オペラ座の怪人な日々

オペラ座の怪人とドールハウス作りにはまっているミミルのページです。

映画「オペラ座の怪人」(1962年)

2017-08-28 23:55:22 | オペラ座DVD/Blu-Ray
※ あらゆるバージョンの「オペラ座の怪人」のネタバレを含みます。内容を知りたくない方はご注意ください、


昔の映画シリーズ第三弾です。
ハマープロという会社のバージョンです。



舞台はロンドンに変更されています。
そして、1943年版と同じく、ファントムは、硫酸のようなものをかぶるという不慮の事故で後天的に醜い顔になる、という設定です。

オープニングで、ファントムの手やマスクが大写しになるのですが、ここは個人的にはかなりキツかったです。
ワタシ的ファントム史上もっとも清潔感がないです。これは、マイッタ(;>_<;)
ミュージカル版では、洒落者で、いつもパリッと決めてるファントムさま。
しかし、この映画のファントムは、不潔そうだし、服もボロボロ。
しかし、よく考えると、地下の穴倉で長年暮らしてるなら、ばっちくなるのも無理ない、というか、むしろそのほうが自然よね(。-_-。)
ただ、ミュージカルでは、支配人から月2万フランの給料もらってる設定なので、ときどき新しい服なんかもコソッと買いに行くのでしょう(-´∀`-)

冒頭であと気になるのは、謎の男。
何者なの?
あとあと、こいつが殺人を犯したりするのですが、、、
いつか何者なのか明かされるのかと思って見ていたら、ファントムも分からないって言ってた!!なんだよ!結局謎のままかよ!

本作のファントムは、ずばり、いい人!!
ファントムは、人を殺してないし、熱心な歌の先生だし(熱心すぎて、ちょっとスパルタだけど(^_^;))、ラストでは、クリスの身代わりになって落下するシャンデリアの下敷きになるし、悪人要素ないじゃん!!
これはこれで、ちょっと泣けるかも。
ミュージカル版よりもだんぜんいい人です。ここまでいい人だと、怖くないし、憎めないですね〜
最初は清潔感なくてやだな、と思いましたが、心はもっとも清らかな方でした。失礼しましたm(_ _)m
こういう効果を踏まえて、敢えて、外見を汚くしてるのでしょうか??

クリスは1943年版とは違って、身持ちが堅い子かと思いきや、ラウル的位置づけのプロデューサーのハリーとは、かなりイチャイチャしてて、あらら、みたいな。
さらに、ミュージカルにはいないキャラとして、
ファントムと対照的な位置づけの作曲家ダーシー卿がいますが、こいつが盗作野郎だし、クリスに枕営業を迫るしで、とにかくゲス野郎(▼皿▼メ)
それに対して、ファントム=ピートリー教授は純粋に音楽を愛し、素晴らしい才能を持つクリスを一流の歌手に育てたい一心という、邪心のない清らかな存在です。

好きなシーンは、ファントムが、スパルタ教育でクリスに対して歌のレッスンをしてるところ。
あそこは、ファントムが、ほんとうにクリスを素晴らしい歌手に育てたい、というひたむきな想いが伝わってきます。
このファントムはクリスに対して、男としてのいやらしい気持ちは抱いてなくて、純粋な芸術家なんだ、という感じがします。

ストーリーの破綻もなく、なぜファントムと化したのかについても割と説得的でした。ピートリー教授、ただただ哀れな人です。、

オペラのシーンは、あまり見応えがなかったかな、、、この点は、1943年版がよかったですね。
アナトールの歌声が、かなりよかったので(o´∀`o)
ただ、吹き替えがついてるのは嬉しい!

クリス役の女優さんは自分的にはあんまり可愛くありませんでしたが、ミュージカル版のファンは、「いい人ファントムさん」を見ても損はないかも。
でも、女子はただのいい人より、チョイ悪に惹かれるのよね〜
(ミュージカル版ファントムは、チョイ悪じゃすまないだろー)

映画「オペラの怪人」(1942年)

2017-08-28 10:00:00 | オペラ座DVD/Blu-Ray
※ あらゆるバージョンの「オペラ座の怪人」(「オペラの怪人」も!)のネタバレを含む可能性があります。
内容を知りたくない方はご注意ください。

タイトルよく見たら、「オペラ座の怪人」じゃなくて、「オペラの怪人」やんけ〜(>□<;)

なんだ、この微妙な改変。
でも、ぜんぜん別物というわけではなくて、一安心。
テクニカラーで色もついていて、セリフや歌もあるし、フィルムの傷も少ないので、見やすいです。


