オペラ座の怪人な日々

オペラ座の怪人とドールハウス作りにはまっているミミルのページです。

メグの気持ち

2017-08-26 12:55:08 | オペラ座の怪人
※ オペラ座の怪人に関するネタバレを含みます。
内容を知りたくない方はご注意ください。

いままで、何回か見ているうちに、登場人物たちの気持ちを考え、
感情移入できるようになった、などとさんざんほざいていた私ですが、
そんなのはとんでもない思いあがりでした。
だって、私が考えていたのは、メインの3人のことばかりだもの。

今まで、メグのことなんて、まともに考えてあげたことなかったのです。
メグ、ごめんね(T_T)
衣装も一種類しかないし!


メグって、主人公の親友役なのに、
あんまり詳しい事情も聞かされておらず、完全にカヤの外っていうか、
ちょっと軽く扱われている役ですよね。
でも、そのメグが、ラストでファントムの隠れ家にやってきて、彼の仮面を見つける。
そこで、幕が下りる、という重要なシーンを任されているんですね。
今まで、なぜここでメグがファントムの隠れ家にやってくるのかなんて、
深く考えたこともありませんでした。

クリスたちを心配する気持ちと
他の群衆と同じように、ファントムを捕まえなくては、という正義感から
ただ追ってきたのだとしか思っていませんでした。

しかし、先日、母に完成したコマ撮りの映像を見せたときに、
母がぼそっと「メグってどうして地下におりてきたのかしらね」とつぶやきました。
「きっと、メグもファントムに歌を教わりたかったから来たのね。そしたら、仮面だけ残されていたのね」と。
えー。
そいういう解釈してたんだ!
私はまったく何とも思ってなかったのに。

そうしたときに、私の中で俄然メグの存在がクローズアップされてきたのです。
今までは、親友の成功を手放しで喜ぶ「いい子」のイメージしかありませんでした。
まあ、クリスが「パパが音楽の天使を送ってくれたの!」と言っているときに、
「この子、頭大丈夫かしら?」とちょっと引き気味なんだな、とかは思ってましたけど。
しかし、ひるがえって考えてみれば、
メグにもいろいろと思うところがあったはずです。
姉妹同然に育ったクリス、なんでも話し合える親友だと思っていたのに、
いつのまにか謎の先生からレッスンを受けてとても歌がうまくなっていて、一躍スターに。
「クリスティーヌ・ダーエなら歌えるかもしれませんわ!」と推挙したものの、
一気にスターダムに駆け上がっていくクリスの姿に嫉妬心をまったく覚えなかったといえば、嘘になるかもしれません。
そのうえ、ハンサムでお金持ちの彼氏まで。(ここは、映画版で初めてラウルが登場した時のメグの「ハンサムじゃないの!」というセリフからも窺い知ることができるかも。)
私なんて、いつまでも厳しいママに叱られてばかりなのに・・・。
それに、ママはなんだかいろいろ隠しているみたいだし・・・。

「なぜ、私じゃなくて、クリスティーヌなの?」
私だって、大勢の踊り子のひとりじゃなくて、
スポットライトを浴びて舞台に立ちたい!!
メグがどんなに性格のいい子だとしても、こう思うのは罪ではありません。
母が言うように、ラストの段階で、自分もファントムから歌を教わりたい、
とまで思っていたかどうかはわかりませんが(そういう解釈もアリアリだと思います。)、
とにかく、単純に親友を心配して来た、とかではないんでしょうね。
それまでなんとなくカヤの外に置かれてきた彼女の立場としては、
自分の目で真実を確かめたい、ファントムに自分も会ってみたいというような気持ちはあったのだと思います。
だからこそ、誰よりも早く隠れ家に到達して、玉座を見つけたのです。

今後は、メグの心情に注目して、また舞台版や映画版を見返したいと思います。

まだ見てはいませんが、メグの心理に今のうちから思いをはせておくと、
続編の「ラブ・ネバー・ダイズ」もより楽しめるのかもしれませんね。



無声映画「オペラ(座)の怪人」(1925年)

2017-08-26 09:47:00 | オペラ座DVD/Blu-Ray
※ 無声映画版(1925)、映画版(2004)または舞台版(劇団四季、ロンドン25)の「オペラ座の怪人」のネタバレを含みます。
内容を知りたくない方はご注意ください。

やはり、いろいろなものを見比べてみたいという事で、
いちばん最初の映像化というロン・チェイニー主演の無声映画版のDVDも見てみることにしました。



amazonで790円で購入することができました。
無声映画ってチャップリンくらいしか見たことありませんでした。
セリフがないので、つい眠くなってしまったり、、、
冒頭のオークションのシーンはありません。
ただ、前半は各シーンの順番が多少前後するものの、わりと舞台のイメージに近かったです。
冒頭のバレエのシーンは、舞台のイル・ムートの3幕のバレエによく似ています。

登場人物としては、マダム・ジリーやメグが出てこないところが大きな違いですね。
マダム・ジリーの代わりにラウルを地下に案内するのは、秘密警察のルドゥーさん。
この人、謎めきすぎてて、怪しさMAXです。
謎のペルシャ人とはまた別人なんですかね。
ラウルは、口髭のオッサンですね。なぜか兄とともに出てくるし。
カルロッタは本人はセリフなくて、母親がステージママで、かなり強烈なタイプ。
新支配人は舞台と同じく二人ですね。名前は出てこないけど。

