釋守成の転居物語(旧タイトル・GONTAの東京散歩)

またまた転居を目論んでいます。
5年間で5回の転居。
6回目の転居の経緯を書いていきます。

麻布と花菖蒲

2013年06月08日 12時36分27秒 | お散歩日記/東京地名の話
六月に見頃を迎える花菖蒲は、自然界に存在するノハナショウブを品種改良してできた花です。

だから自然界には存在しません。

その花菖蒲の故郷といってもいいのが麻布なのです。

 
今の中国大使館の東側,旧麻布櫻田町(今の元麻布3丁目)に徳川家康の異母弟松平(久松)定勝の子孫で2000石の旗本の屋敷がありました。

18世紀半ば過ぎから幕末にその旗本家の主になったのが松平定朝です。

彼は子供の頃から草花に親しみ、特に花菖蒲の改良をこの櫻田町の屋敷で60年間も続けたのです。

彼は自らを「菖翁」と名乗ったほど花菖蒲好きだったのです。作り出した花の種類は300種。

そのいくつかの品種は現在でも見ることができ、彼の死後、江戸の堀切や肥後熊本などで、その品種が受け継がれ、また改良され、数多くの新しい品種が作り出されています。

いま花菖蒲園で見られる花のほとんどが彼が作った花の子孫であると言っても過言ではないのです。

屋敷のあった場所は、今は新しい低層マンションになっていますが、周りを崖に囲まれた袋状の低地で、いかにも花菖蒲の咲く田が広がっていたことを想像させる場所です。

 このように花菖蒲が作り出された場所であるにもかかわらず、今まであまり人々に知られることがありませんでした。

花菖蒲は港区の花にも選ばれませんでした。(明治神宮のある渋谷区と堀切菖蒲園のある葛飾区は区の花です。)

花菖蒲を見るたびに、麻布でできたんだと自慢したくなります。

みなさんも梅雨に煙る花菖蒲を見たら麻布の花だと思い出してください。



原種の「ノハナショウブ(野花菖蒲)」



松平菖翁が作り出して今でも存在する「宇宙(おおぞら)」

画像はどちらも堀切菖蒲園で今年撮影しました。


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