような異質な存在ではないのだ。

バイオのゾンビと言えば、いつか読んだ設定が秀逸だった。
人間の体内にT-ウイルスが入ると、超人的な力を
得られる一方、脳が破壊され、人間ではなくなる。
そして力の代償として代謝が異常に早くなり、つまり腹が減る。
だからゾンビは常に飢えていて、食べ物を探している。
ゾンビはこちらを見つけると襲い掛かってるが、
あれは攻撃しようとしているのではない。
食おうとしているのだ。純粋に食べ物を求めているのだ。
人の形をした元人間に、攻撃されているのではなく、
食われようとしている。
考えただけで気持ちが悪くなる、見事な設定だと思う。


ほぼ人間同然の村人では、恐怖感は引き起こせない。
アクションが主体である以上、寧ろ恐怖感なんて要らない。
製作者はそこまで考えていたのかもしれない。
と言うのも、このゲーム、逆にプレーヤーを笑わせようと
考えているとしか思えない要素もあるのだ。

有名なのが、村人が叫ぶ言葉の空耳ネタ。
「オッパイのぺらぺらソース!」
「ウンコだ捨てろー!」
「ア、ホネン」
「マタロウ!」
実際はスペイン語で、もちろんちゃんと意味も
あるのだが、本当にこう聞こえてしまうんだから困る。
特に「ウンコだ捨てろー!」は個人的にヒットして、
リアルでもたまに口ずさんでしまった。阿呆。
こんな村人達に恐怖感など抱けようか?
無理である。

あと、チェーンソー村人。
雑魚村人の上級種としてチェーンソーを装備した奴が登場する。
チェーンソーは体力が幾らあっても一撃で殺される恐怖の武器なのだが、
頭に袋を被り(そう見える)、チェーンソーを構えたオッサンが
奇声を上げて襲い掛かってくる光景は、完全にギャグである。
更にチェーンソー村人にはおばさんバージョンもあり、
戦う時に笑うなと言う方が無理である。

これらを見ても、製作者が恐怖の要素を捨てたことは分かる。
単純にそれを否定するわけではない。
何と言っても、非常に面白いアクションゲームが出来上がったのだから。
だが「これがバイオ?」という疑念だけは……消せない。
本当にこれで良かったのだろうか。
「5」もこの系統で行くのだろうか。
俺如きではよく分からないのであった。






長くなったんで分ける。


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4 コメント

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Unknown (七紫)
2008-12-14 22:38:56
分かる!!それ分かるぜ兄貴!!
俺もやってて「あれ?これって最早ただのシューティングじゃね?」って何回思ったか。
ホントに恐怖ってのが感じられなかったよ。
やっと少しの恐怖を感じてきたと思ったら終盤だったし……
では続きを期待しときます。
返信する
Unknown (ota)
2008-12-15 12:33:00
やはりそう感じますよね。
ゲームの出来はともかく、4が目指した方向性にはガッカリした
シリーズファンはそれなりにいたのではないのかと思います。

ただ、これが悪いことだとも断言できないんですよね。
非常に難しい。
変わるべきことと変わるべきでないこと、永遠の問題です。
返信する
Unknown (Unknown)
2017-05-05 04:36:56
バイオ1の設定というと
ヨーンは実は蛇なのに実験のせいで皮膚は両生類
蜘蛛はアークレイ山中のウサギが主食
キメラは有名な製造方法の内容とクローンに成功した個体は天井に張り付く能力がない
ゾンビが共食いせず人間を襲うのは人間の中にある薄暗い本能の影響
どれも陰湿でホラーしてますな
バイオ4の敵はスタイリッシュなのもいたりしてそのまま遊戯王のモンスターになれそうな感じが
返信する
Unknown (ota)
2017-05-05 14:54:08
>バイオ1の設定というと
おお……色々考えられてますね。
バイオハザードは現実寄りのゲームなのでこういう設定は大事だと思うんですが、うまく継承されなかったみたいですね。
シリーズが進むにつれ、規模の肥大化によりそんなことに拘れなくなったのかな。舞台が洋館から世界全体に広がりましたからね……w
返信する

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