2007年7月24日
山砂利採取地に産業廃棄物(「再生土」京都府が刑事告発)が搬入された問題で、京都府城陽市が、『城陽市砂利採取及び土砂等の採取又は土地の埋立て等に関する条例』を改正する見込みである、とのニュースがありました。報道によると『「再生土」は2004年から2005年にかけて10トンダンプカー1万6,300台分が採取地に搬入され、府は、うち3,000台分を産廃の汚泥と認定した。しかし、山砂利条例では、土壌検査の対象を「土砂等」に限っていたため、池などの堰堤(えんてい)用資材として搬入された「再生土」は検査を受けずに搬入された。(平成19年7月23日京都新聞)』とのこと。
同条例では、現在、第17条において『土砂等の採取又は土地の埋立て等を行おうとする者は、市長の許可を受けなければならない。』としていますが、上記事件を踏まえ、『土砂等』に新たに『資材』を加え、規制する行為面でも現行の『土地の埋立等』に『資材を用いた路盤等の補強』を加えた改正案が検討される見込みです。また、『JR奈良線以東の城陽市域』としている適用地域についても検証委で再考する、とされています。
そもそもこの事件については、平成18年5月19日、『平成16年3月頃から同年6月末頃までの間、10トンダンプで約3,000台分の汚泥と固化処理不十分な汚泥処理物との混合物を、再生土と称して、他人の産業廃棄物の処分等を行うことのできない無許可の業者に委託したものであり、この行為は、(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)法第12条第3項で定める委託基準に違反することとなる』として、京都府が刑事告発していたものです。
この事件に先立ち、今回と同一の被告発人が平成17年10月11日、京田辺市田辺茂ヶ谷に再生土を不法投棄したとされる事案で、京都府は被告発人の産業廃棄物収集運搬業の許可の取消処分を行っています。
今回の事件でも論点となるのが、当該『再生土』の廃棄物性です。京都府が告発に至った決め手は、『5事業者が建設資材として受け入れたとする再生土の搬入に関しては、有価で購入した実態はなく、処分費相当額の授受(逆有償)を伴うものであった。』こととされています。この点につき、平成19年3月28日に開かれた第1回京都府再生土問題に関する検証委員会の議事要旨には、次のような質疑が掲載されています。
『逆有償が判明した証拠は?』
『廃棄物処理法に基づく報告徴収により伝票確認をして逆有償であることを確認した。』
『逆有償であることは産業廃棄物の定義のかなりの部分だが十分条件ではない。日本の場合、性状と物によって決められている。資料に「総じて泥状を呈していない。」とあるから、汚泥でなくなってくると産廃かどうかわからなくなってくる。曖昧な部分がある。10トンダンプ16,300台分のうち3,000台分だけを産業廃棄物と認定できるとした根拠が分かりにくい。』
『京田辺市の事案では投棄時点の性状が泥状であることを目視で確認し、環境省にも照会した上で不法投棄であるとして行為者を告発した。山砂利採取跡地の事案では性状は現認していないが、京田辺市の事案から判明した事実をもって同時期に搬入された3,000台分については産廃と推認してもよいとの回答を環境省から得ている。3,000台分は3事業者の3箇所に埋められているが、それを特定することはできない。』
つまり、再生土の性状、取引価値の有無等から総合的に判断した結果、被告発者が本来の許可内容とは異なる不適正な処理を行ったものと推認される上記の約3,000台分について、産業廃棄物と認定したことになります。しかし、今回の件については性状に関する目視による検証は実施されておらず、同一時期に判明した京田辺市の事件から推認して、性状の廃棄物性を判断したことに争点があるように思われます。
この点につき、今後、司法がどのような判断をくだすか、注目されるところです。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
環境省
「環境報告ガイドライン2007年版」普及セミナーの開催について
西表石垣国立公園及び丹後天橋立大江山国定公園の指定日等について
平成19年度CDM/JI事業調査に係るプロジェクト案件の採択について
経済産業省
平成19年度「マテリアルフローコスト会計開発・普及調査事業」における普及活動を実施する事業者団体等の公募について~廃棄物削減とコスト低減を同時に達成する環境経営ツールの普及・促進~
国土交通省
造船造機統計速報(平成19年5月分)
トラック輸送情報
(平成19年4月分)
資源エネルギー庁
ガス事業制度改革について更新
東京都
「東京の環境2007」を刊行
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月16日から7月22日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.7.22
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月16日から7月22日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.7.22
