腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

アンチャーテッド ~黄金刀と消えた船団~

2011年10月15日 01時01分23秒 | PS3ゲーム感想文
今現在こそやや盛り返しているが、比類なきPS3が総合的に見て「失敗した」のは確かだろう。
圧倒的普及を果たしたPS・PS2の正統後継機という非常に強力な出自と世代最強の性能を有していたものの、
それを発揮する為の破壊的高コストが大きく足を引っ張り、Wiiはもちろん世界的にはXBOX360にも勝てなかった。
まぁ現状は一応コストを下げる事に成功し、少なくとも日本では完全にWiiを抜いて念願のトップに立てた。
また高い基本性能により発売5年経っても時代遅れにならず、先だっての苦労は報われつつあると言える。
だがそれでも、旧ハード時代のような絶対的安定政権には程遠い。
比類なきPSの父・久夛良木健氏が思い描いた未来が実現できなかったのは間違いない。


このPS3が不振に終わった(まだ結論出すには早いが、敢えて書く)理由は、コストを中心に色々あるだろう。
その中でも俺は「目玉ソフトがない」ことが非常に気になり、これがPS3失敗最大の要因ではないかと思うのだ。
Wiiなら「Wiiスポーツ」「Wii Fit」、XBOX360なら「Halo」「ギアーズ・オブ・ウォー」など、パッと浮かぶ代表作がある。
過去ハードや携帯機でもそれは変わらない。例え負けハードであっても、そこそこの普及を果たせば、目玉ソフトは自然と生まれる。
そして目玉ソフトさえあれば、そこにそのハードが生まれた意義を見出し、ユーザーはある程度満足できるものだ。
そのハードでしか遊べない傑作があるから、そのハードには価値がある。ハードとソフトの正しい関係であると思う。
PS3には、それがない。もちろんユーザー個人で語れば違うだろうが、少なくとも1ゲーオタの俺にはパッと浮かばない。
そもそも日本でミリオンを超えたのが「FF13」1本という体たらくである。この寂しすぎる有様では目玉不在も仕方ない。
個人的にはFF13にこそこの役目を担って欲しかったが……はぁ。あれからもう2年か。いちいち早い……。


今作「アンチャーテッド ~黄金刀と消えた船団~」は、そんなPS3の数少ない目玉、代表作である。
世界での売上は500万本を超えたらしい。WiiやXBOX360のトップとは差があるが、十分優れた数字である。
そして何より、評価が非常に高い。ユーザーに大好評であるのはもちろんの事、各国のゲーム賞を数え切れないほど受賞したらしい。
ハードメーカーが放った超大作が大ヒットし、非常に高い評価を得た。もちろん萎えるマルチハードなどでなく、PS3専用ゲーム。
PS3を代表する1本と呼ぶに相応しい作品である。取り敢えずプレー前にここは俺の中で既に確定させておいた。
当然日本でもローカライズを施し発売された。そして当然大ヒット……二十数万本の売上……。パッと浮かばないのも当然か。はぁ。
まぁ洋ゲー不遇の地・日本ではこれでも上等な方かもしれない。メーカーも日本市場を軽視し続けてるんだから文句はあるまい。
発売時にも興味は湧いたが、石の上にも三年の貧乏性を発動し、2年待って廉価版を購入。
ハード購入から約2年、トルネやPS互換で役立っているが、肝心のPS3ゲームという点でイマイチ生かせてない我が本体が真価を発揮する時が来た。
さぁ秘めたる力を見せてくれPS3。クタさんの息子・9つの頭脳のcellプロセッサよ、今こそフル回転だ! ふおおおおん。
チッ。はぁ。



今作は、当たり前だがゲームである。よって所謂ジャンルというものをまず定義したい。
……のだが、意外にこれが難しい。いや別に斬新なゲームと言うわけじゃないんだが……。
まぁアクションゲームではある。当然だな。戦闘はほぼ背後カメラの銃撃戦なので、TPSでもあると言えるかな。
じゃあTPSアクション……うーん、何か違う。しっくり来ない。
個人的には「映画的ゲーム」、こう呼びたい。うん、これが一番いい。異論も多分無いだろう。



