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縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

キティーちゃんを日本のゆるキャラ代表に!・・・(続)かわいい?

2014年04月25日 20時05分55秒 | DIY・こんなモノ作った!

「かわいい」って何だろう?
お客さんから「ヒスイで可愛い感じのハート型のピンバッチを作って下さい」という注文に応えてから、「かわいい感じ」について色々考えてみた。
いまや「かわいい」は世界共通語になったそうだ。
キュートでもプリティーでもない「かわいい」って何???
そして「かわいい」の後に「って感じ」という部分にもヒミツがありそうだ。


わたしはネコ好きなので、自分なりに「かわいい」フォルムを追及していったら、キティーちゃんやジブリアニメの「魔女の宅急便」に出てくる黒猫ジジに似たピンバッチを作ってしまった。

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左から蛇紋岩、ヒスイ、ネフライト(軟玉ヒスイ)で作ったピンバッチ
かわいい???
因みに眼には漆が塗られている。

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「かわいいって感じ」のナゾは、丸みと厚みに鍵がありそうだ。
リアルな口があると、途端に能弁になって「感じ」という曖昧模糊さがなくなるようである。
文字通り無口な所に、人はあどけなさ、いたいたけ、そして「もののあはれ」を感じて、感情移入してしまうのかな?と思う。



けっしてデザインを真似した訳ではなく、「かわいいい感じ」という曖昧模糊としたイメージを具現化したらこうなったという話し。
つまりキティーちゃんのデザイナーや宮崎駿は、「かわいいって感じ」の本質を掴んでいるということだろう。


それにしてもキティーの国際的な人気たるや凄まじい。
日本の国はゆるキャラ流行りだけど、いっそのこと、キティーちゃんをゆるキャラ日本代表にしてはどうか?

キティーちゃんを日本の親善大使に任命して、反日感情の高い国に派遣するのだ。

尖閣問題だってキティーちゃんの「ヨロシクネ!」という一言で丸く収まったりして(笑)

国際法や歴史認識を理路整然と並べたてるより、「かわいい感じ」がこれからの日本のイメージ戦略なのでR!











世界初!彩色石笛・・・餃子のヒミツ

2014年04月20日 11時48分58秒 | DIY・こんなモノ作った!



アイデアが次々と湧き出てきて困っている・・・形にする時間が足りないのだ。
今回は、蛇紋岩作った御物石器型の石笛に色漆で彩色してみた。
世界初の彩色石笛である。


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赤く彩色された木の葉状の石笛は、宝貝(子安貝)を模した石笛で実際に縄文遺跡からは土器で作った宝貝が出土している。

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左がモデルにした宝貝で、沖縄の海で拾ったもの。
南の暖かい海に生息する貝でも、古くから中央アジアの砂漠地帯でも珍重されてきたまさしく宝の貝だ。


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裏側・・・宝貝にも模様のバリエーションが沢山ある。


なぜ宝貝かというと、この貝は原始時代のアジアやアフリカ、オセアニアなどで富の象徴とされてきたからだろう。

では何故、宝貝が富の象徴なのか?
ズバリそれは女性器に似ているからでR・・・恥ずかしい(笑)

原始人たちは、男性器たる縄文ファルスには旺盛な生命力、女性器には新たに生み出される生命力を感じていたらしい。
だから宝貝は
富の象徴として、各地で財産や貨幣に使われてきた歴史があるのだ。

前にも書いたが、経済に関連した漢字に貝が付くのはこのためであり、餃子は宝貝を模して子孫繁栄を願った食物なのである。

因みにインドにはサモサという餃子に似た食い物があるが、これは三角形をしており、インド文化圏では女性器の象徴だそうだ。
サモサはカレー味の潰したジャガイモをチャナ豆の粉で練った皮で包んで油で揚げた食い物で、インドではおやつや弁当として日常的に食われている。



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左の大きい彩色石笛。
これと同じ模様の土器や御物石器、土器製の笛も出土している。


渦巻き状の模様は、始まりも終りもない永遠に続く時の流れを顕しているのではないだろうか?
この模様も世界中にバリエーションがある。

朝から夜になりまた朝が来る・・・ただ同じことを繰り返しているだけなら、それは円で表現できる。

しかし時の流れを円運動に加えると、それは即ち螺旋だ。
螺旋は宇宙であり、神的存在を表現しているのではないだろうか?