山砂利採取地に産業廃棄物(「再生土」京都府が刑事告発)が搬入された問題で、京都府城陽市が、『城陽市砂利採取及び土砂等の採取又は土地の埋立て等に関する条例』を改正する見込みである、とのニュースがありました。報道によると『「再生土」は2004年から2005年にかけて10トンダンプカー1万6,300台分が採取地に搬入され、府は、うち3,000台分を産廃の汚泥と認定した。しかし、山砂利条例では、土壌検査の対象を「土砂等」に限っていたため、池などの堰堤(えんてい)用資材として搬入された「再生土」は検査を受けずに搬入された。(平成19年7月23日京都新聞)』とのこと。
同条例では、現在、第17条において『土砂等の採取又は土地の埋立て等を行おうとする者は、市長の許可を受けなければならない。』としていますが、上記事件を踏まえ、『土砂等』に新たに『資材』を加え、規制する行為面でも現行の『土地の埋立等』に『資材を用いた路盤等の補強』を加えた改正案が検討される見込みです。また、『JR奈良線以東の城陽市域』としている適用地域についても検証委で再考する、とされています。
そもそもこの事件については、平成18年5月19日、『平成16年3月頃から同年6月末頃までの間、10トンダンプで約3,000台分の汚泥と固化処理不十分な汚泥処理物との混合物を、再生土と称して、他人の産業廃棄物の処分等を行うことのできない無許可の業者に委託したものであり、この行為は、(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)法第12条第3項で定める委託基準に違反することとなる』として、京都府が刑事告発していたものです。
この事件に先立ち、今回と同一の被告発人が平成17年10月11日、京田辺市田辺茂ヶ谷に再生土を不法投棄したとされる事案で、京都府は被告発人の産業廃棄物収集運搬業の許可の取消処分を行っています。
今回の事件でも論点となるのが、当該『再生土』の廃棄物性です。京都府が告発に至った決め手は、『5事業者が建設資材として受け入れたとする再生土の搬入に関しては、有価で購入した実態はなく、処分費相当額の授受(逆有償)を伴うものであった。』こととされています。この点につき、平成19年3月28日に開かれた第1回京都府再生土問題に関する検証委員会の議事要旨には、次のような質疑が掲載されています。
『逆有償が判明した証拠は?』
『廃棄物処理法に基づく報告徴収により伝票確認をして逆有償であることを確認した。』
『逆有償であることは産業廃棄物の定義のかなりの部分だが十分条件ではない。日本の場合、性状と物によって決められている。資料に「総じて泥状を呈していない。」とあるから、汚泥でなくなってくると産廃かどうかわからなくなってくる。曖昧な部分がある。10トンダンプ16,300台分のうち3,000台分だけを産業廃棄物と認定できるとした根拠が分かりにくい。』
『京田辺市の事案では投棄時点の性状が泥状であることを目視で確認し、環境省にも照会した上で不法投棄であるとして行為者を告発した。山砂利採取跡地の事案では性状は現認していないが、京田辺市の事案から判明した事実をもって同時期に搬入された3,000台分については産廃と推認してもよいとの回答を環境省から得ている。3,000台分は3事業者の3箇所に埋められているが、それを特定することはできない。』
つまり、再生土の性状、取引価値の有無等から総合的に判断した結果、被告発者が本来の許可内容とは異なる不適正な処理を行ったものと推認される上記の約3,000台分について、産業廃棄物と認定したことになります。しかし、今回の件については性状に関する目視による検証は実施されておらず、同一時期に判明した京田辺市の事件から推認して、性状の廃棄物性を判断したことに争点があるように思われます。
この点につき、今後、司法がどのような判断をくだすか、注目されるところです。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
環境省
「環境報告ガイドライン2007年版」普及セミナーの開催について
西表石垣国立公園及び丹後天橋立大江山国定公園の指定日等について
平成19年度CDM/JI事業調査に係るプロジェクト案件の採択について
経済産業省
平成19年度「マテリアルフローコスト会計開発・普及調査事業」における普及活動を実施する事業者団体等の公募について~廃棄物削減とコスト低減を同時に達成する環境経営ツールの普及・促進~
国土交通省
造船造機統計速報(平成19年5月分)
トラック輸送情報
(平成19年4月分)
資源エネルギー庁
ガス事業制度改革について更新
東京都
「東京の環境2007」を刊行
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月16日から7月22日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.7.22
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月16日から7月22日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.7.22