「映画的ゲーム」。比類なき90年代のゲーム業界を思い出すなら、この言葉の流行は外せない。
比類なきスクウェア(当時)が発売したPSの代表作「FF7」は、その圧倒的表現力で方々から「映画的」と称えられた。
FFシリーズは製作者も映画を強く意識していたのが自明だったので、この評価は願ったりでとても嬉しかったことだろう。
そもそも、俺には実感できないが、ゲーム業界というものは根本的に映画業界に対してコンプレックスがあるらしい。
歴史も表現力も比較にならないほど映画が上。エンターテインメントとしての格が全く違う。
実際、メタルギアの小島氏のように、言葉は悪いが「映画人になれなくてゲーム業界に落ちてきた」人は多いのだろう。
しかし初代PSの頃からはゲーム機の表現力も侮れないものになり、やり方次第では「映画的」と言えそうなゲームも出始めた。
FF7以降も「バイオハザード」などが台頭し、映画側からも徐々に注目を受け始めた。ようやくゲームが映画と肩を並べる存在になったのだ。

……が、結局の所この「映画的ゲーム」の方向性は、定着したようで根付かなかったように思う。
いつの間にか言葉が使われなくなった。ゲームと映画は別の娯楽であると皆気付いたのだ。
またハード性能は更に上がり、表現力が実写に肉薄するレベルになった事で、コンプレックスが解消された面もあるのだろう。
映画的ゲームなんて劣等感丸出しの目標は、もう過去のものなのだ。ゲームはゲームで進化し続ければいい。
当たり前と言えば当たり前の結論が、答えだったのではなかろうか。


しかし今作をやって、この認識は改めざるを得なかった。
今作こそが世界に胸を張れる「映画的ゲーム」である。
かつてのゲーム業界の映画コンプレックスを正面から吹き飛ばし、映画に追いつくどころか飲み込んだ作品である。
物語が映画的、キャラクターが映画的、音楽が映画的、演出がとても映画的、しかし根本はしっかりゲームであり、「ムービー」ではない。
まことゲームは進化したものである。すごい時代になったでしょう。でもそれが、プレイステーション3なんだよね。



まぁ何より今作の「映画的」を支えているのは、単純に誰もが度肝を抜かれるグラフィックかもな。
散々評判は耳にしていたが、噂に違わぬ超ハイレベル。美麗、繊細、圧巻、怒涛、全ての場面が素晴らしい。
PS3の高性能は誰でも知ってることだが、それを活かしきるには膨大な金と時間がかかることも誰もが知っている。
この難題を克服するには、どうすればいいか? 答えは簡単、膨大な金と時間をかければいい。
恐らく製作者が選んだ道は、この極めて単純であり遠大なものだったのだろう。
誰もが思い付くが、誰もが断念した道に挑み、見事目的地に辿り着いた。
まるで今作のゲーム内容そのものである。最高の絵であった。


そしてゲーム内容も、映画的であるよう、しかしゲームを捨てないよう、上手くシンプルに纏めてある。
基本は移動と戦闘だけで、他の要素は殆どない。システムに浸るタイプのゲームではないのだ。
パラメータの類も極力排しており、唯一それらしいHPですら数字ではなく画面の変化で表現している。
野暮ったく数字やゲージが表示されれば、映画的な雰囲気が損なわれるとの判断なのだろう。
そのHPも、しばらくダメージを食らわなければ自動回復するという化物システムを採用しており、回復アイテムの類は登場しない。
いちいち回復に気を取られてはゲームの流れが途切れるとの事なのだろう。思い切ったことをしたもんだ。

圧倒的なグラフィックと演出で、「映画的」な見た目は完璧。
そこに「ゲーム」部分が綺麗に溶け込んでいて、ゲームと映画、双方がお互いの魅力を邪魔していない。
ここに「映画的ゲーム」が完成した。ゲームが映画を内に取り込み、更なる進化を遂げた瞬間である。
大袈裟だろうが、単純に喜びたい。ゲームはここまで来たんだ。ここまで来たんだよ……っ!!



