国立劇場に前進座公演「切られお富 処女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなのよこぐし)」を観にいきました。(18日)
この作品は、「与話情浮名横櫛」俗にいう「切られ与三郎」の書替え狂言で、作者は、河竹黙阿弥です。
切られたのが与三郎ではなく、お富であるという趣向で、強請りに行くのもお富です。
木更津で見初めあったお富と与三郎が再会、しかしそのときお富は赤間源左衛門という絹問屋を装った盗賊の妾になっていたのです。
二人の密会がばれて、お富はなぶり殺しされそうになりますが、お富に思いを寄せる赤間の子分の蝙蝠安に救い出されます。
お富と与三郎はその後再会し、お富の父との主人が与三郎の親であることがわかり、主家のために金に困っている与三郎のために、安をだまして、堅気の女郎屋をやっている赤間の店へ強請りに行きます。
お富は強請りでせしめた金を奪い、安を殺したところで大団円。(芝居はここまで)
実は、与三郎とお富は実の兄妹で、畜生道に落ちたことで二人自害するのです。
「悪婆(あくば)」といわれる役柄で、お婆さんではありませんが、伝法な女が啖呵を切るというところに見せ場があり、強請りの場は見ごたえがあります。
前進座では31年前、1979年吉祥寺の劇場ができる前の劇団の稽古場を小劇場にした「前進座小劇場」で五世河原崎国太郎のお富、六世嵐芳三郎の与三郎、市川祥之助の蝙蝠安、村田吉次郎の赤間で初演され、翌年1980年、国立小劇場で再演されています。
再演時には、赤間を三世中村翫右衛門が演じています。
その後数年再演されましたが、今回は25年ぶりの上演ということです。
前回の国立劇場公演当時、私は前進座の演出部に在籍していました。
ですから今回は非常に懐かしく拝見しました。
お客様もたくさん入っていましたが、前進座の歌舞伎にはなかなか大向うの声(○○屋!!という掛け声)がかかりません。
知り合いの座員は声がかからないことを心配して、私に声を掛けて欲しいと頼んできました。
実は大向うの経験は一度もありませんでした。
長く歌舞伎を見ていますから、掛け声の間合いも多少はわかります。
でもこの芝居自体見るのも30年ぶり、どきどきしながら初大向うをした次第です。
でも拝見していくうちに、若いときの記憶は確かで、内容や台詞まで良く覚えていることに驚きました。
内容がわかっていれば声は掛けやすいですね。
ここぞという場所で何回か声を掛けさせていただきました。
芝居の邪魔にならなかったかな。
今回は25年ぶりの再演で、お富を六代目國太郎(五世の孫で六世芳三郎の長男)、与三郎を七代目芳三郎(五世の孫で六世芳三郎の次男)、赤間源左衛門を中村梅之助(三世翫右衛門の子)とそれぞれの孫や子息が演じています。
久々に前進座らしくもあり、わかりやすい楽しい芝居を見せていただきました。
國太郎さんは先代の面影があっていいですね。特に後半の悪婆は見ものです。
小悪党の蝙蝠安は藤川矢之助さん、非常に重要な役を自然に演じられていて、可笑しみもあり非常に良かったです。そいいえば以前蝙蝠安を演じられていた市川祥之助さんに楽屋でお目にかかりました。お元気で何よりです。
梅之助さんの赤間源左衛門は風格があり立派でした。翫右衛門さんの鷹揚さより、凄みがありましたね。
舟穂幸十郎の嵐圭史さん、すっとした立ち姿がいいです。梅之助さんとの二人はやはり絵になります。
充実した時間をすごしました。
ありがとうございました。
これからも前進座歌舞伎が続きますように。
この作品は、「与話情浮名横櫛」俗にいう「切られ与三郎」の書替え狂言で、作者は、河竹黙阿弥です。
切られたのが与三郎ではなく、お富であるという趣向で、強請りに行くのもお富です。
木更津で見初めあったお富と与三郎が再会、しかしそのときお富は赤間源左衛門という絹問屋を装った盗賊の妾になっていたのです。
二人の密会がばれて、お富はなぶり殺しされそうになりますが、お富に思いを寄せる赤間の子分の蝙蝠安に救い出されます。
お富と与三郎はその後再会し、お富の父との主人が与三郎の親であることがわかり、主家のために金に困っている与三郎のために、安をだまして、堅気の女郎屋をやっている赤間の店へ強請りに行きます。
お富は強請りでせしめた金を奪い、安を殺したところで大団円。(芝居はここまで)
実は、与三郎とお富は実の兄妹で、畜生道に落ちたことで二人自害するのです。
「悪婆(あくば)」といわれる役柄で、お婆さんではありませんが、伝法な女が啖呵を切るというところに見せ場があり、強請りの場は見ごたえがあります。
前進座では31年前、1979年吉祥寺の劇場ができる前の劇団の稽古場を小劇場にした「前進座小劇場」で五世河原崎国太郎のお富、六世嵐芳三郎の与三郎、市川祥之助の蝙蝠安、村田吉次郎の赤間で初演され、翌年1980年、国立小劇場で再演されています。
再演時には、赤間を三世中村翫右衛門が演じています。
その後数年再演されましたが、今回は25年ぶりの上演ということです。
前回の国立劇場公演当時、私は前進座の演出部に在籍していました。
ですから今回は非常に懐かしく拝見しました。
お客様もたくさん入っていましたが、前進座の歌舞伎にはなかなか大向うの声(○○屋!!という掛け声)がかかりません。
知り合いの座員は声がかからないことを心配して、私に声を掛けて欲しいと頼んできました。
実は大向うの経験は一度もありませんでした。
長く歌舞伎を見ていますから、掛け声の間合いも多少はわかります。
でもこの芝居自体見るのも30年ぶり、どきどきしながら初大向うをした次第です。
でも拝見していくうちに、若いときの記憶は確かで、内容や台詞まで良く覚えていることに驚きました。
内容がわかっていれば声は掛けやすいですね。
ここぞという場所で何回か声を掛けさせていただきました。
芝居の邪魔にならなかったかな。
今回は25年ぶりの再演で、お富を六代目國太郎(五世の孫で六世芳三郎の長男)、与三郎を七代目芳三郎(五世の孫で六世芳三郎の次男)、赤間源左衛門を中村梅之助(三世翫右衛門の子)とそれぞれの孫や子息が演じています。
久々に前進座らしくもあり、わかりやすい楽しい芝居を見せていただきました。
國太郎さんは先代の面影があっていいですね。特に後半の悪婆は見ものです。
小悪党の蝙蝠安は藤川矢之助さん、非常に重要な役を自然に演じられていて、可笑しみもあり非常に良かったです。そいいえば以前蝙蝠安を演じられていた市川祥之助さんに楽屋でお目にかかりました。お元気で何よりです。
梅之助さんの赤間源左衛門は風格があり立派でした。翫右衛門さんの鷹揚さより、凄みがありましたね。
舟穂幸十郎の嵐圭史さん、すっとした立ち姿がいいです。梅之助さんとの二人はやはり絵になります。
充実した時間をすごしました。
ありがとうございました。
これからも前進座歌舞伎が続きますように。