ファントムの仮面はなんかかわいらしいです。
眉毛があって、目もなんかかわいい。
でも、外したとこは、、、ちょっと笑える感じかな。

地下の隠れ家に降りてくところは、馬にクリスを乗せてますねー。
ウェバーはこのシーンを映画版で再現したかったんだね、きっと。

しかし、無声映画というのは、セリフもないので、なんとなく場面場面を長く感じてしまうので、早回しで見られるといいんだけどね(。-_-。)
音楽も単調だし。

劇中で演じられるオペラは、こちらは、「マルグリット」と「ファウスト」だそうです。
ドン・ファンの勝利を作曲してるシーンはありますが、演じられることはありませんでした。

後半は大きく舞台とは異なっています。
なぜか、ラウルの兄がファントムに殺されちゃうし。
ファントムがクリスに、ラウルたちを助けたければ自分の花嫁になれ、YESなら蠍を回せ、と迫るのですが、蠍を回すってなんですかね?
そうでなければ、キリギリスを回せって、、、

左がサソリで右がキリギリスらしい。
原作にはあるんでしょうかね?

だんだん、先が読めなくなってきたので、最後はどうなるんだろう、と興味津々で見てましたが、最後、ファントムが、クリスを連れて地下から逃げ出すのは意外でした。
往生際悪いよー。
群衆が雪崩れ込んできて、追いかけてくるってのは、フランスっぽいですね。フランス革命のイメージとか。
逃走の途中でクリスは馬車から投げ出されて助かりますが、ファントムは、怒れる群衆に捕まって、リンチされて川に投げ込まれます。
これは、このまま死んでしまったってことでしょうか??
ここで、エンドマークが出てあっけなく終わっちゃうので気になるところです。
そういえば、残念なポイントは、手紙の文面が映るシーンが何回かあるんですけど、字幕が出ない!こと。
英語が分かる人ならいいけど、そうじゃないとツライ(>□<;)ストーリーに関わる内容だったりするし。
手書きで読みにくいとこもあるし。
ケチらないで字幕をつけてほしかったなあ。

前半は舞台とも似たシーンもありましたが、全体を通じて受ける印象はまったく異なります。

この作品では、クリスにとって、ファントムは、最後までファントムでした。
エリックという人間としての名前が出てきたにも関わらず、彼女の目にファントム=エリックが人間として映ることはなかったのでしょう。

舞台版では、クリスにとってのファントムは、単なるバケモノではなく、歌を与えてくれたエンジェルであり、そしてひとりの哀れな人間だったのです。
最初こそファントムの顔にはビビりますが、クリスにとってはあとあと外貌の醜さはそれほど問題ではなくなっていったのです。

これに対して、無声映画版は最初から最後まで徹頭徹尾、クリスはファントムをバケモノとしか見てなくて、忌み嫌われるだけの存在として描かれています。

この点の舞台版での解釈により、このオペラ座の怪人という物語は単なるホラーから、世界一哀しい愛の物語に昇華されたのですね。
改めて、舞台版の素晴らしさを痛感しました。
このストーリー改変とウェバーの音楽が相俟って、世界一愛されるミュージカルとなったわけです。

2005年に劇団四季の舞台を初めてみた時の私の感想もどちらかというと無声映画版の印象に近いものでした。完全に私の理解不足なわけですが(^_^;)
「誰がどう考えても、醜くて人殺しの怪人にほだされる訳ないじゃん!」と。
しかし、その後、何回も見てストーリーに対する理解が深まるとともに、登場人物たちに感情移入できるようになり、ファントムの歌声に酔いしれ、また、今年の横浜公演における大幅な演出変更などとも相まって、いまや、「私ならファントムさまを選ぶ!」と思うまでになりました。
私、成長したねぇ( * ´_` * )
ミュージカルの面白さって、こうやって見るたびに深まってく、というところにもありますよね。

そうそう、無声映画版ですごかったのは、マスカレードのシーン。
かなり大勢がいろいろな衣装を着て踊っているシーンが圧巻でした。
なぜか、そのシーンだけうっすらとカラーになっていました。
このシーン、フルカラーで見られたらすごく楽しそう(-´∀`-)
カラーなので、赤ガイコツ姿のファントムが出てくるシーンはけっこう迫力がありました。

この衣装は、よくできている感じで、舞台版の衣装にかなりの影響を与えているように見受けます。

ということで、昔の作品を見ることで、より深く舞台版の魅力を感じられるようになりましたし、逆に、舞台版や2004年の映画版がこの無声映画からヒントを得ているところもあるとか、知ることができてよかったです。

他のオペラ座作品もどんどん見て行きたいと思います(^O^)/

最後に、個人的にツボだったシーン。
誰か来た、と言って、おもむろに壁の棒をつかむファントム。
木刀みたいな感じで敵を迎え撃つのかしら、と思っていたら、、、


口にくわえた?

そして!水に入ってく!!

シュノーケル代わりの竹筒だったのですね?(笑)
意外すぎて笑えました。