OKESAN 公的年金保険情報

公的年金および健康保険の社会保険関係の最新情報をお届けします。

年金さらに官高民低

2005-09-18 11:18:32 | Weblog
○厚労省試算によると、
 サラリーマンと公務員の年金を比べると、現在は公務員世帯の方が年間54万-73万円多く、45年後には年間114万-152万円に差が拡大することが、明らかになったとのこと。

 サラリーマンの年金である厚生年金と公務員の年金である共済年金。その決定的な違いは「職域加算」の有無。国家公務員や地方公務員の共済には職域年金という三階建て部分が加算される“特典”がある。「一般的に、本体(二階部分)に二割増しのイメージ」(厚労省)という。

 このため、夫婦二人の老齢年金(共済は退職年金)は、
平成17年度は月額でサラリーマン世帯が23.3万円に対して、国家公務員は27.8万円、地方公務員が29.4万円となり、4.5~6.1万円上回る。

 45年後の平成62年度には、サラリーマンが月額49.1万円なのに対して、国家公務員58.6万円、地方公務員は61.8万円と、月額で9.5~12.7万円に格差は拡大する。

 一方保険料率は、
 国家公務員共済(国共済)を所管する財務省によると、同共済の保険料率は14・638%で、厚生年金の保険料率14・288%をやや上回るものの、地方公務員共済(地共済)に至っては13・738%でサラリーマンよりも低い。
 
 
<解説>

 元ネタとなっている新聞報道は、新聞やネットを捜せば沢山あるので、詳しくはそちらをご覧ください。もっと詳細に報道されています。 
 何しろ、やばすぎます。低い負担で多額な年金。これじゃ国民の誰の理解も得られない。

 共済側は、「運用が良いから厚生年金よりたくさん年金を出せる」と反論しているみたいですけど、オタクは共済の年金原資で「官舎を建てた?、マッサージチェアー買った?、ライオンキングのチケット買った?」って突っ込みたくなりますよね。

 ライオンキングのチケットを買ったのが厚生労働省(社会保険庁)のお役人で、でも彼らは原資となった厚生年金ではなく、「しっかりと着実に運用された」共済年金を受取る。こんなバカな話はありません。

 さらには、一流企業といわれている会社でさえ、バブル崩壊後の企業年金の負担に耐えかねてさっさと厚生年金基金を代行返上(厚生年金基金をやめて、国に返還する)といことをしている。
 これどういうこと? 
 国家公務員、地方公務員 あらゆる公務員共済が、「トヨタ自動車より」はるかに上手に資金運用をしているってことですか?

 普通はそうは思わないでしょう。
 トヨタのようなギリギリ無駄を絞った組織より、国家公務員や地方公務員の共済のほうが無駄がないなんて、絶対裏があるのかカラクリがあるのかわからないけれど、何かがあると思うのが世の常。世界のトヨタでさえ、悪戦苦闘している年金資金運用をさらりと共済がこなすなら、「日本の財政ってこんなにひどくなってない」でしょう。
 新聞によると、恩給(共済制度が始まる前の公務員の特権的年金)への国庫負担などがどんどん流れていてそれを運用できるからこれだけ有利になるとのこと。(ここはわしはわからないので意見は保留)
 
 共済組合に関しては、ちゃんと晴天の下にあらゆる資料を出してください。
 そこから議論が始まる。今はまだスタート時点にさえたっていない状態。

 例えば、警察共済なんて、恐ろしくて議員さんでさえアンタッチャブル(と聞きました、確かにわしも警察共済に面と向っておたくの共済どうなっているの?とは聞けない、小心者だから)だそうです。それだけみんなに知られていないのに巨大な組織。

 とにかく、あまりににも官民格差が激しいと「国民の年金不信はどんどん深まります」
 既得権益を失いたくない気持ちはわかりますが、これを放置しておくとさらに風当たりが強まる。

 郵政民営化でも、「特定郵便局長会」は反対の一つ覚えじゃなくて、もう民営化の流れはさけられないんだから、あらゆる面での条件闘争をしたほうがいいという現実的な郵便局長もいたと聞いています。年金お同じで、今なら条件闘争が可能。でもその時期を失うと、年金の小泉が登場したら足元から既得権益を失くしてしまうかもしれません。
 共済の方も大人になってください。もう「公務員だから」といって特権を享受する時代は終焉に向いつつあるのです。

離婚時年金分割ー9 (週末投稿)

2005-09-18 10:41:03 | 離婚時年金分割
 前回は遺族厚生年金は、内縁の妻にもみとめられる場合があるけれど、離婚時年金分割は「法律上届出をした夫婦の場合に限定される」ということを書きました。 そうすると、悩ましいこともいろいろと出てくることも考えられます。

 夫と妻、夫が別なところに女性を作って、結婚10年目に完全に破綻。 
 その後に別居し、完全に夫婦としての関係は切れるも離婚の届出はせずズルズル。
 
 完全に婚姻関係は破綻しています。でも、法律上離婚していないんだから、その実質破綻している期間も、「年金分割の対象になる?」 
 
 なりそうですが、わしも正確になるとはいえない部分です。こちらが知りたいくらい。法律的には、よく年金で出てくる「生計維持とか生計同一」とか言う言い回しがなく、生計をともにしている人限定という風には書いていないからそうなるような気がします。

 もう完全に離婚と同じ状態になって、ただ形の上で「最後の離婚の届出」という後処理が終わっていないだけの状態、それでも、離婚時に妻から請求があった場合には、その冷え切った期間も含めて分割の対象期間とされるってことで良いのでしょうか? 離婚時の財産分与も同じ考えなのでしょうか?

 うーん、それは後妻さんにはつらい(前妻との籍が抜かれていないから、入籍もできない)、有責配偶者(離婚を作った責任のあるほう)からの離婚請求は最近は認められますけれど、でも100%は認められるとは限らない。
 前妻が、夫の不貞に腹を立てて、離婚なんかさせてたまるか、と頑固に離婚届にハンコを押さない意地悪を続けた場合には、ずっと年金の分割対象期間が延び続ける。後妻さんは蚊帳の外の放置状態になる。

 内縁関係がおおよそ10年続き、籍は抜かないものの前妻との婚姻関係が完全に破綻している状態だと、後妻さん(内縁)のほうが「遺族年金の受給権を得る」ことは前回触れました。まず正妻との婚姻を検討するので当たり前ですが正妻が有利ですけれど、正妻と夫との関係が完全に切れて、内縁の妻のほうが10年ほど妻としての実体がしっかりあった場合にはそちらが優先されます。

 てことは、いよいよ離婚を決めて、年金分割を幾らにするかって調停をしている間に、夫が死亡した場合には、遺族厚生年金の対象になり後妻がマルマル遺族年金を貰う。でも年金分割を決定して、夫の年金の半分を妻に渡すという決定後だと、後妻の遺族年金の基準になる標準報酬(給与の累積)は分割分は減り、遺族厚生年金が減額される。

 そんな風になっちゃいますね。

 いずれにせよ、実体関係と離婚がリンクしていれば(夫婦生活が冷め切ったら即離婚するということ)あまり問題はないのですが、実体関係と離婚がリンクしてない(冷め切ったのに離婚の届出を出さずにズルズルと放置してある)場合には離婚分割はとても厄介なことになりそうです。

 こういうのは、今後「紛争や裁判が相次いで」、判例や先例が出てからやっと落ち着くものだとは思いますが、それまではなかなか確かなことがいえませんから大変です。