縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

アニメ「スーパーカブ」・・・アンニュイで内気でも芯の強い女の子の成長物語

2021年05月30日 08時43分42秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
泰平さんから北杜市のご当地アニメ「スーパーカブ」を教えてもらったので視聴したら、一晩でエピソード1全7巻を観てしまった。
 
私もかって北杜市の自然農法家に弟子入りして住んでいたのです。
仔細不明ながら天涯孤独らしい、「親もお金もなく友達もいない」アンニュイで内気な女子高生が、通学用に「3人殺した」いわくつき中古のカブを1万円で買って物語が始まる。
感情をあまり表に出さず、口数も少ない彼女が、相棒になったカブのシートやメーター、ハンドルを撫でて、ニヒヒとほほ笑む場面や、しゃがんでカブに見入ったり窓から見てはウフフとほほ笑む場面、オイル交換でドレンプラグが外れないなど、バイク乗りの琴線に触れる場面がでてきて嬉しい。
 
最近の映画やアニメは、言葉で説明し過ぎる傾向が強いが、このアニメは説明的なセリフを最小限に抑えることで、観るものが自分の頭の中で状況や登場人物の気持ちを理解できる演出になっているので、共感や感情移入できることが好ましい。要するに落語的な演出なのですよ。
 
原作者と製作スタッフの見識が素晴らしく、これなら黒澤明や小津安二郎も褒めるに違いない。
 
主人公はカブのお陰で友達もできて世界が広がっても、内気でアンニュイな個性はそのまま、芯の強い女に成長していく。
 
物語がすすむうちに、時たま格言めいたセリフや辛辣なことをポツリと喋って笑わせてくれるが、これがリアリティですよ。
 
明朗快活な主人公や中二病的な主人公ではなく、アンニュイで内気であっても、内に秘めた強さをもった主人公は新鮮。
 
とくに鎌倉への修学旅行の回など、おぢさんは応援団になってしまった( ´艸`)
 
当日に発熱して参加を諦め、お昼前に熱が下がってからカブで鎌倉に向かうことを決意した主人公・・・あぁ、富士山経由だと遠回りだよ~!津久井から相模湖経由で厚木、藤沢に出た方が近いのに!とヤキモキして観たが、このアニメには富士山と湘南海岸を走る国道137号線が欠かせないということがわかって安心。
 
頻繁にでてくる北杜市の商店は全て実在するから。地元の人は大喜びしたであろうご当地アニメであり、バイク場面はホンダが監修しているのでリアルこの上なく、バイク好きにも面白い。
 
なにより主人公は明朗快活な個性、中二病的にウジウジしているという映画やアニメ世界に一石を投じる意欲作だから、自分は個性的ではない平凡な人間と自己否定しがちな思春期の子供たちに観て欲しい。
 
疾走感溢れるビーチボーイズの「リトルホンダ」を聴きたくなる映画。

田舎暮らしで大活躍するスーパーカブ・・・驚異的なロングセラーバイク

2021年05月29日 09時49分59秒 | 田舎暮らし
八ヶ岳の南麓、北杜市で農作業を本格的にはじめた友人の滝沢泰平さんが、電動キックボードなるものが田畑の足に重宝しているのだと自慢してたwので、私の愛車「ホンダスーパーカブ110cc・プレスカブ」も紹介!
郵便配達用の低重心設計なので、別名「郵政カブ」
 
実用最高速度90キロ、巡行速度50キロ前後で、実燃費は驚異的なリッター58キロ前後。
刈り払い機やチェーンソウも、改造なしでも安定して積めている。法規制には抵触しないのだが、幹線道路は避けております。
スマホナビ用に、配線からUSBポートを分岐してもらったので、防災時の充電機として使えるのがありがたい。
 
2人乗りもできるし、セカンドカーに最適。
 
カブで富士山を登頂した人もいたそうだし、配達でオイル交換なしで何十年も酷使しても壊れず、廃車の際にホンダが記念車として引き取ったという伝説もある・・・信じられん話しだが、バイク雑誌に書いてあったゾ。

 


映画「もうひとりの息子」・・・中山泰秀防衛副大臣の発言に思うこと(その2)

2021年05月28日 07時01分44秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
新生児が病院で取り違えられるドラマは数あれど、それがイスラエルの軍人家族と、隔離壁の中で暮らすパレスチナ人家族ならややこしい話しになる。
公式サイトはこちら http://www.moviola.jp/son/index.html
 