私は縄文土器に施文された縄文や渦巻き文様には、そんな意味が籠められているのではないかと感じている。









ヒスイだけが糸魚川の石じゃないぜ!・・・アルカリ角閃石編

2014年04月16日 07時08分28秒 | DIY・こんなモノ作った!




鉱物好きの友人が青っぽい石を持ってきてくれた。

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同じ石なら姫川でたまに見たことはあり、青っぽい砂岩くらいに考えていたのだけど、苔土リーベック閃石らしいとのこと。

友人によると見た目は地味だけど、研磨するとピカピカになるとのことだったので縄文ファルスブラザースの仲間入りさせてみたのがこれ!

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どうでしょう?

ガンダム世代ならランバ・ラル大尉搭乗機「青い巨星」を連想しないだろうか?

知らない人のために説明しておくと、80年代に流行ったガンダムというSFアニメに登場する青く塗装された戦闘ロボットのこと(笑)

私はガンダム世代だけど小学生の時に流行ったマジンガーZのほうが好きなので、実の所ガンダムは詳しくないから突っ込まないで欲しい!

この石を拾った友人がガンダムファンで色々と教えてくれたのだ(笑)。

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アニメでは有り得ない「赤い彗星」と「青い巨星」の夢の競演!
「赤い彗星」とは同じくガンダムに出てくるシャーというライバルのロボットのこと。
最近どうよ?バチボチでんなぁ・・・なにやら相談している。


他の人に観て貰ったら、広義な意味でアルカリ角閃石といったほうが無難とのことで、とりあえずアルカリ角閃石ということにしておく。

さてこの石、確かに加工すると原石の状態とは想像もできない発色と光沢が出た。

群青色の地に白い霞模様が入り、赤い粒が散見する・・・。

あたかも宇宙空間に広がる星雲と赤い妖星の景色!

面白い石だけど異常に柔らかい部分と硬い部分が混在するために、非常に形が取りにくい石であり、加工には泣かされた。

しかし面白い石であることに変わりはない。

ヒスイだけが糸魚川の石じゃないぜ!



縄文ファルスブラザース登場・・・調子こいたぞう!

2014年04月07日 20時43分57秒 | DIY・こんなモノ作った!

縄文ファルス型の石笛の評判がいい。

誰も作ったことのない石笛だから工夫のし甲斐があるし、観た人が思わずクスリと笑ってしまうモノを作ること自体が好きなだから、調子こいてこんなモノ作ってしまった!

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どうですか?
面白いでしょ?

大きさや形のバリエーションだけではなく、蛇紋岩以外の石にも挑戦してみた。
奥の赤いのはチャート製である。

名付けて縄文ファルスブラザース!
イースター島のモアイみたいにも観えるし、ガンダムのザク軍団に観えなくもない。
してみると赤いチャート製の石笛は、シャー搭乗機の「赤い彗星」ということになる。

ガンダムファン必見!
因みに底に孔が開いているので、指人形にもなります(笑)。






ヒスイだけが糸魚川の石じゃないぜ!・・・蛇紋岩編

2014年04月03日 06時54分17秒 | DIY・こんなモノ作った!



縄文ファリシズムを石笛にデザインしたら友達に受けた。

そして悪乗りしてこんなモノ作った!

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世界初?蛇紋岩製の御物石器型石笛!!
朝日に向かって屹立する孤高の縄文ファルス!
この石笛は高さ6㎝くらいで出土品はもっと大型だけど、こんなデザインのものが多い。



御物石器の中でも男根形の出土品、石棒と呼ばれている。

ところがだ、この石笛の外見は縄文時代出土の石棒レプリカでも石笛であるという点に注目して頂きたい。

石笛ということは息を吹き込む孔が開いているということで、つまり男性器と女性器を併せ持つ両性具有になっているのである。

したがって宇宙を現しているのでR!・・・と後から理屈をつけた(笑)

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吹き口はこうなっている・・・傑作だぁ~。

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この角度だと物思いに耽けるザク(ガンダムに出てくるロボット)。



インドの辻には、赤く彩色された巨大な石製男根が立っていることがある。

シバリンガムといって、シバ神の象徴であり日本の道祖神と似た意味合いがあるのだ。

よくよく観察すると、シバリンガムの根元には茶臼の下部のような注口器状のお皿になっており、礼拝者が上からかけた水が手前に流れ落ちていくようになっている。


これはヨニといって女性器をシンボライズしたもので、シバリンガムも陰陽対になっていることが解る。

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後姿・・・腕組みをするハニワのよう・・・。



さてさて、この石笛の素材は蛇紋岩。

糸魚川の河原や海岸にゴロゴロしている珍しくも無い石だけど、縄文人にとっては優秀な磨製石器素材であり、糸魚川で磨製石器に加工されて各地に運び込まれて珍重されてきた聖なる石(?)である。

その名の通り、表面に蛇紋石の結晶がヘビのウロコ状に見える。
原石はザラザラして綺麗ではないけど、研磨するとこんなに綺麗に光ってくれる。

この石笛、縄文人なら小躍りして欲しがるだろう。

ヒスイだけが糸魚川の石じゃないぜ!







