はがきのおくりもの

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全日制卒業式 式辞 <1>

2011年03月08日 | 卯の花高校物語 2010

 お久しぶりです!

 卯の花高校全日制課程の卒業証書授与式が終わりました。奥井の式辞を紹介しましょう。

 絵本「100万回生きたねこ」を題材に、5つの謎の解明に奥井が挑みます。乞うご期待!


 362名の卒業生の皆さん、卒業、おめでとう。
 卯高の無理難題によく耐え、しかも卯高生活を大いに楽しんでくれた皆さんの卯高魂に、心から敬意を表します。
 保護者の皆様、ご子息の卯の花高校ご卒業、おめでとうございます。皆様のご協力により、362名の生徒たちとともに、充実した卯高生活を送ることができました。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 ご臨席いただきました本校PTA会長様、後援会会長様、同窓会長様をはじめ、ご参列の皆様、ありがとうございます。皆様のおかげをもちまして、卯の花高校は、第63回卒業証書授与式をむかえることができました。心より感謝申し上げます。

 昨年11月にがんで死去された作家の佐野洋子さんの代表的な作品に、「100万回生きたねこ」という絵本があります。この話を題材に、皆さんに最終講話をすることにしましょう。

 「100万回生きたねこ」の話は、こんなふうに始まります。
 100万年も、しなないねこがいました。100万回もしんで、100万回も生きたのです。りっぱなとらねこでした。100万人の人がそのねこをかわいがり、100万人の人がそのねこがしんだとき、なきました。ねこは一回もなきませんでした。

 以下は、あらすじを紹介しましょう。
 主人公の猫は、ある時は国王の猫となり、ある時は船乗りの猫、サーカスの手品つかいの猫、どろぼうの猫、ひとりぼっちのお婆さんの猫、小さな女の子の猫…と100万回生まれかわり、飼い主のもとで死んでゆきます。飼い主は皆、猫の死をとても悲しみましたが、当の猫はまったく悲しみませんでした。猫は、飼い主のことが嫌いでした。
 ある時、猫は誰のものでもない猫、野良猫となり、「俺は100万回も死んだんだぜ」と自慢する、誰よりも自分が好きな猫になりました。周囲の猫たちも皆、ちやほやしました。
 しかし、関心を示さなかった一匹の美しい白猫がいました。なんとか白猫の気を引こうとしますが、白猫は「そう」と言ったきり。いつしか猫は白猫に恋をし、「そばにいてもいいかい?」と尋ねると、白猫は「ええ」と言いました。やがて白猫はかわいい子猫をたくさん生み、猫は「俺は100万回も…」とは言わなくなりました。猫は自分よりも、白猫や子猫たちのことを大切に思うようになっていました。やがて子猫達は巣立ち、白猫はお婆さんになり、あるとき猫の隣で動かなくなってしまいます。猫は白猫の亡骸を抱いて、生まれて初めて泣きました。100万回泣きました。そしてぴたりと泣きやみました。そして猫は、白猫の隣で静かに動かなくなっていました。
 それから猫は、もう決して生き返りませんでした。
という話です。

 この話にはたくさんの謎があります。何を謎と思うかについても、謎の答えをどう考えるかについても、読む人によって異なるでしょう。謎も答えも生み出し育てるものです。何を生み出し、どう育てるかが大切です。これからの皆さんの人生では、大学入試とは異なり、問題は与えられるものではなく、自分から見つけるものです。また、ほとんどの場合、答えは一つではありませんから、生み出した答えから自分の答えを選ばなければなりません。(つづく)


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