パレスチナ問題とはイスラエルの軍事侵攻問題であることが端的に解説されているので、興味のある人は一読されたい。
 
海の近くに住んでいるのに、一生海を見ることのできないパレスチナ人が、隔離壁を超えてテルアビブに入ると、そこは移動制限や生活物資の欠乏もなく、自由と繁栄を享受するイスラエル人のビーチリゾート。
 
映画「パラダイス・ナウ」にも、同じ状況が印象的に描かれているが、隔離壁の向こうとこちらは、別世界。
 
自分がパレスチナ人であることを知ったユダヤ人青年が、ユダヤ教のラビに悩みを相談する。
 
ユダヤ教は単なる宗教ではなく、「状態」なのだと突き放すラビの言葉に青年は絶望する。
 
ラビにサルトルのユダヤ人の定義を教えてやりたい。
 
「ユダヤ人とは、非ユダヤ人がユダヤ人と認識することである」
 
出自ではなく、自己認識がユダヤ人なら、ユダヤ人でいいではないか。パレスチナ人や日本人の定義も同様。
 
国連決議で隔離壁の建設中止が勧告されても、イスラエルは今もって隔離壁を建設し続けているそうだ。
 
南アフリカのアパルトヘイトが糾弾されて、イスラエルはなぜ許される?
 
そういえば南アフリカもイスラエルも、イギリスの植民地政策が発端でしたな。
 
#映画もうひとりの息子

映画「ガザの美容室」・・・中山泰秀防衛副大臣の発言に思うこと(その1)

2021年05月27日 10時32分36秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
パレスチナ人監督による、ガザの美容室を舞台にした映画。
ごく普通の昼下がりの美容院のできごとが、時間の経過と共に異常な世界であることが如実になっていく。
 
イスラエル軍のドローンが飛び回り、外には自動小銃を持った男たちがウロウロし、突然と銃撃戦がはじまる中で暮らすパレスチナの人々。
 
「天井のない監獄」と言われるガザの美容室は、そのままガザの縮図。
 
「ガザの美容室」公式サイトはこちら・・・https://www.uplink.co.jp/gaza/
 
生き苦しい異常な閉鎖空間、終りの見えない耐久生活、日常的な戦闘・・・公式サイトでは「オシャレが私たちの、抵抗」とキャッチコピーされているが、私には能動的に「抵抗」のためにお洒落をする女たちというよりは、異常な環境下で日常を演じることで精神的平衡をとる女たちとして観える。
 
多くの登場人物の人生模様が描かれていく、いわるるグランドホテル映画だが、設定と脚本、演出と女優陣の演技が秀逸だ。
 
パレスチナの人々が置かれている状態を知る絶好の映画だから、多くの人に観て欲しい。
 
日本の防衛副大臣が、イスラエル軍とハマースの報復合戦でガザが大変なことになっている時に、「心はイスラエルと共にあります」とツイッター発信して炎上したそうだ。
 
公平な歴史認識をもてば、中東問題とはパレスチナ問題、もっと言えばイスラエルの軍事侵攻こそが問題ではないか?
 
 
 

権現岳の万年雪・・・災害の記憶を刻む哀しい風景

2021年05月25日 07時38分54秒 | 糸魚川自慢
能生地区の権現岳の雪渓に案内してもらったが、海岸から20分強、人家まで10分弱という近さに驚く。
雪渓には岩壁から崩落した花崗岩の礫が点在しており、30年ほど前に多くの人が亡くなった「柵口雪崩」の現場であることを知った。
途中にある巨大な柵はキングコングの檻のようだが、二度と惨事を繰り返さないために作られた防護柵であるらしい。
山岳地帯から海岸までの急峻な地形は、稀有な絶景を産み出しもするが、それは災害多発地帯に住む人々の苦難の歴史が刻まれた風景でもある。
土木工学の概論本には、国内有数の地滑り地帯、河川氾濫地帯、波浪災害地帯と、各項目ごとに糸魚川が紹介されていて、呆れたことがある。
 
雪解け水がコロコロと流れる音だけが聴こえていた。
 
 

独裁者はいつでも帰ってくる・・・映画「帰ってきたヒトラー」

2021年05月24日 08時42分00秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
笑っていいのか?憤るべきか?「帰ってきたヒトラー」は、リトマス試験紙のような大ヒットしたドイツ映画。
トランプ前アメリカ大統領を皮肉っているのかと思ったが、大統領真っ最中の頃の2015年公開でした・・・。
 
