遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

業務中の大盛ラーメン

2006-06-18 09:31:41 | Weblog
今日は午前1件・午後1件で湯灌を2件、施行しました。

午後の湯灌が17時に予約をいただいていたため、午前中の湯灌を終え、一度会社に戻り、社内の雑務を済ませてからご葬家に向かいました。

会社から高速道路を使って2時間くらいあるところで、あたり一面、田んぼと山でした。

16時くらいに到着したため、近くのコンビニで「ジューシー肉まん」を食べてエネルギー補充。準備があるため、16時30分に訪問。


・・・故人様は80歳代のおじいちゃんです。
ご自宅に到着し、準備開始。
門の前にクルマを着けさせていただき、お部屋までホースを引きました。
大きな家でクルマからお部屋まで30Mくらいあったため、準備も大変です。

お身体の処置、機材のセットが完了し、ご家族にお集まりいただき、湯灌を開始。
末期の水では、日本酒がお好きだったとのことで日本酒で末期の水をお取いただきました。


50歳代の娘さんが、

「おじいちゃん、お風呂が好きだったから良かったわ~」

「おじいちゃん、良かったわね~」

ご家族の皆様も

「じいちゃん、よかったな~」

「きれいに洗ってやるからな!」

などと声かけをされていてアットホームな雰囲気で立ち会われていました。

一度目のシャンプーが終わり、二度目のシャンプーを開始したとき、一気に雰囲気は変わりました。

出前を頼んでいたらしく、お部屋にラーメンが運ばれてきました。
娘さんが、

「スミマセン、途中で申し訳ないけど中断してもらえますか?」


シャンプーをたっぷりつけ、故人様の頭は泡泡の状態。

しかも、

「あなたたちの分もあるから一緒に食べましょっ!」

「ここのラーメンは美味しいのよ!」

と・・・・。


私も先輩もかなり戸惑いましたが、ご遺族様の好意?をお断りするわけにも行かず、

「シャンプーを洗い流してからでもよろしいでしょうか?」

と了承いただき、シャンプーを洗い流し、髪が濡れたままでは可愛そうなので、頭にタオルを巻き、テーブルに着きました。

故人様は浴槽の担架ネットの上でお休みいただいている状態なのに、ご家族の皆様は誰一人、疑問に思う人はいないらしく、会話もないまま、食べることに専念しています。
私たちも複雑な心境でいただきました。

娘さんが、

「おじいちゃんは何事より食べることを最優先する人だったから」

とラーメンをすすりながら言っていましたが、

「何も湯灌の最中に・・・」

と私は思ってしまいました。

業務に入る前に食べた肉まんが効いているのと業務中に食べている・・・という罪悪感?みたいなものがあってラーメンが喉を通りません。(しかも大盛チャーシュー麺)

そんな中、奥様が、

「おじいちゃんは食べ物を残すのが嫌いな人だったから・・・」

などと言われ、

「これは大変なことになってしまった。何としても食べなければ・・・」


・・・・・・何とか完食し、湯灌も無事終了。
ご家族の皆様も喜んでくださり、

「ありがとうございました。おじいちゃんも喜んでいると思います」

と労いのお言葉を頂戴し、私たちも

「ごちそう様でした?・・・?? 失礼させていただきます」

とご葬家をあとにしました。


業務が終わったのが19時を過ぎていたこともありますが、身も心もいつもとは違う疲れがでました。






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