古稀背包客放浪記

古稀バックパッカーの東南アジア見て歩る記

絲綢之路11 カラクリ湖の空振り

2011-11-09 01:07:00 | 旅行

朝日に輝くムズータクアタ峰(7546m)(新疆ウイグル自治区カシュガル地区)
還暦背包族(bei bao zu)放浪記 その126

2011年10月x日
カシュガルに風が吹いて、街は土埃の中に沈んだ。
辺りは朦朧として霞んでいる。

時々風が舞う。

パキスタンのギルギットの青年が日本の娘に恋をした。
彼の名はJ.フセイン、23才の敬虔なモスリムだ。

二週間ほど前に、トゥルハンの青年旅舎で彼は日本人の女の娘の「Mi」に会った。
彼は一瞬にして恋に落ちた。
彼は以前から日本に興味を持ち、日本語の勉強をしていたが、同時に日本の女の娘にも強い憧れを持っていた。
色々な条件があったにせよ、彼には運命と思える出会いであった。

「Mi」が困っていればその手助けをし、こまごまと世話を焼いていた。
「Mi」が時計を無くしたと言えば、カシオの時計を買ってきてプレゼントした。
十分に自分をアピールし、彼女の注意を引こうとしていた。

一週間後にカシュガルで再会し、数人で、カラクリ湖への一泊旅行もした。
常に、彼は「Mi」に寄り添い楽しげであった。

標高3600mのカラクリ湖は既にシーズンオフと見えて閑散としていた。
しかし、山々は昨夜降ったのか、うっすらと雪をかぶって眩しく輝いていた。
遠くのゴングール峰(7719m)や、世界百名山のムズータクアタ峰(7546m)も白銀に輝いていた。
辺りに、「みどり」は無い。
ただ、荒涼とした高原の風景があった。
明け方には、ゲルの中で零下13℃を記録した。
そんな中、彼女らは湖畔を歩いている。

付き合ってください。
パキスタンに一緒に行こう。
結婚してください。

カシュガルに帰った昨晩、「Mi」はヨーロッパの男達とテラスで酒を飲み、タバコを喫い、その後バル(バー)に繰り出して遅くに帰ってきた。
全ての行事に参加できないモスリムの彼は、それを痛々しげな悲しい眼で眺めていた。

J.フセインは小生にこう告げた。
私は間違ってました。
神様の許しを得ていない。
神様にとって「Mi」は悪い人です。
恋をした私は間違っていました。
私の神様は「Mi」を許してくれない、、、

明日の朝早くにギルギットに帰らなければならない彼は、昨夜のヨーロッパの男達と出かけた「Mi」の帰りを、宿のロビーで待っている。
やはり、完全には諦め切れないようだ。
未練がましく、悲しげな眼差しで佇んでいる。

お父さん(彼は小生のことをそう呼んでいる)私は行かなければなりません。
今日は別のホテルに友達と泊まります。
明日の朝早くにギルギットに帰ります。
もう、此処には来れません。
「Mi」は私に電話しなければなりません。(電話して欲しい。)
「Mi」にメッセージを残しましたが、彼女に伝えてください。
ずっと帰りを待っていました。
私、難しい、少し悲しい、困難です。
私の神様は助けてくれない。

宗教と戒律、国籍と人種、男と女、
旅の空のカシュガルでの小さな出来事です。

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