OKESAN 公的年金保険情報

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年金過払い、住基ネットで防止

2005-07-26 14:04:41 | Weblog
○年金受給権者は障害、遺族年金を含めると3000万人を超える。このうち約1000万人超は、受給者が死亡しても市町村から社保庁が連絡を受ける仕組みがないため、年金が支給停止されない。

 そこで社保庁は、受給者の死亡に際して市町村の住宅基本台帳ネットワークですぐ確認して給付を止める体制を整え、死亡後も誤って給付を続ける事態をなくす。生存確認のために全受給者に毎年送っている「現況届」は廃止し、年30億円の事務費を削減する。

 年金受給者の死亡情報の届け出忘れや虚偽申告に伴う「過払い」は、同庁の把握分だけでも年間数十億円規模に達している様子。

<解説>
 いまだに、住基ネットに反対していらっしゃる方は多いようですが、わしは前々から住基ネットに反対に反対でした。
 
 便利になることと、情報漏れのリスクは裏表の関係です。

 老後、年金を貰うのに、生死が不明な場合に年金を差し止める必要があるために、「現況届」という制度があります。
 これをださないと、生死が不明だから一時的に年金を止められる。
 でも勝手に親が生きていることにして偽装して送付すれば、年金が支給される。

 親が死んだのに親が生きたことにして年金を掠め取るバカがいてもそれを防止できないことになります。これはまずい。

 ところが住基ネットで、市区町村への届出で本人の生死を確認できれば、効果は抜群。死亡した月で直ちに年金を停止できます。現実に共済はこれを利用し、現況届を廃止しています。

 ニュースにあるとおり、書類を送り返送してもらうコストだけでも大変。折角、住基ネットという便利な物があるんだからコスト削減のために使わなきゃと思っていました。

 たしかに情報漏れが怖いというのはわかります。それは現代社会の重要問題。
 しかし、住基ネットに乗せられている情報は、「4情報」(氏名・性別・生年月日・住所)と住民票コードのみ。個人情報としてはB級ですし、あらゆる場面で添付を必要とされる書類ですから、コードを書けば住民票の添付が不用とか、書類自体が不用になるとすごい効果です。

 また高齢者の問題で言えば、1人暮らしの高齢者で、軽い認知症(痴呆)気味な方の現況届の提出漏れも防げます。
 若い我々ならハガキを送り返すくらいのことなら簡単ですが、お年寄りは大変。自分の住所を書いて返送するだけでも一仕事なのです。

 厚生労働省・社会保険庁もやっと重い腰を上げて、住基ネットの活用を考え始めました。

 市区町村によっては、接続していない所もありますが、隣の街は、何もしないのに年金が出るけど、うちは毎年誕生日にハガキを送り返す。 
 現況届だけなら1つのことですけど、こういったことが行政のあちこちに積み重なれば、接続しないことのデメリットがどんどん増えてきます。
 
 各行政の電子申請で、「住民票が不用」になるケースが今後増えますが、これは当然、住基ネットの利用が前提です。

 ネット接続に反対な人はそんな不便を甘受してでも、プライバシーの保護のほうがいいと考えられるでしょうが、そうじゃない人も多いはず。隣の町は、手続きに住民票が要らないのに、なんでうちは住民票がいるんだ。
 そういう住民の声にネット接続をしていない市区町村はどう答えるんでしょうか。今から答を準備しておく必要がありますよね。