遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

お布施?

2006-06-23 08:23:24 | Weblog
・・・首都圏某所。
故人様は80歳代のおじいちゃんです。

無宗教ということで、「湯灌」ではなく「お風呂」としての発注でした。(使う道具・方法はほとんど同じですが・・・)
お風呂好きだったそうですが、お亡くなりになる一週間前から微熱があり、入れなかったそうです。

ご遺族様から

「宗教が嫌いな人だったから宗教的な言葉は使わないでください。」

と言われ、緊張しました。
意識して使わないと言うのも難しいものです。


しかし・・・

「末期の水はとらないのでしょうか?」

と質問されたので末期の水はお取りすることにしました。(宗教的なことはしないでほしいと言っていたのに・・・)


お着せ替えのときは、

「死装束(仏衣)は着せてもらえないのでしょうか?」

とのことでしたので、仏衣をお着せしました。

「数珠もかけてあげなくては・・・」

とご用意されたお数珠をお掛けし・・・


結局、通常の仏式の湯かんを行いました。



ご遺族様の要望をすべて聞き入れ(通常の湯灌をしただけですが)、非常に喜んでくださり、立ち会われていた皆様に深々とお辞儀をされ、感謝されてしまいました。
帰りがけに喪主様より

「本当にありがとうございました。これをお納めください。」

とお布施と書かれた分厚い封筒を差し出されました。

明らかに封筒の厚みから大金が入っていることがわかったため、

「誠に恐れ入ります。お気持ちだけ頂戴します。」

と丁重にお断りしました。

それでも喪主様は

「うちはお寺さんにきてもらってお経もあげてもらわないし、戒名もつけません。お寺さんのお経よりも価値のあることをおじいちゃんにしてもらいましたから受け取ってください。」と。

私たちは、

「それではお気持ちだけ頂戴しましたので、こちらでお花を少しでも多く添えていただき、故人様を送って差し上げてください。」

と丁重にお返ししました。


喪主様は私たちが絶対に受け取らないと思ったのか、

「本当にありがとうございました。」

とお礼を言われ、私たちのクルマが見えなくなるまで見送ってくださいました。



・・・正直、封筒の中身が気にならないといったら嘘になりますが、それよりも「お寺さんのお経よりも価値のあることをしてもらいました。」という喪主様の言葉は私にとって宝物です。





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