……つーわけで今作が力作・超大作であることは疑いないが……「面白い」かどうかはまた別問題なのだ。
結論から言うと、ハマリ度は「中」ってとこかな。夢中になって遊べたというわけではなかった。
どんな凄いゲームでも、面白いとは限らない。凄さは強く実感しただけに、残念なことである。はぁ。


そもそも、俺はぶっちゃけ映画が好きではない。実際、殆ど見ない。
基本的に集中力がないので、2時間もじっと画面を見続けるのが難しい。それだけ集中させてくれる映画に殆ど巡りあった事がない。
洋画を見れば文化の違いに多大な違和感を抱くし、邦画は……ごめん、やっぱよう知らんから語る資格ないや。
まぁ「バックトゥーザフューチャー」「ダイハード」等は最高に面白かったが、そう断言できるのはこの2本くらいだ。
そしてこの2本も、続編は初代ほどの作品ではなかったと思う。はぁ。

たまに有名作品がテレビ放映された時は、録画して見ることもあるが、それに心底ハマれた経験は、ない。
この前待望の地上波放映があった「エヴァンゲリオン破」ですら、集中力が持たず途切れ途切れにダラダラ観賞してしまったほどだ。
俺は基本的に「面白さの奴隷でありたい」と思ってるので、映画に偏見があるわけではない。面白ければ喜んで観るさ。
でも、少なくとも触れた範囲ではゲームを超える面白さは感じられなかった。だから、好きではない。
映画観るならゲームや漫画に触れる方が俺には向いてる。今はこの思考が完全に定着してしまった。
よって、見事に実現した「映画的ゲーム」が俺の琴線に触れることもなかったのである。
これがもう少し「ゲーム」であれば結果は変わったかもしれないが、今作はとことん「映画的ゲーム」なのである。
今作が苦心して到達した境地は、俺の好みとは根本的にずれている場所だった。
合わなかった。誠に残念だが、そういう結論になるのかな。



ハマれなかった理由は色々あるが、プレー開始後すぐ思ったのは「お腹いっぱい」かな。
出だしからして【崖にぶら下がり状態となった列車の中】という有様である。当然、生き残る為に必死で上に登ろうとする。
しかしもちろん、アクション映画さながらのトラブルが次々に襲い掛かり、簡単に生還はさせてくれない。手に汗握る。
やっと崖上に到達したら、もうお腹がいっぱいだった。その日はここでプレーを終えた。正味10分か15分くらいだったかな。

今作は戦闘・移動ともにこういう派手なシーンが目白押しで、演出に叫ばされることも非常に多い。素晴らしい。
しかし、これがプレーヤーを引き付け、よりゲームに熱中させる……というのが正しい流れなのだろうが、
中には「派手さが疲れる」奴もいるのである。俺な。俺だけか?
これは年齢的な理由もあるかもしれないが、俺はあまり強い刺激を連続で受けるのは好きではない。
そして今作の演出が織り成す刺激は、全ゲームの中でもトップクラスのものである。
それが怒涛の勢いで畳み掛けてくる。だから、疲れる。もっと言えば、引いてしまう。
凄すぎる、という悲劇である。実際これが原因でハマれなかったんだから、笑える話ではないな。


そして逆に、実に変な話だが、今作には退屈さも同じ位感じてしまった。
今作はゲームの大半が「移動」と「戦闘」である。このうち戦闘は良いとして、移動が……なぁ。
もちろん移動も派手である。美しいグラフィックの背景を見ながら飛び跳ね、足場にしがみ付き、ギリギリの状況で先に進む。
最初の頃はそのギリギリっぷりに正に手に汗握っていたが……途中からは、ハッキリ言って飽きてしまった。

