オペラ座の怪人な日々

オペラ座の怪人とドールハウス作りにはまっているミミルのページです。

ラブ・ネバー・ダイズを見た!

2018-06-06 17:00:00 | オペラ座の怪人
※ 以下、「オペラ座の怪人」及び「ラブ・ネバー・ダイズ」に関する盛大なネタバレを含みますので、ご注意ください。

ソウルのオペラ座の怪人コンサートでクリスティーヌを演じるのがアナ・オバーンだと知り、ついにこれまで買ったものの封印していたラブ・ネバー・ダイズを解禁することに。
通販サイトのレビューなんかは拝見していたので、自分の中のオペラ座観が壊れてしまうのが恐ろしく、これまでなかなか見られずにいました。
でも、CDとかで一部の曲は聴いていて曲がすばらしいのは分かっていたし(とくに、TIHYSはすごい名曲だし!)、ベン・ルイス演じるファントムを見てみたい気持ちもあったし、ということで、これを機に一大決心をして観てみました!

…内容はみなさんおっしゃる通りでした(^_^;)
三文小説っていうのでしょうかね、こういうの。ほんとにフォーサイスはこんなストーリー作ったんでしょうか?
ちなみに、フォーサイスのマンハッタンの怪人も本は持ってますが、同じ理由でこれまで読んでいませんでした。

いやー、でも、納得いく部分もあるのです。
オペラ座は、ファントムとクリスティーヌ(そしてラウルも)の恋物語(恋だけともいえない部分もあるけど)に焦点が当てられていて、その他の登場人物については人物描写も削ぎ落とされ、たとえば、メグやマダムなんかの内面とかはすべて捨象されてしまっています。

それが、ラブ・ネバー・ダイズでは、一気に彼女らが人間味バリバリに描かれてるんですよね。
そういう意味ではオペラ座が現実味のないお伽話的な様相を呈してるのに対して、ラブ・ネバー・ダイズは対局的にドロドロとした人間ドラマに仕上がっています。
ラウルやマダムやメグの描かれ方については、オペラ座ファンからすると、ちょっと「??」となるところもありますが、翻って考えてみれば、「人間だもの」と、妙に納得させられる気もしました。
だってさー、そりゃ、メグだってクリスばっかり取り沙汰されて、親友の成功を喜ぶ反面、嫉妬もするだろうし面白くないところもあるよねー(。-_-。)
マダムも昔からファントムをかくまって助けてたわけだしね、そこには複雑な感情もあったよねー。
ラウルだって若い頃は燃え上がったとしても、結局自分はクリスに音楽を与えられるわけじゃないから、求められてないのかも、ってヒネちゃったりもするよねー。
と、拗らせまくったこれらの3キャラが、妙に人間臭く、ある種のリアリティを持って描かれてます。
(まあ、だいぶ誇張されてはいますけどね(^_^;))

しかし、そんなことよりも!!!
大問題なのは、
グスタフがクリスティーヌとファントムの子だってことですよ!
ってことはね、クリスとファントムの間には肉体関係があったってことですよ。
ここ、きっとオペラ座ファンの方の大半が「えーー!!」ってなるとこだと思うんですよ。
もちろん、私も「マジかー(*_*)」となりました。
もし、そういうタイミングがあったとすれば、
ハンニバルの初日のあと、大鏡から現れて、クリスを地下に連れて行って一夜を過ごしたときだとは思うんですけど、
オペラ座を観ていたときには、ファントムは気絶したクリスを紳士的にボートに寝かせただけ、って思ってましたよ。
でも、ラブネバの設定からすると、そのとき、きっとあんなことやこんなことが・・・
ってことですよね。
うーん(゜_゜)もし、そういうことがあったとしても、
あの状況からすると、クリスが気絶していることを奇貨として、って感じで、もはや犯罪レベルの行為じゃないでしょうか。
目を覚ましたクリスがすんなり受け入れて、っていうのはどう考えても不自然ですよねぇ。

それに、ラブネバでのやり取りを聴いてると、
クリスとしては、私はあなたを愛していたのに、あなたは勝手に消えてしまった、的なことを言っているようです。
「え?そう、、、なの?」呆気にとられます。
オペラ座でも昔は今よりもミュージックオブザナイトとかのとき、ファントムがエロかったとかいう話も聞いたことがありますが、
今はわりと音楽の師という側面が強く描かれているように感じられるので、
このラブネバのように男女の性愛的な面をばーん!と突きつけられると、やはり戸惑いを隠せないですね、私としては。
まあ、2004年の映画のジェリー・ファントムとかなら、あまりにエロいので、そうなるのも無理はないとも思いますけどね、アハ(๑ơ ₃ ơ)♥