世界初?縄文ファリシズム型石笛を作った!

2014年03月28日 00時01分15秒 | DIY・こんなモノ作った!





人類は旧石器時代から今日まで、生殖器を模した造形物を作り続けてきた。

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長者ケ原遺跡考古館展示の石棒


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わたしの宝物。
藤沢市の古道具屋さんで「大昔のコケシ」として売られていた。
東京都埋蔵文化財センターの学芸員さんに鑑定して貰ったら、
箱根あたりの凝灰岩で作られた中期(五千~四千年前)の関東地方の出土品らしいとのことだ。
観察すると赤熱した跡があるので、石囲炉に置かれていたのではないかと推測される・・・つまり炉が炎を生み出す女性器と石棒が男性器の対になっていたらしい。



原始はともかく、今日までとはどういうこと???と思うことなかれ。
バベルの塔から東京スカイツリーまで、塔とは天に聳える男根である・・・といったら笑われるかな・・・・?


とにかく、どうも人類には生殖器と相似形を作ることで、新たな生命力や旺盛な生命力を享受したいという欲求があるものらしい。
そのような生殖器への憧憬思想をファリシズムという。

ファリシズムの語源は、
「膨らんでいる」というラテン語のファルス(名詞では男根)からきている・・・調べてた事ないけどそうだと思う。



もっともそれらは男根だけではなく、大きな岩の割れ目や窪み石などのような女性器をシンボライズした礼拝対象も多い。

有名な処では子安貝(別名タカラガイ)がある。

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南の海で拾った子安貝



南方産の小さな貝殻だけど、女性器に似ていることから太古より世界各地で財宝や財貨、儀礼に使用されてきた。

貨幣や財源、財宝などの経済に関する漢字に貝が付くのはこのためだ。

一説によると餃子の形状は子安貝を模しており、「交わって子を成す」という子孫繁栄を願う儀礼食で、具のひき肉は多くの子孫を意味しており、ニラやニンニクで精力旺盛になりましょう、という意味あいがあるともいう。


さてそこで私も縄文ファリシズムを作品にしたくて、石笛を作ってみたのがこれ!

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姫川薬石(石英斑岩)で作った男根型の石笛は、世界初でしょうなあ・・・。









ヒスイだけが糸魚川の石じゃないぜ!・・・泥岩

2014年03月25日 23時53分40秒 | DIY・こんなモノ作った!



泥岩というと黒系や灰色系の単色で、地味なザラついたイメージがある。

しかし下の石笛をご覧あれ。


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黒地に赤、白、ブルーグレーの斑模様が入っていて、まるで抽象画の夜桜を観るようで風流ではないか。



姫川で拾った時は泥岩にしては色艶もよく緻密で色合いが派手であったので、石の名前の判断が付きかねた

こんな時は市内のフォッサマグナミュージアムで鑑定して貰うに限る。
やっぱり泥岩とのことであった。

泥岩といっても多種多様で、硬いのも柔らかいのもある。

そこで縄文時代の御物石器をイメージした石笛に仕立ててみたのだ。

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御物石器とは実用の生活用品とは思えない用途不明の石器で、主に祭りごとに使う祭器や威信財であったろうと推測されている出土品である。


生活用品を第一の道具とし、これらを「第二の道具」と考古学界の御意見番、小林達雄先生が分類している。


通常は加工しやすい砂岩や凝灰岩製が多いようだが、糸魚川の縄文人は蛇紋岩を使ったりしている。

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裏は渋いブルーグレーの霞模様。



縄文スタイルも最近はこんなアイデアが溢れてきて、作る時間が足りなくて嬉しい悲鳴を上げている。


糸魚川の河原や海岸は、鉱物に興味を持てば宝の山だ。


ヒスイだけが糸魚川の石じゃないぜ!











かわいい???・・・直径10㎜のハート型ピンバッチ

2014年03月23日 20時53分58秒 | DIY・こんなモノ作った!






