オペラ座の怪人な日々

オペラ座の怪人とドールハウス作りにはまっているミミルのページです。

映画(2004年)についての感想②

2017-08-30 17:10:17 | オペラ座の怪人
※ あらゆるバージョンのオペラ座の怪人のネタバレを含みます。
内容を知りたくない方はご注意ください。

冒頭のオークションの場面から、シャンデリアに灯りが点って過去に戻るシーン、圧巻ですね。
舞台ではプロセニアム・アーチを覆っている黒い布が取り払われるのですが、映像ならではの、白黒→カラーという演出、ゾクゾクします。 
また、修復されたシャンデリアは、よく見ると電球も少なくて極めてショボいのですが、往年のシャンデリアはほんとに立派です。
スワロフスキーが若干出しゃばり過ぎな気はしますけど、お金かかってる感は半端ないっす。
スワロフスキーのシャンデリア製作過程は、メイキング映像で見ることができ、とても興味深かったです。

残念なのは、オークションのシーンで、マイアベーア作「悪魔のロベール」で使われた
3つのシャレコウベと木製ピストルが画面には映らないことです。セリフとして出てきてはいるのになぁ。
↓これはうちの子たち。


猿のオルゴールは、舞台ではとてもかわいくないですが、映画では愛嬌ありますね(-´∀`-)

ハンニバルのリハーサルシーンは、ドレスのデザインが、舞台とまったく違うのが残念です。
あの、金赤緑がハンニバルのイメージカラーなのに!!
それに、ダンサーの女子たちがへそ出しで出露が高すぎるのも気になります。
映画ならではのサービスなのですかね(^_^;)
それに関連して、新支配人のふたりが、踊り子たちをヤラシイ目でしか見てないのもいかがなものかと。
たしかに、舞台でも、メグのことを「あの子は誰ですか?」と尋ねるのは、下心あってのことなんでしょうけど、映画では露骨すぎ。
しかも、映画ではカルロッタが帰ろうとする最初の動機も、アンドレさんたちが踊り子たちばかり見るので嫉妬して、という変更も加えられています。
カルロッタのワガママさを引き立てるためもあるんでしょうけど、支配人の2人好きとしては、
彼らがただのエロジジイに成り下がってるのはイタダケナイ(`ε´)
(残念ポイント①)

あと、ラウルの登場シーンがリハーサルの場面に繰り上がってる意義もイマイチわかりません。
新しいパトロンだと紹介してるのに、その後、ファントムの給料の話になったときに、マダム・ジリーが、
「子爵が新しいパトロンなんだから、もっと支払えるのでは」と言うと、新支配人たちが、
「それは(子爵のことは)今夜発表しようと思っていたのに・・・」と応じる、というくだりは矛盾していますよね?
それに、クリスが、ラウルが自分に気づかなかった、とガッカリするのも、自分からガツガツいってる肉食女子っぽい感じでイメージ違うんだよなあ。
ラウルのほうが先に舞台上のクリスに気づいて、クリスは、楽屋で初めてラウルに気づくのがいいのにね。
こういう細かな点の改変にも、製作者側としては明確な理由があるのでしょうかねえ。
まあ、ウェバーがいいって言うんだから、いいんですけど。

ハンニバルの本番シーンは、ドレスのイメージが違いすぎて唖然。
カルタゴが舞台のはずですが、完全にヨーロッパ。
ハプスブルク家みたいな感じ。
舞台のハンニバルのリハーサルのとこから、みんなでゴショゴショゴショと取り囲んで、
スカートをつけて本番に雪崩れ込むシーンは、名シーンの1つだと思ってるので、残念です。
(残念ポイント②)
あの金赤緑のドレスも大好きなのに。

こんなことばかり言ってると、映画版の批判ばかりみたいに聞こえるかもしれませんが、
映画版には、映画版ならではの魅力もたくさんあるので、大好きです。
たとえば、舞台では描ききれない舞台裏のゴチャゴチャとかが描かれていて、そういうところは面白いと思っています。
下働きの人たちも活き活きと描かれていますもんね。

ガラの後、メグが来て、「パパが音楽の天使を送ってくれた」というくだりで、パパとの思い出の回想シーンが出てくるのも、
映画ならではの演出でいいと思います。
しかも、パパ役はなんとラミン・カリムルーだし。


ただ、楽屋は、薔薇の花が多すぎて、ゴチャゴチャし過ぎているような・・・。
でも、地下の不気味な雰囲気はいいですね~
あと、マダム・ジリーはファントムの好きにさせすぎじゃないですかね。
ファントムに惚れてるのか!
ファントムが楽屋に鍵をかけてクリスを閉じ込めるのを目撃しておきながら、黙認するとか。

そして、ファントムがクリスを地下に連れ去るシーン。
蝋燭を持った腕がにょきにょきと出てくるのは、不気味ですが、面白い演出だと思います。
舞台版だと、すぐにボートに乗る感じですが、映画では、ボートに乗るまでもけっこうな道のりがありそう。
途中で馬!出てくるもんね。馬って、ここで飼ってるの?

エサはどうしてるの?ファントムが世話してるの?とか、いろいろな疑問はさておき(^_^;)
そんな馬ですが、乗ってる時間はめっちゃ短い!
クリスしか乗ってないし。そもそも馬に乗る必要があったのか。
ウェバーが馬使いたかったってメイキングで言ってたから、
それだけのためだったのかもね。
(馬は、1925年ロン・チャニー版で使われてたので、それを真似たかったんですね!)

