環境法令ウオッチング

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第166回通常国会で成立した主な環境法令の整理 ④土地利用及びその他関係

2007-07-09 05:40:15 | 環境行政一般
2007年7月9日 
 第166回通常国会で成立した主な環境法令の整理最終回は、土地利用及びその他関係の法律の概要です。

(4)土地利用
□企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律(平成19年 5月11日法律40号)
1.目的
企業立地の促進等による産業集積の形成及び活性化に関する地方公共団体による主体的かつ計画的な取組を支援するための措置を講ずることにより、地域経済の自律的発展の基盤の強化を図り、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とすることとした。(第1条関係)

2.環境法令との関わり ― 工場立地法の特例
同意基本計画(工場立地法の特例措置が定められているものに限る。)において特に重点的に企業立地を図るべき区域(以下「同意企業立地重点促進区域」という。)及び工場立地法の特例措置の実施により期待される産業集積の形成又は産業集積の活性化の効果を定めている市町村は、当該同意企業立地重点促進区域における製造業等に係る工場又は事業場の緑地及び環境施設のそれぞれの面積の敷地面積に対する割合に関する事項について、条例で、国が定める範囲内において、工場立地法に基づき公表され、又は定められた準則に代えて適用すべき準則を定めることができることとした。(第10条〜第12条関係)
施行日:この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとした。

(5)その他
□エコツーリズム推進法(平成19年 6月27日法律105号)
1.目的
 この法律は、エコツーリズムが自然環境の保全、地域における創意工夫を生かした観光の振興及び環境の保全に関する意識の啓発等の環境教育の推進において重要な意義を有することにかんがみ、エコツーリズムについての基本理念、政府による基本方針の策定その他のエコツーリズムを推進するために必要な事項を定めることにより、エコツーリズムに関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とすることとした。(第1条関係)

2.定義
 自然観光資源、エコツーリズム等その他法律中の用語の定義について所要の規定を整備することとした。(第2条関係)

3.基本理念
 エコツーリズムは、自然観光資源が持続的に保護されることがその発展の基盤であることにかんがみ、自然観光資源が損なわれないよう、生物の多様性の確保に配慮しつつ、適切な利用の方法を定め、その方法に従って実施されるとともに、実施の状況を監視し、その監視の結果に科学的な評価を加え、これを反映させつつ実施されなければならないこと等とした。(第3条関係)

4.基本方針
 政府は、基本理念にのっとり、エコツーリズムの推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないこととした。また、基本方針は閣議決定し、公表しなければならないこと等とした。(第4条関係)

5.エコツーリズム推進協議会
 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、当該市町村の区域のうちエコツーリズムを推進しようとする地域ごとに、エコツーリズム推進全体構想(以下「全体構想」という。)の作成等の事務を行うため、当該市町村のほか、特定事業者、地域住民、特定非営利活動法人等、自然観光資源又は観光に関し専門的知識を有する者、土地の所有者等その他のエコツーリズムに関連する活動に参加する者並びに関係行政機関及び関係地方公共団体からなるエコツーリズム推進協議会(以下「協議会」という。)を組織することができることとした。(第5条関係)

6.全体構想の認定等
 市町村は、その組織した協議会が全体構想を作成したときは、主務省令で定めるところにより、当該全体構想について主務大臣の認定を申請することができるものとした。また、主務大臣は、認定の申請があった全体構想が基本方針に適合するものである等の基準に適合すると認めるときは、その認定をすること等とした。(第6条関係)

7.特定自然観光資源の指定等
(1)全体構想について認定を受けた市町村の長は、6の認定を受けた全体構想(以下「認定全体構想」という。)に従い、観光旅行者その他の者の活動により損なわれるおそれがある自然観光資源(風俗慣習その他の無形の観光資源を除く。)であって、保護のための措置を講ずる必要があるものを、特定自然観光資源として指定することができること等とした。
(第8条関係)
(2)特定自然観光資源の所在する区域内においては、何人も、みだりに特定自然観光資源の汚損、損傷等の行為をしてはならないこととした。また、市町村長は、認定全体構想に従い、指定した特定自然観光資源が多数の観光旅行者その他の者の活動により著しく損なわれるおそれがあると認めるときは、当該特定自然観光資源の所在する区域への立入りにつきあらかじめ当該市町村長の承認を受けるべき旨の制限をすることができること等とした。(第9条及び第10条関係)

8.活動状況の公表等
(1)主務大臣は、毎年、協議会の活動状況を取りまとめ、公表しなければならないこととした。(第11条関係)
(2)主務大臣は、市町村に対し、その組織した協議会の活動状況について報告を求めることができることとした。(第12条関係)

9.エコツーリズム推進連絡会議
政府は、環境省、国土交通省、文部科学省、農林水産省その他の関係行政機関の職員をもって構成するエコツーリズム推進連絡会議を設け、エコツーリズムの総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うこととした。(第17条関係)