去年つくった超小型勾玉の写真を観た千葉の女性から、直径10㎜のハート型ピンバッチの注文を受けたのは、もう二ヶ月も前だ。

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どうだ参ったか!の勾玉巴。この写真を観て注文してくれたらしい。




彼女はハート型の小型ピンバッチを集めているのだそうで、ヒスイで作って欲しいとのこと。

私は縄文スタイルと銘打って誰も作ったことのない作品群を作ってきたが、どれも土俗的というか民芸品的な感じの作品ばかり。

ハートを作るとは夢にも思わなかった・・・「かわいい」って難しいのである。


直径10㎜のハートだと、不純物の多いヒスイはどんどん削れていって形になってくれないことは想像できたので、質の良い原石の入手に奔走。

質だけじゃなくて、「かわいい!」感じのヒスイじゃなきゃ駄目。


集めたヒスイから四個試作して完成したのは一個だけという難しさ。


原石を削って形にする「切削」の段階でぴったりの形と大きさだと、「研磨」の段階でドンドンドンヒスイが削れて小さくなっていったりする。
その加減が難しい。
ほんの僅かな不純物があると大きく削れて不格好になっていくし・・・。


途中で失敗しては工夫を重ねていったが、ある程度の大きさがあれば歪みも目立たないからいいのだけど、直径10㎜だともろに目立ってしまう・・・。


勾玉は平面形状がシンメトリックじゃないから、その意味で形が歪んでも味になってくれて楽なのだが、ハート型は平面形状がシンメトリックなので誤魔化しが効かなくて大変。
特にハートの頭のクビレ部分に研磨具が入らなくて困った。


完成したハートも、クビレをもっと鋭角にしたかったがこれが限界。


平面的なハートにだけはしたくなかったので、厚みも10㎜から研磨していって、最終的には7㎜のポッテリした感じに仕上げた。


艱難辛苦幾星霜、苦節二ヶ月も試行錯誤して完成したハートがこれ!

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どうですか?

かわいい???









勾玉だけがウリじゃないぜ!・・・世界初?の磨製石器ペンダント

2014年03月18日 21時03分07秒 | DIY・こんなモノ作った!



昨今のヒスイ業界では勾玉が過剰生産気味・・・と思う。
古い職人さんに聞くと、10年前より値段が安くなっているそうだ。

一昔前の糸魚川ヒスイといえば、宝石質のヒスイ原石でペンダントトップやネクタイピン、帯留めなどが作られて高値で売買されていた時代があった。


ところが宝石質のヒスイが枯渇し始めて
からは、宝石質のヒスイでなくてもそれなりに売れる勾玉が大量に作られるようになったのだと思う。

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小滝産のヒスイで作った磨製石器ペンダント。
表から見ると綺麗なヒスイだが、裏から見ると・・・

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真っ黒に見えるのは角閃石という不純物で、ヒスイに比べると柔らかくて見栄えが悪いので、こんなヒスイで勾玉を作る人はいない。
しかし石器ならかえって迫力が出るのだ。


誰でもヒスイ製品が気軽に買えるネット販売の出現によって、さらに勾玉の大量生産と販売に拍車がかけられていった・・・のだろう。
そして売れ残りの勾玉が、ネットオークションで叩売りされていく・・・。

ネット販売のサイトを観ると、恐らく中国あたりで作られた不格好な勾玉が異常な安さで売られていたりする。

もちろんぬなかわヒスイ工房でも勾玉は作るが、人と同じことしていても面白くないし、現状のヒスイ製品の売られ方、扱われ方に心が痛む。


そんな理由から、これまで誰も作ったことのない商品を開発しているが、勾玉ばかりがウリじゃないぜ!と、得意の縄文スタイルが評価されつつある。

ヒスイ以外の糸魚川産の面白い石材を使ったり、石器をアクセサリーにアレンジしたりしているが、これが面白くて仕方ないのだ。

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赤碧玉(赤玉・鉄石英)で作った磨製石器ペンダント。

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色んな色が混ざってサイケな感じが、面白い風景と思うのは私だけ?
こんな石もこれまでの勾玉の概念だと商品価値のいない駄目な石ということになるが、私は二つとない貴重な石だと思えてしまう・・・。



