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「民主、社民、国民新が連立政権樹立で合意―地位協定、米軍基地見直し明記」<瀬戸栄一>

2009-09-10 | 時事問題
民主、国民新党はともかく、社民党が連立を組むとは、“イッタイどういうこと”と思っていました。
この連立は、民主党にとっては、参院過半数獲得が目的です。
ですが、社民党にとっては絶対に越えられない「壁」があるでしょうと言いたい。
それは安保、外交の問題です。
でも合意しました。
大きな期待は出来ませんが、福島党首が入閣すれば、社民党のコンセプトがある意味では、彼女を通して反映するかも知れない可能性があるから、現今の米国一辺倒の外交に少しは水を差すかもしれません。
それは、今までの自民党政権では考えられなかった事態ですので、ある意味での「The small change」が期待できます。
今後しっかり新政府の動向を監視していきたいものです。

下記は、ちきゅう座からの転載です。
http://www.chikyuza.net/
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<せとえいいち:政治ジャーナリスト>

民主、社民、国民新3党が9日夕、連立政権の樹立で合意した。10日間近くに及んだ協議で最後まで調整が残った日米安保関係については「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定の提起し、米軍再編や在日米軍基地の在り方についても見直しの方向で臨む」との文言で、同日午後の3党幹事長クラスの協議で合意した。これを受けて夕刻から鳩山民主党代表、福島瑞穂社民党党首、亀井静香国民新党代表の3党党首が国会内で党首会談を開き、政策合意の文書に署名し、「民社国」連立政権の発足が確定した。
直後の記者会見で鳩山代表は社民、国民新両党から党首クラスが入閣し、閣内に「基本政策閣僚委員会」を設置して政策の実現に当たることを明らかにした。16日召集の特別国会で鳩山氏が首相に選出されたあとの組閣で、福島瑞穂社民党首、亀井静香国民新代表が入閣し、合意事項を連立内閣として推進することになった。亀井氏は既に入閣を快諾しているが、福島党首本人の入閣はまだ党内調整を残している、としている。結局は福島党首の入閣になりそうだ。
 
▽沖縄県民の負担軽減

連立合意の文書は「政策合意」の項目として「主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。未来志向の関係を築くことで、より強固な相互信頼を醸成する」とし、日米地位協定の改定を提起、在日米軍基地の在り方も見直しの方向で臨む」としている。このうち「日米地位協定の見直し」や「在日米軍基地の見直しの方向」は民主党が既にマニフェスト(政権公約)に書き込んでおり、合意文書は社民党の意向を受け入れて「沖縄県民の負担軽減」を付け加えたのが新味といえそうだ。
社民党内や沖縄現地には、普天間基地移転問題の再検討(県外移転)などを合意文書などに明記すべきだ、との意見が強かったが、福島党首らは連立政権入りを選択した。

▽参院過半数が連立目的

先の衆院選で308議席の巨大政党になった民主党と、わずか7議席の社民党、3議席の国民新党の3党が連立するのが、なぜ政策合意までに時間をかけたのか。参院では民主党は第一党ではあるが、単独過半数には達しておらず、衆院で法案を可決しても参院で仮に社民党との意見が一致しなければ成立しない。
9日現在の参院勢力分野は▽民主党・新緑風会・国民新・日本118▽自民党81▽公明党21▽日本共産党7▽社民党・護憲連合5▽改革クラブ4▽無所属4▽欠員2である。
参院の総定数は242議席、過半数は122である。民主党は今回の衆院選で308の巨大与党になったが、参院では既に統一会派入りしている国民新党を与党に加えても単独過半数までに4議席足りない。参院社民党5議席を、閣内協力によってトータルで過半数に持ち込むための連立である。来年夏の参院選で小沢幹事長が三度目の豪腕を発揮し、民主党の単独過半数を確保する方針だ。

▽直嶋、前原、野田氏ら浮上

連立合意が確定したのを受けて、鳩山代表は既に内定している重要閣僚、党幹部人事以外のポストについても、組閣前日の15日中をゴールにして内定を急ぐ。
既に内定しているのが、菅直人代表代行の国家戦略局担当相兼副総理・党政調会長と、岡田克也幹事長の外相、平野博文役員室長の内閣官房長官である。財務相には藤井裕久元蔵相(細川護煕内閣)を軸に調整中だ。政策立案で貢献した直嶋正行政調会長の経済産業相など経済閣僚への起用が浮上。
年金問題で大きな功績があった長島昭・政調会長代理、偽メール事件で短期の党代表で終わった前原誠司副代表、若手の信望が厚い野田佳彦幹事長代理も入閣が有力視されている。前原、野田両氏は「非小沢グループ」の代表格だ。さらに党人事について、鳩山代表は小沢幹事長に一任しており、小沢側近の山岡賢次国対委員長の留任が有力だ。
さらに引退する河野洋平衆院議長の後任には横路孝弘前副議長を軸に調整する。これも小沢幹事長の意向だ。