自殺直前に現代にタイムスリップしたヒトラーが、最初はいかれたコスプレーヤーとして時代錯誤の過激な言動で面白がられ、コメディアンとしてマスメディアの寵児になる。
 
街頭でヒトラーに「今、何に困っている?」とインタビューされる人々は、最初はジョークとして受け取り、やがて移民は出ていくべきと本音を語り出すが、ヒトラーは最初に「その通りだ!」と共感し、「例えばジャーマンシェパード!ダックスフントと混血したらどうなる?」と、巧妙に不満を煽っていく話術に長けている。
 
街頭インタビューも含めて、極右政党本部に突撃取材して、「国家のために命を捨てる覚悟があるのか?!なにをやっているこの腰抜け!」と𠮟り飛ばす場面、極右グループと酒場で「強いドイツを再び!」と気勢を揚げる場面などは、筋書きなしのドキュメンタリー映像も使って、虚実ないまぜの斬新な映画手法が心憎い。
 
本物のヒトラーだと気付いたヒトラー発見者が、「お前は国民を騙している!」と抗議すると、「1933年に国民が私を選んだのだ。プロパガンダなどではない。強いドイツを望む意思を私に託したのだ。私は君の中に存在するのだ。」と平然と答えるヒトラー。
 
確かにおっしゃる通り。
 
戦後70年、過激な言動の政治指導者がひと吹きすると、大衆の不満が、排他的なナショナリズムの大きな炎となり得る世相に回帰しつつある世界の危うさ。
 
過激な言動で国民の不満を煽る政治指導者が現れると、1933年前後のドイツの世相と対比するべきだ。
 
ヒトラーが本物と気付いた男は精神病院に軟禁されてしまうが、TVマスコミは視聴率が稼げるスターとしてヒトラーを担ぎ続ける。
 
この映画に込められた最大の風刺、そして警鐘だ。
 
 
 

雲龍型のポーズをする力士の埴輪・・・カワイイが好きな日本列島の人々

2021年05月22日 10時23分22秒 | ぬなかわヒスイ工房
横綱の土俵入りには、せり上がりの時に左手を挙げる雲龍型と、両手を挙げる不知火型があるが、ジンクスを担ぐ商売なのに、歴代の不知火型横綱の力士人生は短命とされるなか、あえて不知火型を選んだ横綱の土俵入りには、悲壮感が漂うようで応援したくもなる。
 
この二つの型は、幕末の雲龍と不知火なる横綱がしたことで命名されているのだが、古墳時代中期の形象埴輪「力士」が雲龍型のようなポーズをしている。
福島県立博物館展示品より
 
果たして同じ儀礼が古墳時代にあったのだろうか?
 
当時からあった型を、雲龍と不知火が見事に、あるいは洗練させて披露したから命名されたのか?
 
締め込みをしているのに、ひざ下に線があるけどなんで?
 
扇のような髪形はどうやって結ったの?被り物なの?
 
考古学に興味のない人でも、興味を持ってもらえる面白い埴輪。
 
巫女や武人の埴輪は厳しい顔つきをしているが、他の埴輪は漫画チックな笑顔に見える。
 
日本列島に住む人々はカワイイが好きなのね、昔から。
 

埴輪にみる勾玉の付け方・・・逆Cの字ではなく縦に飾っておりますぞ

2021年05月20日 07時37分33秒 | ぬなかわヒスイ工房
ヒスイ加工を始めた頃、先輩諸氏から勾玉は向かって逆Cの字に飾るのが正しいのだ言われたことがある。
 
確かに視認しやすいし、右利きには作りやすい向きではあるのだが、人物埴輪には頭と尻尾を相手に向けた縦に飾られているので、往時は横向きの勾玉を見る機会は作り手だけではなかっただろうか。
福島県立博物館に展示された勾玉を身に付けた人物埴輪
 
大正時代に出版された「出雲上代玉作遺跡の研究」には、考古学の分類として、「孔を開け始めた直径の大きい方を表とし、判別できない場合は逆Cの字を表とする」とあり、その記述が逆Cの字を表とした最初ではないかと推測している。
 
お客さんからどの向きが正しいのか?と質問されたら、以上の説明をした上で、その日の気分でしっくりする向きで結構ですヨと答えることにしている。
 
身体感覚には嘘はないのだ。
 
それにしてもだ、この埴輪の頭にのった四角い物体はなんだ?と思っていたが、韓流時代劇「チャングムの誓い」にそっくりな被り物をしている女官たちが出てきて、調べたらチャエクなる髪飾りだと判明したが、古墳時代から李朝朝鮮までずっと続いていたのだろうか?
 