それはさておき、やはりラブネバの冒頭で、「あのとき、二人であんなに燃え上がった」なんて話を子供が聴いているかもしれないところで延々とするのは、どうもね・・・。

以下は、あくまでも私の個人的なオペラ座観に基づいています。
クリスはファントムに亡き父の面影を重ねつつ、音楽の師(エンジェルオブミュージック)としてファントムを慕う気持ちがあったけど、
男性として愛するという気持ちではないし、それにファントムは人殺しなど恐ろしいことをするから、
どうにも受け入れがたい気持ちだったわけですよ。
だからこそ、ファントムの渾身のプロポーズをみなまで言わせず、
ズルッとマスクを剥いだりする狼藉もするわけですよ。
で、ラストではラウルを殺されたくなければ自分のものになれ、なんて卑劣なことを言われて、心底ムカついていたはず。
というか、ここはクリス自身の口からもファントムに対して抱くのは「憎しみ」だと語られていますよね。
それでも、ファントムにキスをするのは、ラウルを助けたいという気持ちももちろんあるのでしょうが、
不幸な人生を送ってきたファントムへの憐み、音楽の師としてのファントムに対する尊敬の念、ここまで愛してくれるならというほだされ感(?)とか、人間としての心を取り戻してほしいという期待感とか、
いくつかの感情が入り混じっていたんだと思うんですよ。
何度みても、私もこの部分への解釈を自分の中ではっきりさせることができずにいますし、
そこがこの作品の魅力でもあると思います。

それが、続編とされているラブネバで、私はあなたを選んだのに、あなたは消えたって言われてもねぇ・・・。
しかも、クリス、そのあと、まるで生娘のような顔して、ラウルのとこに嫁に行ったあげく、
ファントムの子をラウルの子であるように偽って育ててきたなんて・・・、クリス、したたかすぎる。
クリスをただの世間知らずのお嬢ちゃんだと思ってた私がいちばんのネンネだったってことね!
たいしたタマだわ、クリスティーヌ・ダーエ!

とまあ、これまで自分の中で築かれてきたオペラ座観を見事にぶっ壊しにくるのがこのラブネバってやつなんですよ。
こいつは厄介だ。
何が厄介かって?
気に入らないならただ否定すればいいじゃないですか。
これがね、ぜんぜん別人が勝手に作った続編というのなら、無視できるんですよ。
しかしね、このラブネバ、アンドリュー・ロイド・ウェバー卿自身が積極的に作られたっていうんですもの。
そりゃ、その存在を無視するわけにいきません。
それにね、さすがALWの手によるだけのことはあります。
また、楽曲がいいんですよ~。
そんなこんなで、決して無視することもできず、しかも楽曲や画面的な魅力なんかもあって、
一度見終わっても、また見たいかも、と思い、しかし、オペラ座好きとしての葛藤を抱えながら見ざるを得ない、
そんな恐ろしい作品なのです、ラブネバってやつは。
でね、自分の中でどうにかこうにか折り合いをつけようと思って、
私はこう思うことにしました。
「これは、私の愛する『オペラ座の怪人』の直接の続編というわけではなく、
その世界と並行的に存在していたかもしれないファントムとクリスが愛し合っていたといういわゆる『パラレルワールド』の続編なのだ」と。
やっぱり、あのオペラ座の続編としては、整合性がないと思うし、そうであってほしくない、と思っちゃうんですよね。
でも、どこかで何かが少し違っていたら(たとえばファントムが無駄な人殺しをしない人だったら、とか、ラウルがイケメンじゃなかったら、とか)、もしかしたらクリスが男性としてのファントムに惹かれて、そういうことになったこともあったような、なかったような、やっぱりあったかもしれないような、そんな世界も存在したかもしれません。
ラブネバは、そのような「もしかしたら存在したかもしれない別の『オペラ座の怪人』の世界」の続編なのです、きっと。

はあ、そう考えると、自分的にはかなりスッキリ!

ところで、この作品って、今年大ヒットしたヒュー・ジャックマン主演の映画「グレイテストショーマン」との類似点が気になりますよね。
これは、ほんとに自分がこの作品を見たタイミングがたまたま、ということなんですけど、
舞台がニューヨークのサーカス、そこに招聘されるスウェーデン人の高名なオペラ歌手って、
グレイテストショーマンの設定と被りすぎじゃない!?

