西海岸へ無事に帰ってきた私は、いよいよ
3度目の実技試験に挑戦するのだった。
時は既に12月。日本を発ってから3ヶ月
以上が過ぎていた。
どういうわけか、帰りたいとはまったく思わな
い。ホームシック皆無の私。
(実は今でも私は、できれば放浪の旅に出た
いなあ、と思っている根っからの旅好き。)
さて、実技試験は……、
あっけないほど巧くいったのだ。完璧!
NYでの荒療治がこれほど
までに効き目があるとは!
試験官は操縦する私の横で
細かくチェックをしていたが、規定のコースを
飛行しながら、こうして幾度も眺めたサンフラ
ンシスコ湾やオークランド空港に心の中で
別れを告げる余裕さえあった。
飛行を終え、着陸をして定位置につけると、
試験官が「Good !」と言って肩をたたいてく
れた。
多分、合格…の手ごたえを得た私は、合否
の通知までの幾日かを、心置きなく遊ぼう!
と決めた。(もう、ココロオキナク遊んだだろ~
とつっこまれそう)
↑は『Lake Tahoe(レイク・タホ)』の
ヘブンリーバレー・スキー場。
この雄大な景色を眺めながら頂上から滑降
したときは、まさにheavenlyな気分だった。
と書きたいところだが、雪がまだ少なかった
ため叶わず…。
一面真っ白になったこの山から、青い湖に
むかって滑り降りたらどんなに爽快だろう!
なんたって『天国の谷』なんだから…
(えっ?なんだかお陀仏してあの世で滑る
イメージが…)
一番上のカワイイ天使のイラストは、この
スキー場のパンフレットにあったものだが、
とても気に入ったので、帰国後自分で文字
などをデザインして入れ込み、ワッペンにして
スキーのジャンパーにつけたほどだ。
(滑れなかった悔しさを紛らわす私)
と、帰りに寄った動物園の
パンフレット。
こうして、残り少ないアメリカ暮らしを私は
一生懸命満喫していたのであった。
西海岸はNYに比べて治安はいい、住民も
礼儀正しい。
決死のNYから帰ってきた私はとてもやすらか
な日々を送っていたのだが…
しかし、やはり私には悲(喜)劇が用意されて
いたのだった、ちゃんと…。