崖や民家のちょっとした突起に掴まり、手ずからジャンプをして次の突起に飛び移る。
とても常人にはできない、映画やゲームでこそ可能なアクションだ。見応えたっぷりである。
……でも、そればっかりなんだよ。本当にこればっかりなんだよ。飽きるんだよ。
作中、舞台は色んな場所に移っていくが、移動はどこであってもこのパターン。常に超人アクション、常にギリギリ。
これだけ「極限状態」の表現が続けば、実はこれが極限でも何でもない、製作者に用意された「道しるべ」である事に嫌でも気付いてしまう。
そしてそうなると、萎える。握っていた汗がスッと引いていく。ギリギリではない、予定調和な公道であることが見えるからだ。
実際、見た目はギリギリの移動であっても、ジャンプのタイミング等はテキトーでもOKで、難しさは全然ない。
手に汗握っていたのは演出が優れていたからだ。その魔力が消えれば、退屈になるのも当然である。
今作はこの移動についでだけは、かなり見積もりが甘いと感じた。幾らなんでもこれでは飽きると思わなかったのだろうか。
アスレチックや障害物回避などの「ゲーム」要素は、邪魔と判断したのか一切存在しないし……。
まぁゲームのテンポが良いので、言うほどダレるわけでもない。ただこの高品質ゲームにおいては目立った欠点だった。


移動と言えば、その分かりにくさも問題だな。
グラフィックが美しすぎる弊害か、掴まれる突起や飛び移るべき足場が非常に分かり難く、「どこへ行けばいいのか迷う」事態が多発する。
カメラを向けてそれを教えてくれる「ヒント」機能もあるが、そもそもこんな事で迷うのはおかしな話なのだ。今作であれば尚更だ。
予測を誤り、ただの背景にジャンプして飛び移ろうとし、派手な落下死を晒すことも多い。ありゃある意味楽しいけど。
足場や突起は色合いでもっと目立たせるとか、アイテムのように光らせるといった配慮が欲しかった。
時には数分間も迷うこともあり、大いにプレー意欲を削がれた。こんなのは「謎解き」ではないと思う。



して、戦闘。戦闘はゲームの華、映画でも派手さを見せるには欠かせない要素。
なれば今作にも戦闘が充実しているのは当然。クリアーまでに百人以上は殺してると思われる。実にヒャッハーである。
洋ゲーだから当然かもしれないが、戦闘のメインは銃撃戦。壁に隠れて弾を避け、隙を狙ってバンバンバン。
「まるで映画」のような戦闘が、ゲーム中何度も登場する。これは別に今作の独自要素ではないが、まぁ良いものである。

優れているのは、適切な簡略化かな。戦闘は非常に大事だが、今作は「映画的ゲーム」、あまりそこに重点を置くのも良くない。
そう製作者は考えたのだろうか、複雑極まる他の銃撃ゲーと比べて今作の戦闘は非常に簡素と言える。
銃撃ゲーが苦手な俺がすんなり馴染めたのはその証拠だろう。もちろん良い意味での簡略化だ。
例えば、銃器の種類が少ない。拳銃、ライフル、マシンガン、ショットガン、ミサイル、この程度の認識で十分通用した。
銃撃ゲーではいつも、嫌がらせのようなアルファベット+数字の武器名が洪水の如く登場して俺を苦しめるのだが、今作でそれはなかった。
操作法も全種共通で、照準を合わせて撃つ、これだけ。これならFPSをやらない人でも適応できるだろう。
大人数で殺し合うんだから派手ではあるが、強く「ゲーム」を押し出さず、「映画」を邪魔しない範囲に収めている。
今作にとって理想的な調整だったと思う。まぁ俺は銃撃戦が好きなわけじゃないので、大いに楽しめたとは言い難いが。
ちなみにどう敵を殺しても血は殆ど出ず、残酷描写の類はごくごく薄い。作風には合ってると思う。


戦闘で残念だったのは、近接戦闘まであっさりしていた事かな。
一応存在するものの、コブシを使った簡素な格闘戦だけで、あまりやってて楽しくないし、爽快感もない。
そこらにある箱や石を即席の武器にする程度の奥深さはあってもいいと思うのだが、皆無だった。
格闘はボスにはほぼ通用せず、中盤以降は雑魚もかなり固くなるので、結局銃器の方に流れてしまった。はぁ。

