はがきのおくりもの

 思い出したくなったら、ここに帰っておいで!!!
 元気を補給したら、顔を上げて、歩いて行くんだよ!

だいこん県公立小・中学校等 新任校長・新任教頭辞令交付式 式辞

2016年03月31日 | だいこん県教委 2015
 久しぶりに奥井から式辞の原稿をもらいました。
 ところが、アドリブが入ったので、原稿通りに話していないというのです。式辞をアドリブで変更するなんて聞いたことありません。
 なんでも、一人一人呼名して礼をするとき、最初は奥井と目線を合わせるのだけれども、礼をして顔を上げたとき、目線を合わせる人が少なかったんだとか。
 子供たちからの目線を感じていますか。子供たちを暖かく見守っていますか。子供たちと目線を合わせていますか。子供たちを見守るまなざしを持ってくださいという話を付け加えたんだそうです。
 
 恋人同士は見つめ合ったりしますね。黙っていても目線を合わせるだけで心が通じます。
 
 奥井によれば、最初に目線を合わせ、礼をしたときには「子供たちをよろしくお願いします」と心でお願いしていたそうです。そして、顔を上げたとき、目線が合うと「わかりました」と返ってくるのを感じるそうです。目線が合わないと、返事が返ってこない気持ちになったのだそうです。
 
 では、奥井の式辞の原稿をご紹介します。
 
 
 
 ただ今、新たに校長に採用される162名の方々、並びに、教頭に昇任される215名の方々に辞令をお渡しいたしました。
 校長への採用、教頭への昇任、誠におめでとうございます。
 心からお祝いを申し上げます。
 
 管理職として新たな一歩を踏み出す皆さんへ3つの言葉を贈ります。
 
 1つ目の言葉は、「一人一人を活かす」です。子供たちも教職員も一人一人のよさを引き出し、伸ばしてください。
 よさを引き出すためには、注意すべき点が2点あります。
 よさは自分の中を探しても見つからず、人との関係の中で見つかるという点が1つです。「自分の中を探してもそれほど優れたところはない。でも、私はこういうことならしてあげられる。」というところから、自分のよさを自覚できるようになるのです。
 もう1点は、引き出すためには「何をどこまで求めるか」を意識することです。「できる」と期待するから、人はできるようになるのです。「できなくてもしかたない」と期待しなければ、できるようになりませんし、よさを引き出すことはできません。背伸びすればできる、少し高めの期待を子供たちや教職員にかけてあげてください。
 
 人工知能やロボットの発達で、人の仕事は大きく変わっていきます。「子供たちに身につけさせたいものは何か」「どうやって身につけさせるか」「子供たち一人一人を活かすために何をすべきか」について、私たちは問い続けなければなりません。
 
 2つ目の言葉は、「学び合う」です。
 来年度は、学力・学習状況調査が2回目を迎え、児童生徒一人一人の学力等の伸びがわかるようになります。結果を分析すれば、どんな指導がどんな児童生徒を伸ばしたか。何を身につけさせることで、学力が伸びたか。何をどこまで期待したことが効果を生んだか、などが明らかになります。それぞれの学校で、子供たちにどういう取組をすれば子供たちを伸ばすことができるのかが見えてきます。
 そのような「すぐれた取組」を一つの学校の中だけに留めず、公表し、多くの学校で共有する文化を築こうと考えています。
 
 校長先生、教頭先生方には、自分の学校のよさや課題を確認し、各校の「すぐれた取組」の中からまねたり、改善したりして、活用していただきたいと思います。
 「すぐれた取組」を「学び合う」ことによって、児童生徒一人一人に応じた手立てが見つかり、すべての先生が実践できるようになったら、教育の質はどれだけ上がるでしょうか。
 ちなみに、「すぐれた取組」としては、やり抜く力や自分を律する力を育てる取組、互いを知り、認め合うクラスづくりや学校経営、安心して学びに集中できる安心・安全な教育環境づくり、助けてもらう力や教わる力を重視した授業などが大事ではないかと、私は考えています。
 まずは、管理職の皆さんが、率先して「学び合う」姿を教職員に見せていってください。
 
 3つ目の言葉は、「ふるさとになる」です。
 小中学校で培った体験や身につけたことは、児童生徒が大人になった時の原点であり、拠り所となります。
 小中学校時代に、温かく見守られていたことや相手を思いやったこと、最後までやり抜いたことなどの体験は、心のふるさとになります。児童生徒にとって生きていく元気の素をつくることも学校の役割です。
 こうしたことが、「ふるさとになる」ということです。
 学校が「ふるさとになる」ためにどうしたらよいかということを考え続けてください。そして、具体的なアイデアを教職員や児童生徒と一緒に実現していってください。よろしくお願いします。
 
 「一人一人を活かす」、「学び合う」、「ふるさとになる」という3つの言葉を紹介しました。皆さんと一緒にこの3つの言葉を大事にしていけたら、だいこん県の教育は魅力あるものになっていくのではないかと信じています。
 
 次に、2点お願いをします。
 1点目は、「学校に対する信頼の確立」です。
 教職員の不祥事がなかなか減らず、不祥事防止は大きな課題であり続けています。
 私は、リスペクトがプライドを生み、プライドが不祥事を防止すると考えています。
 まずは管理職が最前線で働く教職員をリスペクトすることから始めてください。具体的には、教職員のよい実践や素敵な出来事を児童生徒や保護者にどんどん知らせてあげてください。教職員のよさや素敵さを知れば、自校のファンが増え、リスペクトも高まっていくと思います。また、互いを知ることで、報告・連絡・相談が当たり前の風土も築かれていきます。
 
 2点目は、「健康管理と心の関係」についてです。
 管理職は、まず、職員に明るく接することが基本となります。
 人間は体を動かし、体によいリズムを与えることによって、心もより良く変わっていくものです。
 これは、単純なことですが、規則正しい生活をする、三食しっかり食事をとる、元気よく挨拶をする、歩くときの姿勢に気をつけながら歩く等、自らの行動によいリズムができれば、自然と心も変わっていくものです。
 これらは、基本的生活習慣として子供たちに指導してきたことと同じです。意外とこれらを習慣として身につけていない教職員がいます。
 管理職が自らこのような基本的生活習慣を体現して見せ、先生方が生き生きと仕事ができる職場を作ってください。
 
 管理職は苦労の多い職です。しかし、苦労が多いのは当たり前のことです。苦労の中から楽しみを見出すことこそが、管理職の醍醐味であり、成長や成功へと導いてくれるのだと思います。
 私は「教育とは、与えていただいたものを
後から来るものたちにお返ししていく営みである」と考えています。
 皆さんがこれまでに得てきた沢山のものを子供たちにお返しする、教育という営みを、管理職として楽しんでいただけますよう、心から期待いたしまして、式辞といたします。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。