縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

このごろ流行りの予祝(よしゅく)について考える・・・けんか祭りと能登半島地震

2024年04月14日 06時59分29秒 | 糸魚川自慢
「けんか祭り」で履いた草鞋は、玄関先や柿の木にぶら下げ、去年の草鞋は田畑にいれる風習がある。
奉賛者にしてみると呪いや功徳というより、共に奔り戦った戦友をゴミとして捨てるに忍びない部分もある。災害関連ゴミとして処分される輪島漆器の販売と同じく、モノの価値はモノガタリにあるという発想の原点。
 
ここ数年、自己啓発系のひとたちが、願望が叶ったこととして断言すれば実現するのだと、民俗学用語の予祝(よしゅく)という言葉を使うようになったが、願望を断言すれば叶うというなら、能登半島地震の被災地に広めてやって欲しい。
 
全てを失った被災者を前にして、「家が再建できた!」と断言すれば自宅が再建できますよ!と言えるか?
 
「けんか祭り」には春先に体力気力の限界まで出し切り、家内安全や豊年豊作、大漁まちがい無しとする予祝のニュアンスがあるが、奉賛者の実感としては「人事を尽くして天命をまつ」といった心境になる。だから仕事で頑張れる。
これも
ジョウバ(獅子の方言で」除魔が語源であるらしい)に頭をかじられると頭がようなる。これも予祝。
 
キリスト教圏にも「神は自ら助くるものを助く」という言葉があるが、願いを叶えたかったら全身全霊をもって行動するのが本当で、言葉遊びのように予祝を使うひとに会うと、なんだかなぁと思う。
 
 
 
 

祭りが育てるモノ・・・2024年糸魚川けんか祭り

2024年04月12日 07時15分17秒 | 糸魚川自慢
今年の「けんか祭り」の禊は波が高すぎ、膝くらいまでしか海に入らなかった。
「われは海の子」を地で行くような少年時代をおくってきた氏子たちは、「盆過ぎならこのノタ(波を意味する浜言葉)でもいいけん、今日は沖にもっていかれる」と、禊の朝のヒスイ海岸の危険さを共有しているところが嬉しい。盆過ぎならいいけんとは言っても、波にグルグル巻かれるのが楽しかった少年時代の思い出を暗喩しているので、普通の人は真似しちゃダメW
 
禊のあとは三々五々と墓参りにいくが、そうしろと教わった訳ではなく、自然とそうしたくなるのが「けんか祭り」の不思議。氏子にとって神社のご祀神の名前はどうでもいいところがあって、だた「神さん」とだけ呼ぶ。つまりは明治以降の国家神道の影響をものともせず、縄文以来ともいえる祖霊信仰を色濃く残した祭りということだろう。この部分もわたしが好むところ。
寺町区の鶏爺(トリジ)
祭りで一番の名誉が鶏爺の大役で、押上区は赤い色で口をひらいて舌をだした面、寺町区は赤茶色で口を引き締めた歯嚙(シガミ)の面をしているので、阿吽を意味しているのかも知れない。
 
「けんか祭り」の間の鶏爺にはなんの権限もなく、「神さん」として祀りあげられて榊を振っているだけだし、この祭りには絶対的なリーダーがおらず氏子の総意を運営委員長くみ取り代表権をもち、神社は「天津神社春の例大祭」をうたいながらも「場所を貸しているだけ」という立場なのも面白い。
 
氏子が神社を借りて「けんか祭りという場」をつくり、そこに降りてくる祖霊たちを慰撫する祭りなのだと、わたしは実感している。
 
糸魚川けんか祭りに1万1千人 新潟
ちょっと前の「けんか祭り」の動画。
 
御輿を引っ張る「手引き」と担いで走る「白丁」は、転んだら一生の笑いもの、男として認められないというプレッシャーがのしかかってなお立候補した、勇気ある男の証し。
 
御輿の喧嘩を「ぶつけ合い」と言われるようになったのは最近のことで、昔は「競り合い」と言っていていて、ラクビーのスクラムのように御輿を「競り合う」。
 
前のほうにいると後ろから100人ちかい味方の圧力を受けることになるので、体が横を向いたりすると胸や首が圧されて呼吸困難となり内臓が破裂しそうになることもある。
 
真っ先に前にいく人をみたら、度胸と体力のある偉丈夫だと褒め称えてやって欲しい。今年は幼馴染のケンジやカズユキちゃんが頑張ってた。今年の「競り合い」はずっと御輿の後ろの担ぎ棒を担いでいて、誰かの肘があばら骨に当たった痣が何か所もできた。
 