▽家計支援を最重点

3党連立の合意でもめたのは日米安保関係だが、合意の主要部分は民主党のマニフェストに沿った内政政策が並んでいる。合意は「3党連立政権は政権交代の民意に従い、国民の負託に応える」とし、いくつかの合意事項を基本政策閣僚委員会で議論し、その結果を閣議に諮り、決めていく、と前置きしている。
政策合意の主な点は▽官僚支配を許してきた自民党政治を根底から転換し、税金の無駄遣いを一掃▽家計支援を最重点に位置づけ可処分所得を増やし消費拡大▽インフルエンザ予防・感染拡大防止▽速やかな雇用支援対策▽消費税率5%据え置き、政権担当中は引き上げない▽日本郵政など3社の株式凍結法案と郵政民営化見直し法案の成立▽子ども手当て創設▽保育所増設による待機児童解消▽生活保護の母子加算復活▽高校教育の実質無償化▽社会保障費の自然増年2200億円抑制の廃止▽年金記録問題の集中的解決と一元的年金制度の確立▽登録型派遣と製造業派遣の原則禁止▽国・地方の協議法制化、地方への大幅権限移譲▽戸別所得保障による農業再生▽温暖化ガス抑制で中期目標見直し―などである。

▽インド洋給油に言及なし

さらに▽北朝鮮の核、ミサイル開発をやめさせ拉致問題解決に全力▽アフガニスタン支援策の検討▽唯一の被爆国として「平和主義」など憲法3原則順守を確認―なども列挙した。インド洋の自衛艦による給油継続には言及を避けた。
鳩山新首相は23日からの国連総会出席の機会にオバマ米大統領と会談し、信頼関係づくりを急ぐ。これらの合意事項に基づく連立政権発足について説明する一方、インド洋給油問題で日本の貢献継続を米政府が本当に望んでいるのか、確かめたい意向のようだ。

▽自民再生会議が発足

他方、300議席から119議席に落ち込んだ自民党は8日、選挙後初の両院議員総会で「自民党再生」について激論を交わした。16日の首相指名選挙(衆院本会議)への対応が当面最大の議論のタネになり、「麻生太郎」はもとより「白紙」にも賛成が少なく、総会を司会した若林正俊両院議員総会長(元農相)の名前に一致して投票する、との奇策で落着した。
この総会で対案された「党再生会議」は翌9日に直ちに初会合を開き、衆院は当面、当選7回以下の中堅・若手議員で構成、座長に山本有二元金融担当相が就いた。
300議席が119議席に激減したため、かねてから「派閥の連合体」とも呼ばれた自民党はほとんどの派閥が存在理由を失った。第3派閥だった津島派は会長の津島雄二氏が引退し、額賀福志郎会長代理が会長に昇格して「額賀派」に衣替えしたが、衆院の同派議員は45人から14人に激減。同派参院議員の23よりも少数になった。結果として青木幹雄前参院議員会長の影響力が強まりそうだ。

▽領袖ひとりだけの二階派

各派閥の衆院選による縮小振りを並べてみると、次の通りだ。
町村派23(選挙前61)▽伊吹派9(同20)▽山崎派16(同37)▽麻生派8(同16)▽額賀派14(同45)▽古賀派25(51)▽高村派5(同14)▽二階派1(同12)▽無派閥15(43)その他・無分類3(1)である。皮肉なことに二階派は領袖の二階俊博氏ただひとりになった。偶然だが、最大派閥は古賀派になっている。
こうした悲惨な選挙結果から、ポスト麻生の次期総裁選出については、推薦人の数を現行の20人から10人に半減して出馬しやすくすべきだとの提案が出たが、賛成少数で否決された。咄嗟の提案だったため、賛成をためらった議員も少なくなかったようだ。

▽山口公明もイバラの道

自民党と過去10年間、連立与党を組んだ公明党も衆院選で31議席から21議席に転落。
特に小選挙区から出馬した8人全員が落選または比例復活し、太田昭宏代表と北側一雄幹事長、冬柴鉄三前国土交通相が枕を並べて落選した。結束の固い同党は、直ちに太田代表の後任に山口那津男政調会長代理(57)を選び、幹事長に井上義久副代表(62)、政調会長に斉藤鉄夫環境相(57)を選出。16日の首相指名選挙では山口氏に投票して、独自路線に転じる方針。
31議席から21議席に半減した公明党、創価学会では、10年間の自民党への協力が独自性を失わせ、敗北した、との反省が内部に強い。山口新代表は今月中にも独自路線への回帰を図りたい考えだ。しかし、太田前代表らには「自公」堅持へのこだわりが強く、山口新代表はイバラの道を歩みそうだ。(了)