Facebookで「ブックスサカイ」閉店の投稿をみて愕然とした。まさに青天の霹靂。

本好きらしい書店員さんの選書コーナーが面白い!とSNSで推し活してたら、少しはファンが増えたみたいで「行きました!」とコメントをもらったり、ブログにはリクエストもあった矢先・・・寂しく哀しい。
書店と喫茶店は街に咲く花・・・本が売れない時代にネット通販全盛だから、覚悟はしていたものの、まさかこんなにはやくその日が来るとは。

糸魚川市は平成の大合併で人口53,000人となったが、20年経った今年は37,000人と30%も人口減して消滅危機にある。
総合病院の存続も危惧されているくらいだから致し方ないにしても、ついに糸魚川に個人経営の書店がなくなる日がくるのだ。
ホームセンターに併設されたTSUTAYA書店もあるが、いつ行っても空いているから覚悟はしている。
子供のころは「酒井書店」と看板が出ている駅前の二階建てビルで、プラモデルやゴム動力のライトプレーンもよく買ったし、通学路にあったので文房具も買った。
映画少年だった高校当時は映画コーナーも充実していて、バイトした金でオードリー・ヘップバーンとハンフリー・ボガードの写真集を買った思い出の数々。
店の場所はかわっても、行けば甘酸っぱい少年時代の記憶がよみがえってきた。

今は民俗学関連の選書コーナーを担当しているW主任に、わたしが推薦した宮本常一の著作が並ぶようになった選書コーナーを覗くのがたのしみの一つだった。

W主任が担当する民俗学関連の選書コーナーで、タイトルと装丁に惹かれて手にとったひとつが、全編が能登弁で書かれた半村良の伝奇小説「能登怪異譚」で、あんまり面白かったので、能登半島地震で全壊して仮店舗で営業している、珠洲市の「いろは書店」さんに紹介したのが昨年10月。

暮れに再訪したら「能登怪異譚」が並んでいて、入荷してもすぐに売れます!と店主は恵比須顔だった。
糸魚川の本好きの書店員の選書が、読んで心を動かされた人を介して、能登の被災地に生きるチカラをあたえているのだ。
本を通して人がつながっていくモノガタリ。
本好きの書店員はコンセルジュのようなもの。
ネット通販だと目的の本しか買わないが、数ある本の中からタイトルや装丁に惹かれて手にとり、目次や紹介文を読んで「面白そう!」と買って読み、心の糧になる機会を与えてくれるのが、書店の存在意義ではないだろうか。
哀しいけど「酒井さん、長きにわたり街に彩りを添えてくれてありがとう」と感謝を、ひと言伝えたい。
書店は粗利益率が20%という薄利多売の典型的だ。
立ち読みもそうだが、知りたいページだけ撮影する「デジタルどろぼう」は万引と同じで、そんな弱いものイジメはやめてほしい。
本は気軽にネット通販という人も覚悟しておいた方がいい。そのうちに注文して家に届くまで何日もかかるようになるし、送料だって高くなると思う。