圧力に負けて肩を抜くのは弱い男と表明するようなものだから意地でも肩を抜けないし、肋骨にヒビがはいったくらいで泣き言を言うのは男の恥辱だから、みんなケガをしても黙ってる。
 
わたしの前を担いでいた若者の首が担ぎ棒の角に圧されて苦悶の表情を浮かべた刹那、横にいた四歳年長のカズユキちゃんが「出ろっ!死ぬぞ!」と引っ張りだし「オサム頼む!」と声をかけてきた。おうとも!よくぞ男子に生まれけり!と血が沸騰した。
 
何はともあれ無事に祭りを終えた途端、年相応のヨレヨレのオッサンになったw
 
祭りで精も根も尽き果てた夜は、ひたすら眠る。1週間くらいは声は出ず、全身が重だるくてボーとした症状が続くが、「お祭りでストレス解消して明日から仕事がんばれますね!」なんて軽く言われると返す言葉もなく、お祭りイベントしか知らない人に説明はできんW
 
翌朝は部分的な筋肉痛はないが全身もれなく筋肉痛で、午前中はラジオを聞きながら祭りの余韻にひたりつつ、布団のなかでウトウトしていた。気持ちいいんだこれが。
 
祭りは郷土愛を育てると同時に「そんなことしたらバチが当たる」といったコミュニティに共有された道徳心、共同でなにごとかを成し遂げる協調性、敬老精神を育てる。これも「けんか祭り」で得た実感だ。
 
いまさら「教育勅語」を持ち出し、国家への忠誠心や愛国心を教育現場で教えるのは不自然に過ぎると思う。
 
地域の祭りを大事にしよう。参加しよう。
 
そうすれば郷土愛の延長線にある、ごくごく自然な愛国心のようなものが芽生える。そこから先は個人の選択だ。
 
 
 
 

 

 

 

 

 


糸魚川出身の画家 野坂衣織 作品展のご案内

2023年10月27日 07時51分22秒 | 糸魚川自慢
高校美術部の後輩の野坂衣織さんが上越市で作品展をするのでご案内。野坂さんは糸魚川の早川区出身。
川村翠さんは直江津出身。野坂さんが高校時代に美術の担任した縁で、絵画に開眼した新進気鋭の画家
 
絵描きにとっては失礼な質問なのだが、最初はクレーが好きなの?と聞いてしまったのは先輩後輩という関係だったからだけど、いつの間にか作品の深みがまして独自の画風を確立していた。
 
立体造形であるはずのヒスイ加工品でも奥行きと密度がない作品が多いなか、二次元表現であってさえ彼女はその壁を越えている。
 
絵を見るワタシから、絵の中にいるワタシになる不思議。こういった絵画は見飽きることがない。
 
でかい絵は飾るところがないし金もないから、絵葉書サイズの作品があればいいのだがw
 
 
 

糸魚川の子供たちに教えたい、昔のジョウバは怖かった!・・・秋祭り

2023年10月25日 07時48分52秒 | 糸魚川自慢
一の宮(天津神社・奴奈川神社)の秋祭りで、ジョウバ(除魔・獅子のこと)が向かいの保育園に乱入して、園児の頭をかじっていた。
頭をかじるのは無病息災と頭がよくなる呪いで、女性の尻をかじると安産祈願だ。口をパカパカ鳴らして歩くのは、バクチクが中国で春節の時に破裂音で魔除けをするのと同じ。
 
私の子供時代のジョウバは乱暴で、顎で頭をひっぱたれるから必死に逃げまわっていたのだが、いまはビビりつつも「かわいい~」って言われていた。
 
ジョウバに塗られたウルシと装束の麻の匂いを嗅ぐと、私の世代は祭りの祝祭モードにはいる。いい匂いだ。今の子供たちはどうなのだろう?
 
