表彰状
陸上部 ○○○○ 様
陸上部員として3年間、自分に負けることなく、活動を継続してきたあなたの努力と熱意を認め、ここに表します。
記録更新をめざして黙々と自分と戦い続けてきた日々。ともに汗を流した仲間。数多くの悔しさや悔い、喜び。たくさんの財産を築いてきました。
これらの財産の中から、あなたの能力は育っていくでしょう。自分の能力を磨き、充実した人生を築いてください。
平成16年9月1日
県立だいこん高等学校長 奥井太郎
陸上競技って、数人で一緒に練習しているけれど、結果は個人の記録として現れるから、全部自分の努力の結果みたいに感じてしまうことが多いと思います。
確かに、本人の努力や才能によるところが大きいでしょうが、まわりの影響も大きいと思います。頑張っている仲間がいるから、一人ではできない努力ができるのでしょうし、適切なアドバイスをしてくれる先生や先輩がいるから、上手に成長することができるのだと思います。
それって、人生と似てると思いませんか。ただ、人生のほうが、陸上競技をやっている人よりも、結果を人のせいにしているような気がします。
結果の責任は自分で負おうとする人のほうが、気持ちいいし、幸運の女神も微笑んでくれそうな気がします。
奥井ではありませんが、そんなことを思いました。
さて、この年、だいこん高校にいた皆さんは、覚えているでしょうか。1学期の終業式から、校歌斉唱が行われるようになったことを。それまでは、校歌斉唱はなかったらしいですよ。
2学期の始業式で、奥井は、生徒たちに校歌斉唱の話をしたそうです。
「1学期の終業式から校歌斉唱を式次第に入れました。卒業までに校歌を覚えてもらいたいと考えたからです。
校歌を覚えているというのは、だいこん高生としての一つの財産。覚えていて損はないから、校歌斉唱の際には、覚える努力をしなさい。」
音楽の授業を選択している生徒は、授業で校歌を歌うものですから、しっかりと覚えているのですが、その他の生徒はオリエンテーションの際に教わっただけ。歌う機会は、卒業式の1回のみ。これじゃあ、校歌を覚えられるわけがありません。奥井じゃなくても、そう思いますよ。
奥井がそんな感想を漏らしたら、先生方のほうから、始業式や終業式のたびに校歌斉唱を行おうということになったそうです。いいことですよ。
「生徒たちが校歌を歌いたいという気持ちになったときに、思い切り歌えるように校歌を覚えさせておくことが教育。」
「強制することを嫌がる人たちもいるが、例えば、同窓会等で昔を懐かしんだり、部活動等で応援するとき、校歌を歌いたいと思っても、覚えていなければ歌えない。強制ってのもある程度は必要なんだ。
もっとも、校歌くらいなら、始業式や終業式のたびに歌ってりゃ、生徒たちは若いからすぐに覚えちゃうよ。強制するってほどのもんじゃない。無理に歌わせなくても、毎回聞いているだけで覚えてしまうよ。
ま、教育ってのは、いつも先を考えて、今このときに行うものさ。」
奥井はそう言っていました。いいことはどんどん始めて、いらないことは気がついたらやめればいいんですよ。