ただ、メタルギアよろしくステルス状態で敵を葬るのはかなり面白かった。
背を向けて油断してる雑魚にそーっと近付き、サックリ首を折る。残酷だが気持ち良い。
これもメタルギアほど難しくなく、割と簡単に敵の隙を突けるので、ある意味本家以上に「かくれんぼ」を楽しめた。
俺にとって本家はちょっと厳しすぎるからなぁ。ここは予想外の収穫だった。



難度は、ノーマルモードでまぁ簡単な方だと思う。迷子になる事には困らされるが。
ゲームオーバーになっても、洋ゲーらしい瞬時やり直しシステムを採用しているので、ストレスは全く無い。
ぶっちゃけやりたいようにテキトーにやり、死んだらサクッとやり直すのがこのゲームの作法なのだろう。
ゲームオーバーにリスクが無さ過ぎるのはちょっと問題だと思ったが……すこぶる快適なのもまた事実だからなぁ。

本編とは関係ない要素として、フィールドのあちこちにお宝が隠されている。
これを集めることでトロフィーを獲得したり、クリア後にコスチュームやメイキングムービーなどをゲットできるようになる。
だが宝の隠し場所はかなり嫌らしく、またゲームの性質上「以前のステージに戻る」場面が皆無なので、自力で全部取得は難しいだろう。
もうちょっとゲーム本編に沿ったオマケ要素を用意してほしかったと思う。うーん。


一応TPSってことでオンラインプレイも存在しているが、俺は協力プレーには興味が薄いのでやってない。
まぁPS3ということで無料だし、一回くらいはやってみようかな。今更やっても超人ばかりが跋扈してるかもしれんけど。
最近のアクションゲーはオンラインプレーに重点を置いてるものが多いので、プレーしないのは非常に勿体無い。
でも俺は、アクションは一人じっくり楽しみたいんだよなぁ。co-opとか、何か違う気がするんだよ。はぁ。





物語は、適度にリアルでそこそこ出鱈目、まぁB級アクション映画的と言えるだろうか。俺映画よく知らんけど。
こういう、歴史上の謎めいた部分に荒唐無稽な妄想をブッ込む作りは嫌いじゃない。後世の人間の特権だ。
マルコ・ポーロの謎を巡って場所を転々とするのは、ステージの変化を楽しむという意味でも良かったと思う。
最後に金銀財宝ザックザクとはいかないのはお約束だな。

ちょっと突っ込みが野暮だが、中盤以降頻繁に「大掛かりな遺跡」が登場するのは気になった。
アイテムを穴に差し込むだけで、ディズニーランドのアトラクションもびっくりの大規模な仕掛けが作動する。
あんなの現代技術でも作るのに恐ろしい手間と金がかかるだろう。一体誰が作ったんだよ。
こういう遺跡の作りは「ゲーム」では非常に一般的だが、映画ではどうなんだろうか。
もちろんフィクションにいちいちリアリティを要求するわけではないが、少々度が過ぎるように感じた。やっぱ野暮かなぁ。

あと物語のキーとなる「謎の松ヤニ」もなぁ。なんで食ったら雪男になるんだよ。なんでラスボスは正気のままなんだよ。
あれに関しては、ラスボス戦に至る前に謎が解かれる過程を挿入すべきだったと思う。無茶苦茶でいいから。
一応追い求めた秘法のはずなのに、扱いが適当過ぎると思った。はぁ。


キャラクター。映画的だった。


○ネイト・ドレイク

働いたら負けと思ってるかどうかは知らないが、非常に有能な男。
銃撃受けても数秒で回復し、崖下ぶら下がりを何時間でもこなす超絶タフガイ。
といっても脳筋男ではなく、発想や情報処理能力は抜群、適宜ジョークを挟み、身内を見捨てない優しさも見られた。
非常にアメリカ映画的なキャラである。そういう意味ではやや無個性かもしれない。
日本人にも親しみ易い顔つきをしているのは良いと思った。アジアの血も入ってるって設定だといいな。
吹き替え声優(としておこう)の演技もバッチリで、見事にキャラとマッチしていた。ベストキャスト。
PSワールドのニューヒーローとして、彼にはまだまだ活躍を期待できそうだ。いや、活躍してくれないと困る。


