縄文音楽祭なるイベントに呼ばれて淡路島までいってきたが、縄文は名ばかりの、日本中どこでもやっている普通の屋外フェスだった。予想通りだけどw
わたしの考える火起こしとは火の神を招来する神聖な儀式なのだが、主催者にとっては縄文っぽい演出の一環であったらしい。
ライブの合間の余興のように火起こしさせられ、情けないことに小さなバーベキューコンロの上で焚火にしたのだが、薪をわずかしか用意していないので、誰にかえりみられることなく淋しく立ち消えていった。火起こしの瞬間の写真をインスタにあげたかったのだろうか?そんなことのためにわたしは片道11時間もかけて淡路島に行ったのか?
火の神アペフチカムイ様、粗末に扱ってしまい申し訳ございません!ガチな縄文好きなら共通した想いだろう。
イベント終了後に早々と淡路島探検に出発。
景色はいいし、海岸におちている石はメノウや青系チャート、瓦の破片が多くてカラフル。
また珪化木を拾えたし、島の至る所に断層が露頭しているので地学好きな人にも面白い土地だ。
「盗まれるほど大人気のトイレットペーパーを売店で発売中!」など、道の駅の看板も面白味ががあっていい。
顔はめ写真にも笑ってしまう
こういった諧謔精神が、淡路島出身の高田屋嘉兵衛さんのバックボーンにあるのではないだろうか?
淡路島出身の高田屋嘉兵衛は江戸時代中期後半の偉人。
極貧から北前貿易の船主となり、函館港の整備やエトロフ島などの航路開拓をした。無位無官でありながらロシアとの外交問題を三方よしに解決した人物。
また和人から奴隷扱いされていたアイヌ民族と対等に交易をして、ロシア人からもアイヌ民族からもタイショー(大将)と尊敬された人物。
嘉兵衛さんの水平的な人間観に、たまらなく縄文の匂いを感じる。人が好きだったのだろう。
国家やヒエラルキーを超越した、開明的で現実的な人道主義者、博愛主義者が嘉兵衛さんではなかったか。淡路島の人々が本気で縄文をテーマにした音楽イベントをやりたいのなら、高田屋嘉兵衛さんをテーマにしてはどうだろうネ?
地元の人に聞いても嘉兵衛さんを知らない人がけっこういて、司馬遼太郎が「江戸時代を通じていちばん偉い人」と評した人物を知らないのはもったいないではないか。少なくとも名前だけ縄文より、内実はでると思うけどナ。