特に最近は石笛の他に磨製石器のペンダント作りに励んでいる。

糸魚川産の蛇紋岩類の石器は、3万年も前の旧石器時代に長野県の野尻湖のナウマン象ハンター達が珍重していた。

縄文時代に入ってからは木工用の石器として磨製石器が作られるようになり、糸魚川は国内有数の磨製石器の生産拠点となっていったようだ。
糸魚川の縄文人だって、勾玉だけが俺たちの作るものじゃないぜ!って言っている・・・と思う。

面白いことに、糸魚川産蛇紋岩類の石器が副葬品として出土しており、魔除けや威信財としての価値もあったようなのだ。

実際に実用には使えそうもない小型の磨製石器に孔が開けられている出土品もあり、アクササリーとして使用されていた可能性も推測されている。



数千年の時を経て、魔除けの石器を復活させたのである。
ご先祖も喜んでいる・・・かな?























縄文人(見習い)号誕生!・・・いざ海へ

2014年03月03日 23時57分53秒 | DIY・こんなモノ作った!




シーカヤックのハッチカバーが無かったので、中村造船さんに相談したらサービスでFRPで蓋を作って頂けた。
FRPの素地そのままだったので、この機会にシーカヤックの全塗装をすることにした。

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以前はデッキの黄色とボトムの白が劣化してみすぼらしかったのだ。



どうせ塗装するなら、海で目立つ赤系が好ましいし、縄文人(見習い)としては縄文カラーである赤・黒・白の三色に拘りたい。


塗装のことなら男気溢れる赤野塗装板金さんに相談するのが一番。
色々教えて貰って何とか完成したのがこの写真。

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船尾から見たところ。

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楕円形の蓋が中村造船さんから作って頂いたハッチカバーで、描かれているのは縄文土器によく施文されている二重反転螺旋文。
ベース色の赤は明るいオレンジレッドにして正解だった。

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船首には西洋帆船のフィギュアヘッド、あるいは中国福建省~エジプトに掛けて分布する伝統船の龍眼と同じく魔除けの意味で、縄文中期(五千~四千年前)の信州地方の土器に施文されている蛟文文を描いた。
蛟文(ミズチ)とは水の精霊のことで、海の魔除けに相応しいと思ったのだ。

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船首ハッチカバーの後ろには、台湾の海洋民族であるダーウー族(Dawu族)が好んで漁船に描く魔除けを簡易にして描いた。
この文様も手が蕨状に巻いている所なんかが、信州の縄文土器に見られる亀の文様に似ている。

彼らはタタラ(大型の舟はチヌリクランと呼ぶ)というゴンドラ型の手作り漁船で飛び魚漁をする人たちで、祖先はフィリピンのバタン諸島からやってきたと伝承されている。

民俗学や台湾国内での彼らの民族名はタオ族とされているが、これはピン韻で本来はダーウー族といい、彼らに名の由来を聞いたら「人間」という意味だと教えて貰った・・・アイヌ、イヌイット、アボリジニと同じ。

面白いことに彼らのデザインも赤・黒・白の三色で、シーカヤックに描いた二重反転螺旋やギザギザの鋸歯状文といった縄文デザインとそっくり同じ伝統文様であるということ。

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台湾本島の東に浮かぶ孤島、蘭嶼島は高校生の頃からの憧れの島で、念願かなって15年くらい前に行って撮影した大型のチヌリクラン。


日本の古代と同じで、ダーウー族も赤はベンガラ、黒は煤、白は焼いた貝殻の粉末(胡粉)から作っていたようだが、現在は油性ペンキが使われていた。

古墳時代には九州で発達した装飾古墳、奈良時代には「隼人の盾」にそっくりなじデザインが残っているが、興味深い符合だ。

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平城京跡から出土した隼人の盾(左)とレプリカ(右)
日本の美術5「まじないの世界I」より転載


海があるからこそ遠くにも人が移動できたし、文化も伝わったんだよなあ・・・海は古代からハイウエーだったんだよなあ、と実感する。

船首・船尾とコックピット両サイドには「mont-bell」のステッカー。

アウトドアウエアーの国内最大手、モンベルさんの「チャレンジ支援事業」に応募したら、ウエアーや機材類の割引をして貰ったので、せめてもの恩返しのつもり。
と言いたい所だが、傷隠しに丁度いい大きさで助かったのだ。

因みにシーカヤックに描いた文様は下書き無しのフリーハンド!
多少の歪みはあっても、大雑把な感じがいいと思う。

シーカヤックの名前も付けた。
縄文人(見習い)号!
諧謔精神があって悪くない名前だと思うけど、どうだろうか?