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縄文人(見習い)の糸魚川発!

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誰でもできるヒスイの簡易鑑定法・・・ヒスイの比重の測り方

2021年12月27日 08時20分16秒 | ヒスイ

誰でもできるヒスイの簡易鑑定法をご紹介。

都内の個展に考古学者が訪ねてきてくれてヒスイ談義を楽しんだが、他県の学芸員さんからもよく質問される「出土品がヒスイかどうかの見分け法」を聞かれた。
 
縄文~古墳時代までの装身具に使用された石材で、比重が3を超えるものはヒスイ以外には見当たらないので、比重測定をして3・2~3・4の範囲であれば「硬玉ヒスイ」である蓋然性(がいぜんせい;確からしさ)は高い、が私の見解。
 
専門機関に鑑定を頼むとお金がかかるし、都道府県の埋蔵文化財センターで蛍光エックス線分析できるにしても硬玉ヒスイのチャート(成分表)を持っていないと比較できす、ガラスとあまり違わない成分結果しか出てこないらしいから、デジタル精密はかりさえあれば誰でもできる比重測定がおススメ。
 
実は某県の埋蔵文化財センターの学芸員さんから、5世紀の古墳から黒い丁子頭勾玉が出土して蛍光エックス線分析をしたが、分析結果はガラスのようでも黒いガラスは出土例がないのでヒスイの可能性はないかと相談されたことがある。
 
この時はヒスイ測定の前に透過光が何色になるか調べることをオススメしたら、見事な深緑色が浮き出たので黒いヒスイではなく深緑色のヒスイである可能性が出て、比重も間違いなかった。
 
深緑色の丁子頭勾玉は群馬の軍配山古墳からも出土していて、こちらも暗い室内では黒く見えるのですナ。
 
しかし比重が3・2未満の近実値であればどうなのか?その判断基準は明確ではないので、比重が3をきるロディン岩やアルビタイトも「ヒスイ輝石岩の端っこの部分」として流通したりするし、いちいち比重を測って売っている訳でもなく、判断基準は目視鑑定が普通なのですね。
 
私の場合はヒスイかどうか疑わしい石材は、ホームセンター購入の0.1g単位で測定できる安いデジタルはかりで比重を測定して、比重が3.2未満の場合はヒスイではない可能性がある旨を明記しているが、年末に自分へのご褒美として0.01g単位で600gまで測定できる精密デジタルはかりを購入した。価格はホームセンター品の10倍以上もする32,000円!それでも専門機関が使っているデジタル精密はかりよりは精度も価格も低いヨ。
 
 
糸魚川に来るヒスイ好きなら誰でも寄ったことがあるだろう姫川沿いの「坪井ヒスイ加工販売」さんは、硬玉ヒスイとして流通しそうな綺麗な原石をアルビタイトとして売っていた。
 
 
折よく「坪井ヒスイ加工販売」さんを訪ねたら、白地に鮮やかな黄緑がはいった綺麗な原石をアルビタイトとして売っていた。ヒスイとして売る人もいるだろうに、「これをヒスイとして売ったら信用問題になる」という正直者!
 
そこでさっそくアルビタイトを借りて、新兵器のデジタル精密はかりで比重を計測させてもらった。以下がその方法。
 
用意するもの
a,最低でも0.1g単位で計測可能なデジタル計量器
b,吸水しないテグスか細い針金
c,水をいれる容器
 
①bでヒスイを縛った状態での原石重量=112.7g。
②cの容器に適量の水を容れた計量器にのせて風袋0gとして、原石をbで吊るして水に浮かべた状態の重量=38.38g
 
*比重=①112.77g÷②38.38g=2.94!
硬玉ヒスイの比重3.2~3.4より足りず、坪井さんの硬玉ヒスイか否かの「自主基準」は正しいことになる。
 
糸魚川市にフォッサマグナミュージアムができる以前は、アルビタイトもロデイン岩も硬玉ヒスイとして売買されてきたこともあり、今でもヒスイか否かの判断はお店の経験則に委ねられているということですネ。
 
ちなみにアルビタイトを研磨すると、白い部分がアルミのような金属っぽい光沢、ロディン岩は碁石のようなマットな光沢、ヒスイだとしっとりした上品な光沢となる。また加工する際には切断時のブレードの刃当たり具合がまるで違うので、職人ならこの段階でムムと感じるはず。
 
比重測定をしたい方は、0.1g単位で測定できる2,000円代のデジタルはかりで遊んでみてちょうだい。ヒスイを水中に吊るすのは軽くて水を吸わない素材ならなんでもいいです。
小さな原石や縛りにくい形状のヒスイもあるので、最近のわたしは100均で買ったお茶っぱ用のフィルターに入れて計測しておりマス。
 
 


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