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汚染処理水の海洋放出の重大な問題点

2021-04-17 | 時事問題
政府は、漁業関係者らや地元の反対を無視し、14日に東京電力福島第1原発の敷地内にある汚染処理水の海洋放出処分を決定した。が、昨年2月、ALPS小委員会の報告書が発表されて以来、公開の場での説明会や公聴会は一切行われていない。

ここ何日か色々調べて考えていたが、海洋放出の問題は数々あるが大まかだが大体次の3点に要約できると思う

1、残留はトリチウムだけでなく放射性物質の総量が問題
タンクにためられている水には、トリチウムが約860兆ベクレル含まれているのみならず、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129などの放射性物質が残留し、タンク貯留水の約7割で告示濃度比総和を上回っている。トリチウム以外の核種が残留していることがはじめて明らかになったのは2018年の共同通信による報道によってであり、それまで東電はトリチウム以外の放射性物質は除去し、基準を下回ると虚偽の説明をしていた。
政府は最大年間22兆ベクレルのトリチウムを海洋中に放出するとしている。原発事故以前、福島第一原発からの海洋中へのトリチウムの放出は年間1.5~2.5兆ベクレルであった。すなわちその約10倍の量のトリチウムを、数十年にわたり海洋に放出することとなる。

2、検討されなかった代替案
技術者や研究者も参加する「原子力市民委員会」は「大型タンク貯留案」、「モルタル固化処分案」を提案し、経済産業省に提出した。が政府は、放出ありきで、これらをまったく検討しなかった。

3、地元や全国の漁連の断固の反対にもかかわらず
福島県漁業協同組合連合会の野崎会長は、「地元の海洋を利用し、その海洋に育まれた魚介類を漁獲することを生業としている観点から、海洋放出には断固反対であり、タンク等による厳重な陸上保管を求める」と強く反対している。
2020年6月23日には全国漁業協同組合連合会(全漁連)が、通常総会にて、汚染水に関し「海洋放出に断固反対する」との特別決議を全会一致で採択した。 


そして、最後に重要なことだが、 人々を欺く政府の常套手段である<すり替え>に騙されてはいけないこと。
政府やメディアが、ALPS処理汚染水の海洋放出の影響を「風評被害」のみに限定し、ことさらそれを強調することは、海洋放出の影響やリスクについて指摘する人をあたかも加害者のようにみなすことになり、隠蔽の無い健全な議論ができないようにされることが恐ろしいのである。
そもそも処理汚染水の海洋放出は、放射性物質を環境中に放出することが問題なのであり、矛先を向けるのは、問われなければならないのは、この原発事故は人災であり、その加害者は国及び東電なのである。そこを間違ってはいけないと思う。


写真は朝日新聞より