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イッピンNHK 「世界が注目する絞り染め~愛知 有松・鳴海絞り~」

2023-10-27 07:58:14 | イッピンNHK

 第187回 2018年3月13日 「世界が注目する絞り染め~愛知 有松・鳴海絞り~」リサーチャー: 生方ななえ

 番組内容

 いま海外で話題の照明器具がある。とがった突起に覆われた、海中生物のようなルックスのランプシェード。突起が生み出す光は優しく柔らかいと人気。これは愛知県の有松・鳴海絞りによるイッピン。絞りとは、布の一部を縛って模様をつくる染め。ランプシェードは浴衣や手ぬぐいの柄を作る伝統技法から生まれたものだ。さらに、和装にも洋装にも合うと女性に評判の革絞りバッグなど、職人たちの革新的な挑戦を生方ななえがリサーチ!

*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201803131930001301000 より

 「有松鳴海絞り」は、名古屋市の有松・鳴海地区で生産されている絞り染めです。
 「有松鳴海絞り」の一番の特色は、手蜘蛛絞りや唐松縫絞りなど、100種類を超える技法の多さだと言われています。
 
 1.「suzusan Luminaires」(「鈴三商店」四代目・村瀬裕さん)

 独デュッセルドルフで開かれたファッションとインテリアの展示会で、日本の伝統技術を用いて作られた
モダンな製品が熱い注目を集めました。

 特に評判を集めたのは、「有松・鳴海絞り」の技で作られた尖った突起に覆われ、まるで海中生物のようなルックスの「ランプシェード」です。
 そのルックスだけでなく、突起が生み出す光が優しくて柔らかいと好評でした。
 
 この「ランプシェード」を作ったのは、愛知県名古屋市有松で、400年の歴史を持つ有松・鳴海絞りを継承している老舗「鈴三商店」の四代目・村瀬裕さんです。(平成8(1996)年「スズサン」に屋号改名)

 絞り染めの工程は分業で行われています。
 村瀬さんは、絞りのデザインから、型づくり、加工まで絞りのあらゆる知識を網羅し、数少ない絞りのコーディネーターの役割を担っています。
 
 「伝統を守るのではなく、伝統を作る」をモットーとする村瀬さんは、ランプに光を通した時の絞りの美しさを表現出来ないか考え、新素材による「絞り」仕上げのシェードを被せた「ランプシェード」を開発しました。
 
 光を通した時に、柔らかで心地良い絶妙な陰影を生み出すために、「ポリエステル」を使い「やたら三浦絞り」で作ることにこだわったそうです。
 
 「ポリエステル」を用いることにより、洗濯機で洗っても絞り加工が保持され、更に熱に強い加工も施しました。

 「シェード」部分の生産は全て有松絞りの職人さん達による手作業により行われます。
 有松では、布を縛り、縫い、折り畳み、染上げ、糸を抜く工程は完全分業制により行われています。
 
 「絞り」を担当するのは、この道70年の職人・藤原すみ江さんです。
 藤原さんに実演していただきました。

 藤原さんは、専用の括り針を使用して、細かな一粒一粒を糸で固く括っていきます。
 粒の配列が不規則で大らかな柄が特徴の「やたら三浦絞り」という伝統技法です。
 粒をランダムに配置しなければならないため、熟練された技術が求められます。
 
 藤原さんが絞り終えた生地は、蒸気で高温高圧処理を加えて、粒の形状を固定させます。
 糸を解くと独特の凹凸が生まれます。
 
 4~5人の職人達の手を経てやっと完成しました。

 平成20(2008)年、村瀬さんの長男で五代目の村瀬弘行さんがオリジナルブランド「suzusan」を立ち上げました。
 
 「有松鳴海絞り」の100種類以上もの技法を生かしたストールやニットなどのファッションアイテムを中心に、ホームファブリックや照明に至るまで、幅広くラインナップしています。
 
 現在、デュッセルドルフと有松を拠点に、世界の18か国以上で取り扱いがあり、日本ではユナイテッド・アローズや、伊勢丹や高島屋などの大手デパートでも販売されています。
 
 
 2.括り職人・大須賀彩さん

 有松・鳴海絞の次代を担う括り職人の大須賀彩さんは、伝統の技法に現代的なアレンジを加え、注目されている若手職人です。
 
 大須賀さんは、大学の授業で有松・鳴海絞を知り、職人になろうと決意し、「スズサン」の四代目・村瀬裕さんに弟子入り。学業も続けながら、括りも染色も出来る職人となりました。
 
 平成29(2017)年4月独立を決意し、自身のブランド「彩-Aya Irodori-」を立ち上げました。
 有松に100種類ある技法の中でも、「手筋絞り」「雪花絞り」「巻き上げ絞り」「手蜘蛛絞り」「板締め絞り」を使い、現代の感性をも取り入れた新しい商品のプロデュースも手掛けています。
 
 大須賀さんが「板締め絞り」(いたじめしぼり)という技法を用いて作った「麻のストール」が若い女性達の間で人気を集めています。
 
 三角形の屏風畳みにした生地を丸い板で挟んで万力で強く締めると、丸い模様が花のような形で残ります。
 大須賀さんは、万力にセットした3色の布を同じ鍋に入れることで、一度に染めていました。
 
 
 3.革絞り(「くくる」佐藤貴広さん・真世さんご夫妻)
 
 和装、洋装どちらにも合う有松・鳴海絞りで作られた革製のバッグに人気が集まっています。
製作したのは、革絞り職人の佐藤貴広さん、 真世さんご夫妻です。
 奥様がデザインを担当し、ご主人が製作担当しています。
 
 10年前から作り始めたというこのバッグは、真世さんが「蜘蛛絞り」や「柳絞り」を参考に考えたデザインを貴広さんが厚さ0.8㎜の子牛の革を絞って作っていきます。
 こうして出来上がった革で手作りのカバンや財布、小物など独創的な作品を作っています。

 やり始めた頃は、「肩や手を壊す」と周囲に反対されたという貴広さん。
 貴広さんは、幼い頃から絞りの職人だったお祖母さまの姿を見て育ち、服飾の専門学校に進学しました。
 ある時友人から「絞りって古くさいよね」と言われ心を痛めましたが、「日常的に使われるものなら絞りのイメージが変わるかもしれない」とこの道に入りました。
 
 「革絞り」では、「仮巻き」までは指あてをつけて作業を行うのですが、「本巻」の時は絞り具合を見極めるために指あてを外さなくてはなりません。
 そのため負担が大きく、1日2時間が限度なのだそうです。
 
 それでも貴広さんは、「絞りを男性が持つ気になってもらえた」と革絞りの製品に新たな可能性を感じているそうです。

*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Aichi/Shibori より


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