□温泉法の一部を改正する法律(平成19年 4月25日法律31号/昭和23年法律第125号の一部改正)
1.温泉の掘削等の許可への条件の付与等
 都道府県知事は、温泉の掘削等の許可に条件を付すことができることとし、当該条件に違反した者に対し、許可の取消し又は措置命令を行うことができることとした。

2.承継規定の新設
 温泉の掘削等の許可を受けた者である法人又は個人について、合併、相続等の場合における地位の承継ができることとした。

3.掲示項目の追加
 温泉施設内に掲示する事項として、入浴又は飲用上必要な情報として環境省令で定めるものを追加することとした。

4.定期的な温泉成分分析の義務付け
 温泉を公共の浴用又は飲用に供する者に対し、定期的な温泉成分分析及びその結果に基づく掲示内容の変更を義務付けることとした。

5.この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとした。


□消防法の一部を改正する法律(平成19年 6月22日法律第93号/昭和23年法律第186号の一部改正)
1.自衛消防組織の設置
(1)防火対象物のうち多数の者が出入するものであり、かつ、大規模なものとして政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定めるところにより、当該防火対象物に自衛消防組織を置かなければならないこととした。(第8条の2の5第1項関係)
(2)防火対象物の管理について権原を有する者は、自衛消防組織を置いたときは、遅滞なく自衛消防組織の要員の現況等を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならないこととした。(第8条の2の5第2項関係)
(3)消防長又は消防署長は、自衛消防組織が置かれていないと認める場合には、防火対象物の管理について権原を有する者に対し、自衛消防組織を置くべきことを命ずることができることとした。(第8条の2の5第3項関係)
(4)消防長又は消防署長が防火対象物の使用の禁止等を命ずることができる場合として、防火対象物の位置等の状況について、(3)の命令にかかわらず、その措置が履行されない等のため、引き続き、火災の予防に危険であると認める場合等を追加することとした。(第5条の2第1項第1号及び第2号関係)
(5)消防長又は消防署長が特例を設けるべき防火対象物として認定することができない要件として、過去3年以内において(3)の命令がされたことがあること等を追加することとした。(第8条の2の3第1項第2号イ関係)
(6)消防長又は消防署長が(5)の認定を取り消さなければならない場合として、(3)の命令がされたときを追加することとした。(第8条の2の3第6項第2号関係)

2.建築物等に係る火災以外の災害の被害の軽減のための体制の整備
(1)火災以外の災害で政令で定めるものによる被害の軽減のため特に必要がある建築物等として政令で定めるものの管理について権原を有する者は、火災その他の災害の被害の軽減に関する知識を有する者で政令で定める資格を有する者のうちから防災管理者を定め、当該建築物等について消防計画の作成等の業務を行わせなければならないこととした。(第36条第1項関係)
(2)火災以外の災害で政令で定めるものによる被害の軽減のため特に必要がある建築物等として政令で定めるもので、その管理について権原が分かれているものの管理について権原を有する者は、これらの建築物等について、消防計画の作成等を、協議して、定めておかなければならないこととした。(第36条第1項関係)
(3)火災以外の災害で政令で定めるものによる被害の軽減のため特に必要がある建築物等として政令で定めるものの管理について権原を有する者は、定期に、防災管理点検資格者に、当該建築物等における点検対象事項が点検基準に適合しているかどうかを点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならないこととした。(第36条第1項関係)
(4)消防長又は消防署長は、建築物等であって一定の要件を満たしているものを、当該建築
物等の管理について権原を有する者の申請により、(3)の適用につき特例を設けるべき建築
物等として認定できることとした。(第36条第1項関係)
(5)(1)の建築物等のうち防火管理者を定めなければならない防火対象物であるものにあっては、当該建築物等の管理について権原を有する者は、防災管理者に、防火管理者の行うべき防火管理上必要な業務を行わせなければならないこととした。(第36条第2項関係)
(6)(1)の建築物等のうち防火対象物点検資格者に点検させなければならない防火対象物であるものにあっては、防火対象物点検資格者及び防災管理点検資格者により点検対象事項がいずれの点検基準にも適合していると認められた場合に限り、点検を行った日その他総務省令で定める事項を記載した表示を付することができることとした。(第36条第3項関係)
(7)(1)の建築物等のうち防火対象物点検資格者に点検させなければならない防火対象物であるものにあっては、(4)の認定及び特例を設けるべき防火対象物としての認定を受けた場合に限り、当該認定を受けた日その他総務省令で定める事項を記載した表示を付することができることとした。(第36条第4項関係)
(8)(1)の建築物等に自衛消防組織が置かれている場合には、当該自衛消防組織は、火災その他の災害の被害の軽減のために必要な業務を行うこととした。(第36条第6項関係)
(9)所要の罰則を設けることとした。(第41条第1項第2号、第42条第1項第1号、第44条第3号、第8号、第11号及び第17号並びに第46条の6関係)
3.この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとした。

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【判例情報ウオッチング】
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