しかし、サーカスの描写がこの2つの作品ではすごく対照的に私には感じられました。
私の中では、サーカスとか見世物小屋って、ちょっと暗くてアヤシゲなイメージで、
江戸川乱歩好きなので、そういう世界観というか。
ラブネバのサーカスはまさにこのイメージですね。
かなりアヤシイ雰囲気。
それを演出する音楽も妖しげです。
それに対してグレショのほうは、明るくて、前向き!
とにかくポジティブだしパワフル。
まさに陰と陽といった感じです。
小さな人ひとりとっても、ラブネバの方はかなり妖しいですが、グレショの親指トム将軍はわりと普通の若者っぽい。
ちなみに、日本の舞台でも、この小さな人は出てくるのでしょうか??
そして、興行主も対照的。
ラブネバでは謎に包まれた孤独な男ですが、グレショでは家族思いのアツイ男(-´∀`-)

で、なぜ歌姫はスウェーデン人なのでしょうか?
グレショのジェニー・リンドは実在したらしいし。
ってことは、当時は歌姫といえばスウェーデン出身が多かったとか?
逆にガストン・ルルーがリンドの存在に着想を得た、とか??
時代的にはなくもないかな、と思ってちょっとググってみたら、
クリスティーヌのモデルはどうやら他にいるらしいですね。
クリスティーナ・ニルソンという人で、やはりスウェーデン人だとか。
やっぱりスウェーデン人歌姫というのが多いのですね!

しかも、なぜサーカスの興行主がオペラ歌手に歌わせたがるのか?
アメリカではバーナムさんのことを知らない人はいないというほど有名らしいから、
もしかしたら、フォーサイスがこの原作を作ったときに、史実としてのバーナムさんの話が頭にあったりしたのかな?とかいろいろ勝手に妄想してしまいます。

普通の方なら、先にラブネバを何年も前に見ていて、今年グレショを見たときに、「あ、設定似てるじゃん」ってなるのでしょうが、私はたまたま個人的な事情でグレショ→ラブネバの順に見ることになったため、いろいろと勘ぐってしまいます。
しかも、グレショにドハマりしてたタイミングで、ラブネバも見たもんだから、余計に自分の中で、偶然とは思えない!って気持ちが強くて(笑)

いやー、マジで、ラブネバ見てるとき、
クリスがステージに立ってるシーンで、
もしかして、
「ネバーイナーフ!」って歌い出すんじゃないかと思っちゃいましたよ。
そんなことあるわけないんですけど。
クリスのドレスがもし白だったら完全にヤバかったですね( ´﹀` )

そういえば、細かいことなんですけど、ラブネバって、
英語表記だと「Love Never Dies」って三単現(なんか懐かしい!)のs(ズ)がつきますけど、
日本語表記だと、「ラブ・ネバー・ダイ」ってなってて、ズがつかないんですよね。
ズあったほうがよくないですか?私はスマホの予測変換でなぜか「ラブ・ネバー・ダイズ」って出るので、ズあり派です!

長くなってしまったので、いったん切ります。
具体的な感想については、また改めてもんびりと書かせていただきたいと思います!

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (なっち)
2020-01-17 22:20:58
素晴らしい!同感!言い表せぬ気持ちを見事に言ってくださっている!やはりそうおもいますよねぇ~、
同じような感想を持たれてる方がいらして、ちょっとスッキリです
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別物と思えば・・・ (ミミル)
2020-01-20 16:27:03
なっちさん、はじめまして!
コメントありがとうございます。
ラブネバはあくまでもオペラ座とは別物と思えば、悲劇的ながらも成就する二人の愛にカタルシスが得られる素晴らしい作品だと思います。
ファントムとクリスの愛が成就するという点では、コピットの「ファントム」も、ALWオペラ座とはずいぶん趣が違いますが、素敵な作品だと思います(*^-^*)
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Unknown (ハーティ)
2020-05-03 21:05:20
こんばんは。
はじめて書き込みさせていただきます。
クリスの女心についてとても深い洞察だなぁと思いました。ほだされ感や、とんだネンネ笑など、とても語彙が豊かだなぁと思いました。
クリスってカマトトや猫かぶりだとは思いますが、女心あるある笑なキャラなんですよね。
キリスト教の貞操感の理想と現実みたいなところも考えてしまいます。ALW版はほんと好きです。
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Unknown (ミミル)
2020-05-07 13:53:33
ハーティさん、はじめまして!
コメントありがとうございます。
先日の無料配信でも、オペラ座&ラブネバ盛り上がりましたよね!
深い洞察、とは、恐れ入ります(n*´ω`*n)
「キリスト教の貞操感」なるほど~。
最近、StayHomeで家にいる時間がながく、
DVDなどをなんとなくだらだらと流していることが多いのですが、
新たな気持ちでまた見直してみたいな、と思ったりもしています。
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