○クロエ・フレイザー

日本風に言うと峰不二子ポジションに当たるだろうか。一応味方ではあるが、勘ぐると裏切ってる気がしないでもない。
まぁ不二子ちゃ~んほど露骨ではなく、ネイトとの濡れ場まであるし、そう悪く捉えることもないか。
パッケージに姿が描かれてる上、OPムービーで登場するから当然ヒロインだと思ってたのに、何とEDではエレナにネイトを取られる!
これは何気に衝撃的だった。非常に大衆向けな今作において唯一捻くれた部分だったかもしれない。
あと、当然美女設定なんだが、パッケージは良いとしてゲーム中では正直ちょっとアレじゃないかと思った。
今風に言うと目が離れすぎ、じゃなくて寄り過ぎのように思う。うーん、文化の差か。


○ハリー・フリン

物語の発端となるネタをネイトに提供する男。最初は仲間として共に行動するが、すぐに裏切りやがる。
ちなみにその裏切りを説明書にわざわざ書くのはどうかと思った。驚かさせてくれよ。
この時点ではクロエも一緒に裏切ったように見えるので、「クロエがハリーとフリンしやがった」とか言って部屋で一人で笑ってた。
俺死んだ方がいいのかな。
その後も敵側の幹部として度々登場するが、徹底して小物臭を漂わせてくれるので、怒りどころか哀れみを抱いてしまった。
最後は自棄気味に自爆しやがった。コイツは生かして次回作以降でも登場させた方がいいと思うんだが……。


○ビクター・サリバン

ネイトの元相棒かつ師匠に当たる人物らしい。声優は千葉繁。彼の声を新作で聞いたのは本当に久々だった。
ネイトとの軽妙なオッサントークは良い感じだったが、出番が短く、あっさり退場してしまったのは残念。
終盤助けに来るとか、後で何か出番を用意してほしかった。面白いキャラだったのに。


○エレナ・フィッシャー

女性ジャーナリスト。彼女が受け持つ考古学番組こそ、シリーズタイトル「アンチャーテッド」であるらしい。
つっても作中でこの番組の話題は一言も語られず、そこはちょっと勿体無いなと思った。うーん。
仕事柄傍観者になるのかなと思ってたら、銃撃戦を含めネイトと行動する時間はクロエと同レベルで長い立派なヒロイン。
そして最後にはメインヒロインの座をクロエから実力で分捕る大出世を見せる。いやスゲェ才女だ。感動した。
癖のあるクロエと違い、理想的な美女なのでそれも良い。ラストの大怪我死にかけ描写は痛々しかった。


○ゾラン・ ラザレビッチ

ネイトと敵対する極悪テロ組織のリーダー。その悪辣さがカリスマ性に繋がり、人望はあるらしい。スゲー。
実際、登場する敵兵と武器の数・豊富さは軍隊レベルと言っていいと思う。あれを纏めているのは大したものだ。
今作はラスボス戦が作り難いだろうなと想像していたのだが、特に捻りはなく彼がその役を務めた。
だが、強かったんだが、演出がなぁ……。なんで松ヤニで怪物化するのか、そもそも何故あんな無防備に口にするのか。
恐い人ではあったが、頭は結構可哀想だったのかもしれない。松ヤニはぐはぐ食ってるシーンは非常にシュールだった。




ふぅ。
今作には、「1回ゲー」な側面がある。
とにかく凄いゲームではあるが、展開は完全一本道であり、お宝収集を除けばやり込み要素と呼べるものもない。
そしてド派手極まるグラフィックや演出も、2度3度楽しめるかと言えばそうでもない。人は刺激にはとかく慣れ易いのだ。
ただ、この点は製作者も重々承知し、「そういうもの」と割り切って今作を送り出したのだと思う。
確かに1回ゲーだが、その1回に関しては他では絶対味わえない極上の「映画的ゲーム」を提供する。これぞ今作のコンセプトではなかろうか。
俺個人としても深みのない1回ゲーの作りはあまり好きではないが、今作の「凄さ」を考慮すればこれも十分アリだと思う。
ちなみに、現在一応ノーマルを終えて「上級」モードに挑戦中。敵が強くなって戦闘がしんどい。
やはり1回目のような驚きはもう味わえないが、まぁテキトーにやれる所までやっていきたい。



