斎藤茂吉・愛の手紙によせて 永井ふさ子著
齋藤茂吉と妻輝子。じつに大変な夫婦である。前項でみたように輝子はちょっと尋常じゃなかった。
同様にいっぽうの茂吉もどうにも埒外なところがある。
茂吉は輝子に別居を命じる。さらに反省を求め、輝子を郷里上山の弟が経営する旅館「山城屋」に預ける。 そして茂吉は心痛を紛らわせるように人麿研究に邁進する。 しかし心に開いた穴は埋められない。 その折、茂吉は若く美しい女性と声を交わす。永井ふさ子である。 子規と遠縁に当たる。アララギに入会したてで、歌会への参加は初めてだったが、子規との縁で話が弾んだらしい。 ときに茂吉五十二歳、ふさ子二十四歳。 それから二度ばかり会ううち、ふさ子は茂吉の家庭事情を知り、同情がやがて恋情へとうつろってゆくのを感じつつ、その年の暮れ松山へ帰る。日置かずに手紙が届く。
輝子のスキャンダルは茂吉にとってショックだった。
スキャンダル事件の翌九年九月、正岡子規三十三回忌歌会が向島百花園で催された。
明治四十三年、ふさ子は愛媛県松山市に医院の四女として生まれる。
光放つ神に守られもろともに あはれひとつの息を息づく
斎藤茂吉が上の句、永井ふさ子が下の句
![永井ふさ子 永井ふさ子](http://d.hatena.ne.jp/images/diary/r/rensan/2008-03-20.jpg)
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