少子高齢化の人口減少で氏子も減ってきているようだ。願わくば子々孫々と祭りが継承されて欲しい。
 
春の例大祭「けんか祭り」まで半年。待ち遠しい。
 
 
 
 

笑って泣いて仏教を学べる「節談説教」が糸魚川で開催!・・・仏教エンターテーメント

2023年10月16日 07時22分14秒 | 糸魚川自慢
原石の仕入れとヒスイ加工遺跡の調査で北海道と東北を旅行していたのでご無沙汰の投稿。
 
大衆演芸の研究家でもあった俳優の小沢昭一さんが、北陸地方で発達した浄土真宗の節談説教(ふしだんせっきょう)が浪曲(浪花節)の源流のひとつではないかと著作とCDに遺しています。
檀家寺の住職にCDをお貸ししたところ、非常に面白いと糸魚川で節談説教が聴けることになりました。
折伏や説教ではなく身の回りのできごとを語り、語りがいつしか節(メロデイ)になり、誰にでもわかりやすく仏法を語る仏教エンターテーメントであり、かっては庶民の娯楽のひとつでした。
 
笑いがいつしか涙にかわり、ごく自然に敬虔な気持ちとなるのが、じつに日本の宗教らしくて佳いのです。
平日ですが入場無料・事前申し込み無しで聴くことができますので、ご興味があったら是非ともご参会ください。
 
往時の風習を再現したウケ狙いで、私と叔父がお布施を集めるザルを持って歩いて周りますが、あくまでも余興であって入場無料です。もちろんお賽銭やお布施は自由意志です。
 
 

気持ちいい手触りのモノ・・・匠さんのHERA CHAIR

2023年09月30日 08時08分49秒 | 糸魚川自慢
土偶を黒く着色する燻し焼きにつかうオガクズを工務店「匠」さんにもらいに行ったら、渡辺社長が家具部門に案内してくれた。同行者は漁師の松沢さん。
家具職人の長内さんと社長が共同開発した椅子が大評判だそうだが、座り心地やデザインだけでなく手触りが素晴らしいのだ。北欧の椅子のような毅然とした存在感ともちがって、柔らかくて温かみのある優美な曲線をもつデザイン。
 
わたしは家具をふくめた木工品が好きだから、輸入品もふくめて色々みてきたし座らせてもらってきたが、こちらの椅子に座らせてもらうと、自然にひじ掛けを撫でさすり続けてしまう。
 
立体造形物は奥行きと密度が重要で、わたしもヒスイ加工で肝にめいじていること。奥行きを感じない平面的なヒスイ製品が多いのだ。
 
そこに加えて「目に当たらない造形は触覚も心地よい」とも考えている。「当たる」とは、靴のなかに入った小石のような遺物感のことだ。
 
ヒスイの質を褒められても加工技術とは無関係だから嬉しくもないが、見飽きないとか、手触りが気持ちいいのでずっと握っていたくなるとの評価は最大級の褒め言葉。
こちらは通常の平ガンナ、刳り小刀、南京カンナ。家具工房にしては大型機械が少なく、手道具がたくさん並んでいるのが特徴。
 
 
長内さんとそんなことを話し合ったが、業種はちがっても共感できる職人が地元にいることは励み。彼女は青森の亀ヶ岡遺跡の近くの出身だそうだから、もしかしたら苗字の長内は北海道の稚内(わっかない)の内と同じく、アイヌ語の「綺麗な水が湧くところ」に由来しているのかな。
 
優美な曲面を削り出すための刃物は特注品が多い。
極小の反りカンナは彼女が台をつくったそうだ。刳り小刀は超特大で、もはや小刀ではなく脇差w
 
 

本はネット通販より街の本屋と図書館へ!・・・青海区の「小さな図書館cafe」

2023年09月28日 07時44分04秒 | 糸魚川自慢
来客から青海区の「小さな図書館cafe」を教えてもらって訪問。
経営者は元学校の校長先生だった八木夫妻で、定年退職後に実家の納屋を改装して二年目だそうだ。わたしのことは常連さんから聞いていて、「ヒスイのセンセー」と呼ばれて苦笑い。
メニューは400円均一の3種類のコーヒー(ケーキ付)のみ。懐かしの椎名誠と民俗学系の本を選んだ。
美味いコーヒーを飲み終わった頃合いにアップルティーをサービスしてくれた。
 