さて、大好評を博した今作は当然続編を生み、もうすぐ最新作「アンチャーテッド ~砂漠に眠るアトランティス~」が発売される。
今回はとうとう3Dディスプレイに対応するので、超美麗グラフィックは新たな次元に到達しますます磨かれていることだろう。
更に、新携帯ハード・PSVITAでも新作が発売される。こちらはVITAロンチ最高の注目作だから期待も大きいだろう。
今作にて多大な名声を得たアンチャーテッドシリーズは、しばらくプレイステーションの顔として君臨するのかもしれない。
そういや、製作会社の「NAUGHTY DOG」は、かつて「クラッシュ・バンディクー」シリーズを生み出した所らしい。
クラッシュも一時PSの顔として人気を博したことを考えると、何とも頼もしいゲーム会社である。
……クラッシュの末路まで考えると、アンチャの未来に嫌なものを感じる気がするが。


俺自身は今作の手応えがそこまで良いものではなかったんで、続編は今んとこ静観予定。
つってももちろん美しいグラフィックは大好物なので、興味がないわけではない。あんなとんでもないもの、観なきゃ損である。
「デモンズソウル」が評判を呼び、「ダークソウル」が大ブレイクしたように、アンチャも次回作2本が大ブレイクすることを願う。
洋ゲーとしても親しみ易い部類だから、日本の洋ゲー市場構築にも一役買うかもしれないな。そうなってほしい。
この世界には、まだまだ未踏の境地がある。ネイトはこれからも俺達にそんな場所を見せてくれるだろう。
それが、テレビゲームの新たな境地を見せてくれる事と同義であれば最高だな。
夢を見よう、テレビゲーム。
さらば現実、いざフィクション。


はぁ。








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6 コメント

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Unknown (じこ)
2011-10-16 10:07:43
PS3は高い…そういう感覚の人も未だにいるかもしれませんねぇ。。
最初は7万ですからねぇ…

FF13がミリオン行ってたんですかー。
初めて知りましたw

個人的にはFF13好きなんですけどね。ストーリーもわけわからんほうが面白いw
ただ、あのゲームは欠点があります・・・リダが死んだらゲームオーバー

ラスボス(^o^)<デス

警備員は倒れた…



G A M E O V E R



レイズっていう魔法があるのにリーダーが死んだら終わりって意味がわかりません。リーダーがいなくても俺たちは戦えるんだ!って意志を持った奴らはいなかったんでしょうか・・・?

FF13-2期待して待っています

しかしあんだけ酷評されておいてミリオンですか…

やはり、ネームバリュー。ファイナルファンタジーっていうブランドの力は健在だったとも言えますね。

アンチャーテッド…

かなり期待しています 
PSVITAで初めてプレイするゲームになると思います

しかし・・・PSVITAの予約負けしました…

欲しかったなぁ…

しかし、PSVitaの予約列はものすごいことになっていましたね。
このモチベーションを保ったまま発売日を迎えられればと思います。

映画的ですか~…
なるほど。映画的なムービーを見ると綺麗とは思いますね。

FF7の時に挿入されたムービーシーンは大いに感動しましたが、今現在FF13のムービーシーンを見ても凄いとは思えなくなってしまいましたねぇ…。もちろん凄いとは思うんですが…オタさんのいう刺激に慣れやすいっていうのかな。そういう感じだと思います。

