十日町市立博物館の企画展「縄文とヒスイ展」で、担当された学芸員さんの着眼点に敬服。面白かった。
ヒスイ探偵のわたしとしては、加工途中の未成品に興味津々。
信濃川中流域の遺跡から出土した、穿孔途中のヒスイ大珠の未成品の二点が展示されており、管錐(カンスイ・パイプ状の錐)で穿孔した時にできる凸(ヘソ)がなく、お椀状の窪みから中実の棒を回転穿孔したことが看て取れるではないか!
長岡市の岩野原遺跡の大珠未成品・・・孔の底にヘソがなくお椀状の窪みになっている
しかも長岡の西野原遺跡の大珠は、断面が三角形という特殊な形状ゆえなのか、最初の段階から両側穿孔していることにも刮目。
縄文時代の穿孔具は管錐!、両側穿孔は片方を半分以上あけてから反対側から貫通させる!は固定観念だった。
上記二点は火焔型土器文化圏の中心地域からの出土品。
対して糸魚川の遺跡からは管錐穿孔の痕跡のある未成品が出土していて片側穿孔なので、はやくも中期には新潟県内の加工法に地域差があり、必ずしも糸魚川の技術が伝播したとはいえない証拠になるのではないか?
勾玉にも面白いのがあった。
三条市の経塚山遺跡の勾玉の背部に縦方向の孔があけられた緒締型だ。冠などに差して飾ったとの説もあるが、新潟県内からも出土していたとは思わなんだ。
他にも中央部がエンタシス状に膨らんだ、ヒスイ製の管玉というか細長いナツメ玉もあった。管玉といえば敲打やチッピングで成形できるメノウ系か、柔らかい石材とばかり思っていたが、はじめてヒスイ製をみた。
おそらく原石を割った時にできた破片を根気よく研磨してつくったのではないだろうか。ド根性管玉!
数あるヒスイ出土品の中から、企画展のたびに紹介される有名な出土品に目もくれず、マニアックな興味をそそる出土品を集めた担当学芸員さんの得意顔が見えるようだ。友達になりたいw
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