パッケージ裏の解説によると、
ロン・チェイニー主演の1925年版のセットをそのまま流用してるらしいです。
それに、歌手のアナトール役とクリス役は吹き替えでなくちゃんと歌を歌ってるとか。

ストーリーとしては、エリック(ファントム)が、クリスティーンの実父で、事件を起こして後天的に醜い外貌になる、
という大胆なアレンジが加えられています。
エリックは、最初、めっちゃイケメンダンディーなオジサマなんですよ。
この人がファントムになるなんて!、っていうような。
(何かの役で有名な俳優さんなんですよね?)

あと、地味に登場人物の名前なんかもかなり変えられていて、クリスの苗字がデュボア(フランス人ぽくなってる)、カルロッタの名前がビアンカローリ(これは覚えにくい)とか。
それに、ラウルの職業が警察官っていうとんでも設定!
ラウルは子爵なところにアイデンティティがある人なのに、、、
もはや、原型を留めていないかも。
そして、ファントムがクリスの実父なので、横恋慕する役はオペラ歌手(テノールじゃなくてバリトンなのかな??)のアナトールだし。

さらに、キャラの性格づけも微妙、、、
冒頭でクリスは、上演中のオペラの舞台から抜けだして、彼氏(ラウル)とイチャつくような不良ムスメなのよ。
二人のオトコを天秤にかけて、喜んだりする小悪魔的なところも垣間見えるしさ。
うーん。感情移入しづらいな(^_^;)

ビアンカローリ(カルロッタ的存在)は、自分に薬を盛った犯人はクリスとアナトールだから、逮捕しろと、
警官のラウルに迫ったりもします。このあたりですでに警察が出てくるのも、なんかチグハグな気もするけど、
そもそもラウルが警官なんだから、仕方ないよね!
でも、ビアンカローリ嬢、結局あとで殺されちゃうの😢

ただ、舞台のセットなんかは、なかなか興味深いシーンがあります。
劇中のオペラ「グロイアの恋」では、マスカレードを彷彿とさせる大階段での舞踏会のシーンもあります。
このときのアナトールの衣装が、(なんの役かはよくわからないけど、軍人かな?)、
舞台のマスカレードのときのラウルの衣装に似てるのです。

それに、シャンデリアが落ちてくるところの、「仮面の王子」の舞台はかなり豪華で、アナトールの歌も聴き応え充分(-´∀`-)
ダンサーなんかのバク転も華やかで、こういうとこ、けっこう力入れてるなと感じますね。
オペラシーンはかなり楽しめる作品となっています。
欲を言えば、オペラの歌詞にも字幕をつけてほしかった!
どんなストーリーなのかまったく分からなかったので(´•ω•`;)
個人的には上演中止になったドン・ジョバンニのシーンが見たかったな(-´∀`-)

ところで、エリックは、なにか深い訳があって、クリスには自分が実父であることを隠してたんでしょうね。
(そのへんが描かれてないのも作品としての欠点だと思います…)
クリスのほうは、エリックが父なんて、まったく知らない様子。
しかし、最後にクリスが昔から知ってる子守唄をエリックが弾いているのを聴いて、「哀れに思える」と、、、
もう少し長く一緒にいられれば、親子として情を通わすこともできたかもしれませんよね。
エリックとクリスが二人で過ごすのは、ほんとに一瞬なのよね〜
あれじゃあんまりエリックに肩入れもしないよね。

ラスト、怪人の隠れ家にラウルとアナトールが押し入ってきて銃を撃ったりしたら、
壁が崩れ始めたので、三人は命カラガラ逃げ出すのですが、怪人はどうなったのでしょうか?
バイオリンと仮面が瓦礫の中に置いてあるシーンは、生死がはっきりとせず、ミュージカル版に通ずるものを感じました。

その後のラウルとアナトールは、もう二人がつき合っちゃえばいいじゃん!、て感じのコメディタッチのエンディングでした!
この二人は顔のタイプが似てるし、口髭があるしで、見分けにくいやつです。
(´Д`)=3

いろいろツッコミどころは満載でしたが
意外と面白く見ることができました。
できれば、もう少し、クリスがエリックと心を通わせて、実父であることに気づき始める、くらいの丁寧さがあってよかったのかも。
結局、クリスはエリックか父親だとは気づかなかったみたいだし。
このへんに、もうちょっと伏線とか、展開に工夫が欲しかった!