そして、ここで大不満なシーン!
舞台では、早々に隠れ家について、
そこで、「歌え!私のために!」ってファントムが言って、
クリスが自分の意志ではない力に操られるようにしてとてつもない高音を出すという、
あの緊迫感に満ちたシーン。
あそこが、映画だと、ボートに乗ってる途中になってしまって、中途半端なんです。
ここはかなり許せないな~。
このせいで、この曲の「強制的にクリスが限界に近い高音を歌わされる」という場面が全然印象に残らなくなってしまっている。
馬のシーンとか無理に入れたから、こういうことになっちゃったのかな。
ガーターベルトとか、足をやたら出すとか、胸の谷間を強調する衣装とか、妙なお色気にばっかり走っちゃってさ。
(それ自体はいいんだけど、おろそかにされたシーンが許せないのです。)
とても残念です。(残念ポイント③)

ただ!
「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」のシーンは、すごく、エロいですね。
セクシーさは、ジェリー・ファントムの最大の魅力です。
そこだけと言っても過言ではありません!!
黒の皮手袋で白いビスチェを撫でまわすとか、もう!
ジェリー・ファントム、セクシーすぎるよ!!
ここは興奮ポイントですね。

そして、花嫁人形。
これはかなりリアルで不気味ですね~。
こんなの見たら気絶するのもムリないかも。という説得感がある。

それから、この隠れ家の小道具の一つ、舞台のミニチュア!

これは、何度も見てても、意外とスルーしてた点です。
大の男がドールハウス遊びとは、とかは思ってましたけど。
シャンデリアのミニチュアがよくできて可愛いし。
そのほか、舞台衣装やセットなんかのデザイン画も散らばっているようです。
ファントムは、ほんとに多彩な才能の持ち主なんですね。
この才能がいいほうに伸ばせればよかったのに・・・。
本人によれば、すべては醜い顔のせい・・・。
たしかに、今のように差別をなくそう、という時代ではなかったから、
見た目の点でとても苦労したのだと思います。
ほんとうに気の毒な人です。

ふたたび、ファントムの隠れ家。
翌朝、目覚めるクリス。
ファントムはオルガンのところで作曲に勤しんでるのは、舞台も同じですね。
しかーし。またしてもジェリー・ファントムはとんでもなくセクシーなのです。
あのフリルのついたシャツのはだけ気味の胸元・・・。
むーん、たまらん!!ここも興奮ポイントです。

そして、「マジカル・ラッソ」のシーン。
ラッソって言葉、はじめて知りました。
「投げ縄」みたいな意味なんですね。
ここのシーンは、かなりマダム・ジリーが厳しいですね。
なんせ、ブケーさんにビンタ喰らわしますからね。
このシーン、後になぜブケーさんが殺されるのか、
そして「目の高さに手をあげて」につながる、わりと意味のあるシーンだと思うのですが、
吹き替えの音声がまったくないので、テレビ放送の際はごっそりカットされていたようです。
残念無念・・・。ブケーさん、ほとんど出番なしじゃん。
覗き野郎で、頼りにならない大道具係で、あげく殺されるって・・・(T_T)

舞台だと、支配人のオフィスのシーンは、ずっとオフィスの中で進みますが、
映画では、ホールを通って外への扉を開けてみたり、
舞台を通り抜けて楽屋に向かったりと、かなり動きがあって面白いです。
そして、よりいっそうカルロッタのわがままぶりが発揮されています。
支配人二人の表情とか、すごく面白い。
とくにフィルマンさんが、カルロッタが脱いだミュールにシャンパンを注いで飲まされるのがひどすぎる(⊃ Д `)
「プリマ・ドンナ」のシーンでは、ロンドン25ではカルロッタが衝立越しの生着替えを披露しますが(四季ではありません)、
映画版でも、メイクや着替えを繰り広げます。
イル・ムートのドレスのスカートが天井からふわーっと降りてくるシーンが好きです。
ああいう大げさなスカートは、大道具のように天井から吊るされているのか、と感心しました。
それに、舞台版をはるかにしのぐ、あのバカげたカツラ!!
遊びすぎでしょう(笑)

イル・ムートの舞台で、カルロッタの声がカエル声に変えられてしまうシーンがあります。
あれは、舞台を見る限りは、カルロッタがクリスに対して、「このチビガエル!」と侮辱したので、
怒ったファントムが何か人智を超えた力でカルロッタの声をおかしくしたのだと理解してました。
しかし、映画版だと、ちゃんとタネ明かしされてて、カルロッタのカエル発言がなかったとしても、
声は出なくなっちゃうってことだったんですね。先に仕込んであったってことですもんね。
映画版ではリアリティーを追求したのかな?

ブケーさんの落下シーンは、スタントを使ったというだけあってわりとリアル。
その前の殺害シーンとかもけっこう生々しい。
あのときのファントムさまのニヤリッ( ̄ー ̄)て表情、コイツ、完全に殺しを楽しんでやがる!

屋上では、
像の影に隠れて、クリスとラウルがイチャつくのをずっと盗み聞きしている姿が見えて(舞台だと二人が去った後に出てくる)、
ツラそうなのがかわいそう。←この点は、1925年のロン・チャニー版に似てるかも。
あれは、めっちゃ風強そうなとこで、
ずっと盗み見してた。
像に駆け上って、恨み言を歌い上げるとこはすごく好きなシーンです。
完全に一方的なストーカー発想なんですけど、なぜこんなにも共感できるのでしょうか。

で、その後、舞台ではシャンデリアが落ちるとこですが、映画ではここではまだ落ちませんね。
ちょっと物足りないかな〜(`ε´)
舞台では第一幕いちばんの盛り上がりのシーンだから。

~後半へつづく~