英語と中国語でこれまで経験し、また現在進行中の経験を日誌風に記録しておきたいと思った。
黒田清輝「読書する婦人」
これは読みたい、あるいは必読書と思うものは、時間がかかってもゆっくり精読を心がけてきた。最近では、Richard Lyman Bushman, "Joseph Smith: Rough Stone Rolling" を読んでいて、600頁近い大冊をもう少しで読了できる。中国語の本は、陳馴著「当代中国的基督教神学方法」2010年である。もちろん、こちらの方がずっと速度が遅い。(これは、著者を北京にある燕京神学院に訪ねてインタビューした時贈られたもの)。この二冊は非常に読み応えがある。よい書物に出会えて、じっくり読むことは私にとって人生の楽しみであり、至福のひと時である。
精読はそこに出てくる語彙はもちろん、構文・文法で不明な個所が残らないように、完璧な理解を目指して読み進める。私の場合、どちらかと言えば言語学的側面に神経が注がれる。しかし、これをしていると必要に迫られて速読する時に、大きな力となることを特にここ数年気付いている。論文を書いたり、ブログに投稿したり、プレゼンテーションの準備、著作活動など、何かをまとめるときに複数の資料に短時間で目を通すことが求められる。目標があり、期限があると緊張と集中力で速読の能力が格段にあがる。それも精読時の訓練が物を言うと実感している。
精読と速読をもう少し実際に即して書いてみると次のようになる。
精読「パラグラフ リーディング」 文の流れ、論旨の展開、筆者の構成に注目し、能動的な読み方ができる。
「批判的 リーディング」 命題を批判的、論理的に再検証しながら読む。
「学術的 リーディング」 上に同じ
「集中的 リーディング」 学術書など、深い内容理解が求められる。1頁づつ丁寧に読んでいく。
下線を引く、欄外に註、巻末に自前で索引を作る、重要な点、感想を別紙に書き留める。

速読(多読、粗読とも言う)
「スキャ二ング」 情報検索読み。必要な情報を素早く見つけ、そこだけを読む。
「スキミング」 飛ばし読みで、大意を把握する。
「シントピカル リーディング」 同一テーマによる複数冊の書を読み、相違点、共通点をあぶり出す。
ほかに、あるいは先に「下読み」も大事である。外側から先ず眺める、前書き、後書き、目次、書かれた意図、著者の経歴、内容をパラパラめくってみる。読む(買う、借りる)価値があるかどうか、ざっと判断するのに不可欠。もっとも貰う場合は、喜んでいただくことになる。
*用語:skimming, scanning, paragraph reading, critical reading, academic reading, syntopical reading, intensive reading, 「下読み」はpreliminary reading(?) よい訳語が見つからなかった。
| Trackback ( 0 )
|