チャングム役のヨンテさんもいいけど、親友で王様の側室になる役の女優さんが20代の頃の彼女に似ていてムハ~と来た・・・名前は知らないけどお元気ですかぁ( ´艸`)
 
 

なんでアイヌ民族は上長下短の弓を使わなかったのか?・・・縄文の弓

2021年05月18日 07時21分10秒 | 縄文
郡山市の大安場古墳の博物館で、縄文晩期出土の「上長下短」になった丸木弓を発見!
3,000年前のマユミ(真弓)で作られた湖南町の「山ノ神遺跡」出土品であるとのこと。縄文時代の弓の完形は、富山の桜町遺跡で観た以来の珍しい出土品。
 
日本の弓、すなわち和弓は、手に持つ部分より上が長い「上長下短」の特徴をもち、「世界に類例のない日本独自の弓」とする武具の研究図書を読んだことがあるが、そんなことはなく、私のような素人でさえラオスで観たことがある。
 
ただしラオスで観た「上長下短」の弓は、弦の中央が小さな籠編みになっていたので、矢ではなく石礫を飛ばす弾弓であるらしく、調べたら正倉院に螺鈿細工の同様な弾弓が収蔵されていることがわかった。
 
しかし「魏志倭人伝」には、倭人の弓は「上長下短」の特徴を持つことが珍奇であるニュアンスをもって記述されており、世界的に少数であることは確か。
 
樹の枝を利用するので、幹側と枝先側では密度が違うことから均等の力で弓を引くためにこの形状であるとか、片膝をついて矢を放つためであるとか、飛距離を伸ばすための長弓の振動を減ずるためとかの諸説があるが、人類学者の金関丈夫は水面下の魚を狙って獲る漁労具という民俗例を紹介している。
 
不思議なのはですねぇ、アイヌ民族の丸木弓(単材弓)が「上長下短」ではなく、上下が対称形であるということ。
 
縄文以来本州で使われてきた「上長下短」の和弓を、往古は不明ながら、なんで近代のアイヌ民族は使わなかったのか?
 
北海道方面の弓はシベリア系であり、「上長下短」の弓は本州以南で考案されたから?
 
北海道の縄文遺跡からの弓の出土例を調べてないので、これ以上は私にはわからない。
 
あぁわからない、わからない・・・調べるほどわからなくなるのが面白い( ´艸`)
 
 
 

郡山に文化はないという自嘲・・・足元のスゴイ文化

2021年05月16日 09時47分58秒 | 縄文

土器つくり経験者アルアルなのは、好きな土器の良いとこどりをすると、造形に齟齬が生まれてヘンテコな土器になってしまうこと。

現在人が作ったオリジナル縄文土器にも上手にまとめたものもあるが、お上手ですねとは思っても眼にゴツゴツと当たって写り、何かが違うと感じる。
 
つまりは実物の縄文土器は、足し算も引き算も許さない完璧なデザイン。
 
この違いは、生活実感が産み出した造形か否かなのだろうか?
 
その点、福島の大木式土器は一味違う。
福島は火焔型土器の北限だが、鶏頭冠突起(けいとうかんとっき)の上部に渦巻が施文されている大木式土器。
越後、北陸、関東の土器様式に影響を受けながら、例えば火焔型でも越後は同じ形の四つの鶏頭冠突起(けいとうかんとっき)を持つに対して、こちらでは異なる二組の突起を組み合わせたり、二つしかなかったりするので、スッキリした印象を受ける。二つの鶏頭冠突起を持つこちらは郡山市の「大安場古墳」の博物館収蔵品。
使いやすい口縁部が平ら土器でも、S字と逆S字を組合せた心憎い造形
実に見事な再構成で、これぞ造化というもの。
左の鶏頭冠を持つ土器などは一見して火焔型だが、施文は北陸系土器の影響が見て取れ、中央の紡錘形の文様は八ヶ岳周辺の「出産文土器」の雛形を彷彿させるではないか。
 
神像こそ施文されていないが、信州南部の藤内遺跡出土の「神像筒形土器」に似た雰囲気の深鉢もあった。
 
どこかオリエンタルチックな大木式土器。
 
福島の内陸部の磐梯山と猪苗代湖は、八ヶ岳と諏訪湖に対応する、見通しのいい緩やかな傾斜面を持つ地形であることに気が付いた。
 
石皿も信州に似ており、「火山の周辺に栄えた縄文文化」を濃厚に感じる。
 
尾根筋や川筋といった山岳ルートが予想外に発達していたことを知ったが、浜通りからは太平洋側の文化も入っているので、新潟には少ない古墳も豊富で装飾古墳まである。
 
郡山の人は「郡山には文化がない」と自嘲していたが、凄い文化があることを知って欲しい。