一方父親は Wiiのゲーム 名前はわかりませんがスキューバダイビングをやるようなゲームなんですがこれを見てリアルだなぁと言ってて少し笑ってしまいましたw

今、リアルさを求めるならムービーだけでなく自分で操作してる部分がリアルである必要が出てきますね。

そういった面でBF3のβテストやりましたが、驚愕しました・・・w

攻略前なのでオタさんの記事を流し読み程度なので攻略が終わりましたら 自分も感想を書こうと思います
Unknown (ota)
2011-10-16 16:27:41
FF13は190万くらいなので、廉価版やXBOX360版含めたら約200万と言っていいのではないでしょうか。
その評価を受けた13-2がどれだけ売れるか注目してます。

VITA、無理でしたか。まだ発売まで2ヶ月あるので、色々手を打ってみて下さい。
でもWifi版はしんどいかな……。


「リアル」の定義は難しいですね。単にグラフィックが美しいというだけなのはもう時代遅れかもしれません。
最近の極上グラフィックのゲームでも、粗探しすれば幾らでも現実との違いは見つけられますし。
一方、只管リアルであれば良いというわけでもありません。作り手のセンス次第ですね。
アンチャシリーズは映画という、リアルと作り物の中間を目指したゲームというのが良かったと思います。
Unknown (S・R)
2011-10-17 20:04:49
FF13ってリーダー死ぬと終わりなのか……
メガテンじゃねーかwまあ天下のFFでそれやったら文句言われるのもしょうがないかもね。

リアルねえ……変なところですが、64で振動パックが出てからこっち、スターフォックス64のアンドルフに吸い込まれてくちゃくちゃされる以上のリアルな振動に出会ったことが無い……
何気に振動のさせ方って全然進歩してない部分の気がする。
Unknown (ota)
2011-10-18 01:10:29
FF13では確かによく全滅しましたね。
ただ戦闘に負けても直前から再開できるので、再挑戦前提の調整なんだと思います。


振動は64時代の古いネタですが、体感できるという点は今でも効果的ですよね。
任天堂がWiiで何故か振動を完全に捨ててしまったのが残念です。
Wiiリモコンはもちろん、クラコンにも付けないなんてなぁ。
Wii Uでは復活してほしいものです。
Unknown (サク)
2020-08-16 15:36:20
アンチャーテッドプレイ中です
黄金刀と消えた船団はアンチャーテッドシリーズの2作目ですが、otaさんが2作目からプレイされるのって珍しいですね

アンチャーテッドは2作目でかなり世間の評価を上げた印象があったので、少し楽しみだったんですが、プレイしてみるとこんなものかと感じてしまいました
評価を上げた理由は分かったのですっきりしましたが。1作目にはステルス要素がなくほぼひたすらドンパチするゲームでしたが、ステルス要素が加わってゲームプレイに少しメリハリが出たのが評価を上げた理由なんでしょうね

ただ、otaさんの言うようになぜか退屈なんですよね、このゲーム
任天堂のゲームでも同じ退屈さをよく感じるんですが、なぜなんでしょうね、本当に
開始10分とか20分でもう飽きが襲ってくるのは不思議でしょうがないです

ステルス要素もリアルタイムでやってたら楽しめたんでしょうけど、ラストオブアスに比べるとどうしても見劣りしてしまいますね
まああと私があんまりステルス要素好きじゃないというのもあるんでしょうけど。ラストオブアスは楽しめたんですが、ステルス要素ってどのゲームでも同じ感じになりがちなので逆にラストオブアスシリーズ以外はもうステルスゲームはいいかなと思うようになりました
Unknown (ota)
2020-08-19 01:18:56
>黄金刀と消えた船団はアンチャーテッドシリーズの2作目ですが、otaさんが2作目からプレイされるのって珍しいですね
当時2がかなり評判になっていたんで、続編というより凄さを体験したくて手に入れました。
尚先日コロナプレゼント(嫌な表現)でPS4版1~3が手に入ったので、1からやるつもりです。つもりです。こんなんばっかし。

>ただ、otaさんの言うようになぜか退屈なんですよね、このゲーム
「動かせる映画」なゲームながら、良くも悪くも映画要素の方が強い感じですね。絵の衝撃が薄れると退屈に感じるのかも。

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