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平成28年度当初教育局等職員及び県立学校長辞令交付式 教育長式辞

2016年04月03日 | だいこん県教委 2015
 
 こちらの式辞も手に入れましたので、ご紹介します。
 

 辞令交付式に当たりまして、御挨拶を申し上げます。
 
 このたびの御就任まことにおめでとうございます。それぞれの職場と、その職場に関わる職員や児童生徒のことをよろしくお願いします。
 
 現在、学校教育は大きな岐路に立っています。 中教審答申には「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就く」との見解が紹介されていました。昨年12月には、野村総合研究所が「日本の労働人口の49%が人工知能やロボットで代替可能となる」と発表しました。
 先日、人工知能「アルファ碁」が自ら学習して韓国のプロ棋士に圧勝しましたし、人工知能がつくった小説がショートショートの文学賞「星新一賞」の1次審査を通ったというニュースがありました。人工知能は想像以上に急速に発展しています。
 
 こうした時代を生きる子供たちに必要な教育とはどんな教育でしょうか。
 生命力を高める教育が大切だという人がいます。「自分はこれがしたい」「これが好きだ」という思いの強さや「生き抜いてやる」「成功するぞ」というバイタリティを育てる教育だというのです。
 75年間724人の男性を追跡調査してきた「ハーバード成人発達研究」の研究成果として「人を健康に幸福にするのはよい人間関係に尽きる」ことがわかったという報告もあります。
 元世界銀行副総裁の西水美恵子さんは、ブータン先代国王の「いつの世も不幸な民が国を滅ぼすと世界史が教える」という言葉から、職員とその家族の幸せを目的に世界銀行の組織改革を実施したそうです。幸せが生産性を向上させることを強く実感したといいます。
 
 近代が生んだ学校は今、大転換期にいます。学校はハングリー精神や人間関係づくりを学ぶ場に変化していくのかもしれません。
 労働に対する価値観も変化していくと思われます。労働の目的が生活のために所得を得ることから、自己実現や他者とのつながりに移っていきます。ロボットや人工知能の普及で人間の労働の目的が変わっていくと思われます。
 
 こうした時代に管理職として教育に携わることになった皆さんに3つのお願いがあります。
 1つ目のお願いです。「子供たちに身につけさせたいものは何か」「どうやって身につけさせるか」について、考え続けてください。
 子供たちのよさを引き出すことが大切ですが、どうしたら引き出すことができるでしょうか。「どうせできっこない」と大人があきらめたら、引き出せません。よさを引き出すためには、背伸びしてやっと届くくらいを求めるとよいようです。子供たちに何をどこまで求めるか、期待するかを考え続けていただきたいと思います。
 部下職員のよさを引き出すときも同様です。少しだけ高めの期待をかけ、職員のよさを引き出していってください。
 現在、学びの改革が進められています。思考力・判断力・表現力や主体性・協働性・多様性を育てる学びへの改革です。このことの意味を考えていただきたいと思います。
 ところで、私は子供たちに身につけてほしい力として、助けてもらう力や教わる力、やり抜く力、リスペクトする力などを考えています。皆さんはどう考えますか。
 
 2つ目のお願いです。「現場こそが主役であり、価値を生み出す源泉である」と考え、現場で働く職員をリスペクトする心を大事にしてください。
 リスペクトがプライドを育てます。例えば、学校だよりなどを用いて、自校の教職員の素敵な行いを児童生徒や保護者に知らせることです。リスペクトした出来事を認めて発信するだけでリスペクトが広まっていきます。
 
 児童生徒や保護者に自校のファンになってもらう工夫をすることも大事です。現場が産み出している価値を一つ一つつなげて物語にして、児童生徒がどう育っていくかを「見える化」すると、ファンが増えていきます。
 
 新幹線清掃チームの働く誇りについて書いた「奇跡の職場」や「新幹線お掃除の天使たち」は、管理職として学ぶところが多い本です。推薦します。部下職員の働く誇りを高め、明るく元気な職場にしていってください。
 
 3つ目のお願いです。自ら考え、判断し、行動することを率先垂範してください。
 正解のない時代です。日本にはまだ上意下達の風土が残っていますが、指示を待っていては生き残ることはできません。それぞれの所属に与えられた権限はかなり大きなものがあります。柔軟な発想でチャレンジしてください。
 
 例えば、学校は閉じ籠もっていられない時代に入りました。地域や企業、大学などとの協働に挑戦しなければ生き残れません。「教育の力で地域が輝く」くらいの発想を持つ必要があります。
 隠岐島前高校の取り組みを書いた「未来を変えた 島の学校」という本があります。学校が地域の生き残りの核となっています。
 
 埼玉県教育委員会では、東京大学のCoREFに加え、リクルートとも協働し、6月にはアクティブ・ラーニングの解説動画をオンラインで配信します。学校教育は世界的な競争の時代に入りました。企業とも協働して世界に打って出るつもりです。OECDイノベーション教育ネットワークに参加し、世界に埼玉教育の挑戦をアピールする予定もあります。
 
 県教育委員会も率先して、自ら考え、判断し、行動します。皆さんも私たちを驚かすような取り組みに挑戦してください。
 各学校がどんな「成長物語」をつむいでくれるか、教育環境整備基金をどう活用してくれるか、楽しみにしています。
 教育局の各課においても、どんな挑戦を見せてくれるか、楽しみにしています。
 
 皆さんのご活躍を心からご期待申し上げます。
 本日はおめでとうございました。

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