環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

微小粒子状物質(PM2.5)、環境基準設定へ

2007-07-25 06:32:48 | 大気汚染
2007年7月25日 
 『ディーゼル車から排出される黒煙などに含まれ、空気中を漂う直径2.5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が上がると、周辺に住む高齢者が呼吸器系疾患で死亡する率が1.1%上昇していたことが24日、環境省の研究班が実施した国内初の大規模疫学調査で明らかになった。濃度の上昇で、子供の呼吸機能が低下したことも判明した。(平成19年7月24日毎日新聞:江口一)』とのニュースがありました。
粒径が2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質、いわゆるPM2.5については、粒径が小さいということで、浮遊粒子状物質の中でも、特に呼吸器症状や循環器症状などの健康影響を示唆する知見があります。アメリカでは、1997年に環境基準が設定された後に、昨年9月に見直しがされ、EUでは、現在、環境基準設定に向けた検討が進められています。さらに、世界保健機構では、昨年の10月にPM2.5を含む浮遊粒子状物質のガイドラインが策定されました。
 一方、国内では、平成13年5月に、自動車NOx・PM法の制定に係る参議院環境委員会の審議において、「PM2.5については、調査研究を急ぐとともに、諸外国の知見、動向を踏まえ、できるだけ早期に環境基準を設定すること。」と附帯決議がなされ、先ごろ和解が成立した東京大気汚染訴訟の和解交渉においても、重要な争点となりました。
 閉幕したばかりの第166回通常国会において改正された自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)案の審議(4月10日衆議院環境委員会)においても、この問題は下記のようにとりあげられています。
 『PM2.5の環境基準策定に向けて環境省の取り組みをお伺いしたいと思うわけでございますが、これはもう参考人質疑でも、またこれまでの審議でも多くの先生方が御指摘をされているところであり、私もこのPM2.5の環境基準設定は早期に行っていくべき大きな課題だと思いますが、いかがでしょうか。』(江田康幸代議士/公明党)

 『PM2.5につきましては、環境省におきまして、現在、各種基礎調査研究を実施しているところでございまして、日本国内におきます健康影響に関する科学的知見の集積に鋭意努めているところでございます。また、委員御指摘のありました、米国、EU、WHOにおきます動向なども含めまして、諸外国の知見に関する情報収集をも行っておるところでございます。これらの科学的知見や情報を踏まえまして、このたび、今後の大気環境保全対策の検討に必要な基礎資料を得ることを目的といたしまして、学識経験者などから構成されます検討会を環境省内に設置いたしまして、PM2.5に関する健康影響評価を行うことを予定しておるところでございます。現時点では環境基準を直ちに設定するという状況ではございませんが、今後とも、これらPM2.5に係る健康影響評価の検討につきまして、精力的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。』(環境省水・大気環境局長)

 『それで、先ほどのPM2.5の部分につきまして、PM2.5というとディーゼルの排ガスからも出てくるんですかね。そうすると、私はちょっとおもしろいなと思うのは、東京都がディーゼル車の規制をして、石原都知事がそこで頑張っておられた。ディーゼル車の規制をされた。一方で、過去の、いや、それは悪いとかそういうことではないし、知見がそうだと。でも、当時環境庁長官であった石原長官が諮問をして、その結果、知見が出たけれども、そういうふうに環境値が緩められた。PM2.5についてどうでしょうか。私はやはり随分と時間がかかり過ぎているというふうに思うんですね。これについて、もう6年以上もたっている。今後どうしていかれるのか。大臣、いかがでありましょうか。』(近藤昭一代議士/民主党)

 『PM2.5につきましては、委員御指摘のように、参議院の附帯決議がございました。その附帯決議の内容も踏まえながら、環境省において各種の基礎的調査を実施してまいっております。日本国内におけるPM2.5の健康影響に関する科学的な知見を集めるために鋭意努力をいたしているところでございます。この附帯決議前からでもございますが、平成11年には疫学調査、動物実験あるいは暴露調査などの調査を開始いたしております。平成12年には、大気中のPM2.5質量濃度測定方法の暫定マニュアルを策定し、そして平成13年に長期疫学調査を開始いたしておりますが、長期疫学調査は5年間の実施が必要であるというようなことから、最終年度は平成18年度ということになっているわけでございまして、18年度に本調査研究の実施が終了をする、検討の状況はそのような状況になっております。また、米国やWHOなどにおける環境基準の設定に関する動向、昨年からことしにかけての動きがございます。これらも含めまして、諸外国の知見に関する情報も収集をしているところでございます。これらの科学的な知見や情報を踏まえまして、今後の大気環境保全対策の検討に必要な基礎資料を得ることを目的としておりまして、長いことかかってまいったということも、それらの資料の収集もかなり進んできたところから、実は学識経験者などから成ります新たな検討会を省内に設置して、PM2.5に関する健康影響評価を行っていくというようなことを、私自身はことし手をつけたらどうかという考えでおります。』(若林環境大臣)

 今回の報道によると、この報告を受け、環境省では『海外の文献調査や規制の動向なども参考に、PM2.5に関する環境基準の設定に向けて作業を本格化させる。基準設定は早くても来年度以降になる見通し。』とされています。国会の議論でも指摘されたいた通り、ここから先はスピードをあげて対応してほしいと思います。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
中央環境審議会動物愛護部会(第20回)の開催について
商業施設等での「COOL BIZ」の取組について ~映画館・百貨店・スーパーマーケット・銀行で導入開始~
ダイオキシン類環境測定調査受注資格審査結果(平成19年度後期)について
平成19年度動物愛護週間ポスターのデザイン絵画コンクールの受賞者について
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案等に関する意見の募集について
「身近な野生生物の観察」参加団体の募集について
温泉施設において発生する可燃性ガスに関する当面の暫定対策について
「平成19年度主体間連携モデル推進事業」の採択事業の決定について
「1人1日1kgのCO2削減」応援キャンペーンの協賛企業について

経済産業省
CDMプロジェクト政府承認審査結果について(申請者:日本カーボンファイナンス株式会社、関西電力株式会社)

国土交通省
「気候変動に適応する治水施策のあり方について」~社会資本整備審議会に諮問~

資源エネルギー庁
「ガス事業生産動態統計」

【判例情報ウオチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月16日から7月22日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.7.22
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月16日から7月22日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.7.22