オトコはつらいよ!? ~CNS 坂コーの独り言~

急性・重症患者看護専門看護師である坂コーの手探りなブログです。

気管内挿管

2012-06-11 13:29:20 | 循環
約3ヶ月ぶりにブログ再開です。
新年度に入り妻の仕事復帰、それにともなう家事育児への参加、病棟リーダーのオリエンテーション、看護研究…と、てんこ盛りでブログの存在すーっかり忘れてました。
6月に入り生活にもようやくゆとりが出てきたので、張り切ってブログ再開します♪

先日リーダーをやっている時、挿管が必要な患者がいました。
受け持ちに挿管になることを伝えると、「介助についたことがありません…」と言われてしまいました。
ICUで働いていれば緊急で挿管が必要になる場合はあるわけで、1年以上ICUに居るのにはっきり介助につけないと断言されちゃうと困っちゃいます(~_~;)
ということで、今回は気管挿管について復習します。

気管挿管の目的や適応、挿管困難が予想される場合や合併症は知識として看護師も持っておいた方がいいので押さえておきましょう。


では実際の場面をイメージしていきたいと思います。

挿管をすると会話は出来ないし、鎮痛・鎮静も必要になり、治療のためとはいえ家族がショックを受けることがしばしばあります。
「昨日はあんなに元気そうだったのに…。」などなど。
緊急でなければ本人はもちろん、家族にもきちんと説明をし同意を得てから行う必要があります。

次に物品を準備しましょう。
私の勤務先ではこんな感じです。
・喉頭鏡
・ブレード
・挿管チューブ
・スタイレット
・ジャクソンリース
・ジャクソンリースに付けるマスク
・カフ用シリンジ
・固定用チューブ
・キシロカインスプレー
・キシロカインジェル
・救急カート
・聴診器
・薬剤(フェンタニル、プロポフォール、マスキュラックスorエスラックス、ネオシネジン)

挿管チューブは事前にカフリークが無いようにチェック。(挿管後リークがあったら大変!!)
キシロカインスプレーを挿管チューブ内に噴射しスタイレットをセッティング。(スタイレットはチューブから飛び出しちゃダメ。スプレーの噴射はチューブが劣化するって噂はあるけど、滑りが悪いとスタイレットを抜く時にてこずる)
ブレードと喉頭鏡はセッティングして電気がつくことを確認しておく(いざ挿管って時に電池切れてたりすると最悪)
さぁ、これで準備は完了です。いよいよ挿管の手順に行きましょう。

まず、体位を整えます。
仰臥位にし少し高めのまくらを入れてsniffing position(スニッフィングポジション)をとらせます。
これは匂いを嗅ぐときのよう鼻を突き出した姿勢で、喉頭展開した時に声門部が見えやすくなります。

次は前酸素化(preoxygenation)です。
ジャクソンリースを用いて十分な酸素化を図ります。(これを前酸素化(peroxygenation)という)
これを行いつつ必要に応じ薬剤投与(鎮静・筋弛緩薬)します。
血圧が下がりすぎちゃう時にはネオシネジンなど使います。
バイタルサインには常に気を配りましょう。

クロスフィンガー法にて開口し、左手に喉頭鏡を持って患者の右口角にブレードを入れます。
舌はブレードで左側によけます。
喉頭展開は喉頭鏡のハンドルを上方前側に力を加えるようにします。(歯をテコの支点にしない。折れてしまう。)
大事なことは声門を確認すること!
唾液などの分泌物が邪魔なら吸引の必要がある。声門部が見にくい時はBURP法を試すと見やすくなります。(輪状軟骨をBackward;後方、Upward;頭側、Rightward;右側にPressure;押す方法のこと)


声門が確認できたら挿管チューブを進めていきます。
目を離すと声門を見失ってしまうから介助者が施行者の右手にチューブを渡してあげます。(向きにも注意!)
声門を通過したら施行者の「スタイレット抜いて」を合図に介助者がスタイレットを抜きます。
この時せっかく入れたチューブごと抜かないように、しっかりとチューブを持っておきましょう。
体深さは女性で21cm、男性で23cmが目安です。
最後にカフにエアーを入れて完了です。

ここまでで挿管は終了なんですけど、ちゃんとチューブが入っているか確認しなきゃいけません。
確認はまず、しっかりと胸郭が上がっているかみます。
次に聴診器で5点聴診(左右の前胸部、左右の側胸部、心窩部)をします。
片肺挿管になっていないか(左右差がある。解剖学的に右に入りやすい。)、食道挿管になってないか(心窩部でゴボゴボとした水泡音)をチェックです。
当ICUではEtCO2のモニタリングを出すのでこれで気管に入っているか確認できます。
チューブのくもりもみましょう。
大丈夫そうならテープで固定し、胸部レントゲン撮影をして最終確認です。(チューブの先端が気管分岐部の2~3cm上。気管分岐部は第4、5胸椎の高さで、前面では胸骨角(第2肋骨付着部)の高さ)
もし、ダメなら慌てずにチューブを抜いて前酸素化からやり直しましょう。



以上が大まかな手順です。
施設によっては違いがあるかと思うので先輩に確認しましょう。
何事もそうだと思いますが、成功の秘訣は準備をしっかりと行うことだと思います。

はじめでも述べましたが、挿管の適応や合併症などは押えときましょう。


久しぶりのブログは大変ですね。張り切りすぎずに細く長く継続して行きたいと思うので、応援よろしくお願いしますm(_ _)m
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2 コメント

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挿管介助 (ももじろー)
2013-06-12 16:42:11
はじめまして
看護研究のために色々検索していたらたどり着いて、ちらっとお見かけしたのでコメント残させていただきます。

私はICU計10年目の看護師です。現在主任レベルで教育やリーダーに携わっています。
ここ最近の若い看護師さんと教育に悩み、看護の質の低下にもやるせなさを感じています。

「1年以上ICUに居るのにはっきり介助につけないと断言されちゃうと困っちゃいます(~_~;)」とおっしゃっていますね。お気持ち分ります。でも、リーダーの位置づけが施設によって違うのかもしれませんが、最近ではそのように言うスタッフはザラに居るとおもいます。素直ではないでしょうか。指導や教育はしていなかったのかなと思います。見て覚えよという感じではないと思いますが、初めてする時はサポートが必要だし、事前のオリエンテーションはいかがでしょうか?教育係任せに放っていないですか?みんなでスタッフを教育する姿勢でいれば、1年以上ICUいいるのだから…のお気持ちはわかりますが、じゃあ、この1年間あなたはその人に何をしどうしてきていましたか?になるように思います。すいません。

私の所属でもそういう「知らない」とすんなり言って反省していない新人が多いので、養育に関していかがかなと思ってコメントさせていただきました。
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ももじろーさん (坂コー)
2014-01-10 16:53:53
コメントありがとうございます。
確かに、後輩ができないのは、その指導の責任がある私たちに問題があります。
インストラクションの基本的な事を日々の忙しさから忘れがちでした。
またお気づきの事があればご指摘ください!
これからもよろしくお願いします。
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