棚にならぶ本の中からタイトルや装丁に惹かれて手にして、未知の世界とであうことのできる図書館や本屋は、ネット通販にはない魅力であって、立派な文化拠点ですよとオーナー夫妻と話しあう。
 
気軽にネット通販で本を買っていると、そのうちに町の本屋さんがなくなってしまうから、わたしは新刊本は本屋で注文して古本だけネット通販を利用している。
二階席で若い親子連れが絵本を読み聞かせしていて、朗読する母親の声が聴こえてきて心地いい。
本に興味のなさそうな地元のばあちゃん2人組みが、方言まるだしのでかい声でお喋りしていて、活字を追うわたしにしきりに話しかけてきて、なぜか旅情を感じた。
 
つまりはこのカフェでのわたしはコーヒーを供にした知の旅人で、たった400円でトリップできる得難い場所をみつけた。( ´艸`)
 
住所は糸魚川市田海281。海まで300mくらい。土日限定の営業。ただし土曜日は午後からのみ営業。
糸魚川地方の沿岸部に典型的な砂地の畑のなかにポツンと建った一軒家。
センスのいい水色の玄関ドアと二本の旗が目印。写真の奥が国道8号線でそのまた向こうが日本海。
 
 
 

糸魚川イチオシの夕焼けポイント・・・親不知観光ホテル裏の展望台

2023年08月26日 08時25分54秒 | 糸魚川自慢

ガイドする時は日没に合わせ、時々刻々とうつりゆく天体ショーを堪能してもらっている。

ガイドのルートによって夕焼け鑑賞のポイントは様々だが、標高90mの断崖にある親不知観光ホテル裏の展望台は絶景ポイントで、案内すると誰もが「うわぁ~!」と声をあげる。

この展望台は真夏でも涼しく、春には断崖に咲いた山桜が彩を添える。
もちろん都落ちしたやんごとなき人々や、「承久の乱」の戦場であったこと、参勤交代のルートであったことなどの「ヒトと風景の物語り」も大事な要素。
運がよければイルカやUFOも目撃できるかもw
理想的には夕方5時くらいの明るい海から、日没後の残照まで二時間を見せたいのだが、親不知観光ホテルのチェックインのタイムリミットが6時半なので、空と海が真っ赤に染まる残照まで見せることができないのがちょっ残念。
 
親不知観光ホテルは昭和の匂いのする古いホテルだけど、そのぶんは宿泊料金の割に食事が豪華で、地元の海産物がわんさと出て来る。
 
 
 

糸魚川にも椰子の仲間がのシュロが自生している・・・磯部の浜港南公園

2023年07月30日 08時25分17秒 | 糸魚川自慢
素潜り初心者や子供連れを連れていくのが、糸魚川の東端の筒石漁港の西にある「磯部の浜港南公園」で、風にそよぐシュロが南国のよう。
浅い湾と防波堤に守られた遠浅の静かな砂浜で、掃除が行き届いた立派な東屋と、トイレ・シャワーが完備されている。
東側のテトラポットなら膝くらいの水深に小さなウツボやカニがいるので、泳げない人や子供でも楽しめる。素潜りが上達したら、水深3から沖まで点在する岩礁に潜ればいい。
 
意外にも糸魚川の海岸から低山まではシュロが自生していて、これは平安時代に中国南部から観賞用に持ち運ばれたものが広まったものであるらしい。もっとも「磯部の浜港南公園」のは植樹されたものだろうが。
利用する人は東屋とトイレ・シャワーを汚さないでほしい。地元の老人たちが朝晩に掃除しているのだ。
 
只で使わせてもらうのだから、砂だらけ、ゴミ放置は勘弁してほしい。
 
 
 

梅雨明け直後は海遊びのベストシーズン・・・糸魚川市弁天浜

2023年07月24日 07時58分50秒 | 糸魚川自慢
梅雨明け直後の海は透明度も海水温もたかい。クラゲもいないから、人が増えること以外はいいことづくめ。この時期は凪ぎが多いし。
人を避けるには沖にでるか、潜ればいい。
駐車場で金をとられるのが嫌なら、B&G海洋クラブに入会すれば駐車場もシャワーも無料!カヤックもヨットもSUPもあるよ。弁天浜にいらっしゃい!