(21) 「蝦夷・蝦夷地・アイヌ」の描き方のちがい -5-
ⅲ 古代 (縄文・弥生時代~平安時代終わりごろ) -3-
■まとめと考察
1 記事量(古代) ~”かなりのちがい”の理由(推測)~ ※評価はしない。
相対的に記事量が多いのは、東京書籍、帝国書院、教育出版、日本文教、学び舎の5社。
このかなりのちがいは、
・第1には、各社の編集部、あるいは”有力執筆者”などの、「蝦夷・アイヌ」に関する歴史的価値観(重みづけ)のちがいに因るものと思われる。
・第2には、いわゆる「マイノリティ」や、「社会的弱者」、「先住民族」、「少数民族」などについての考え方のちがいに因るかもしれない。
・第3には、第2に関しての、”政治的立場のちがい”に因るものかもしれない。
※記事量の傾向が、「歴史的被差別民」や、「朝鮮」・「在日朝鮮人」、「琉球(・沖縄)」などの、いわゆる「マイノリティ」に関する傾向ととても似ている。
2 「朝廷」と「蝦夷(えみし)」の関係についての描き方
帝国書院を除いて、7社で使われている「用語」が、微妙にちがうが、編集方針のちがいが反映しているのだろう。
●古代の歴史事象に、西洋:近代以後に生じた「差別」という用語(概念)を使うのは、「歴史書」としてはまったく不適切。→ × 帝国書院。
※帝国書院本の 「第3章 これからの日本と世界 (p256-263) 」 の冒頭で、わざわざコラムを作り、「人権 日本における先住民族」という題で、「・・・2008年、アイヌの人々を先住民族とすることを求める国会決議がなされました。」と書いてある。
したがって、おそらく、帝国書院はその編集方針の一つに、(秘密裏に?) 《国策へのコミットメント(=積極的関与)を行う。》 という項目をもっているのだろう。だから、上記の”勇み足”になってしまったのだろう。
ちなみに日本政府の国策(見解)は、「アイヌは少数民族だ」というもの。
→参照
・<「先住民族の定義及びアイヌ民族の先住民族としての権利確立に向けた政府の取り組みに関する第三回質問主意書」>
・<「衆議院議員鈴木宗男君提出先住民族の定義及びアイヌ民族の先住民族としての権利確立に向けた政府の取り組みに関する第三回質問に対する答弁書」>
※国会も国際政治的には勇み足(あるいは勉強不足)なのかも…
最近は、《中共やロシアなどの「非民主主義国家」を除けば、「人権」についての考え方は時々刻々と”尊重”の方に変化している(ように見える)。その流れを単純に未来に展開すると、ただちに「カネ」の問題が生じる。
例えば、オーストラリアの「アボリジニ問題」、米国の「先住民族(旧称:インディアン)問題」・・・「先住民族の権利」が完全に認められると、おそらく「奪われた土地・命」などへの賠償責任(義務)が生じるのだろう。
実は、日本においてもすでに諸問題がおきている。<「ウィキペデア:北海道アイヌ協会」>
→下記のブログ記事(月刊誌「Will 2012.8月号に掲載)は、《実名あるいは公表されている作家名》で書かれているようなので、それなりに責任感をもった方の記事と判断して、参考としてリンクする。真偽は読者各自で判断してください。
<http://www.geocities.jp/windows_user2009/backward_ainu01.htm>
なお、公平のために → <北海道アイヌ協会のホームページ>も紹介する。
※協会は《国会決議と官房長官談話により、「先住民族」と認められた》 と主張しているが、日本政府は認めていない。
「6月6日には、衆参両院の全会一致で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」がなされた(ただし、「求める決議」で「認める決議」ではない)。」<ウィキペデア:アイヌ>より引用。
3 「アイヌ」などへの言及 ※評価はしない。
帝国書院と学び舎が言及しており、帝国書院はアイヌの由来をかなりくわしく、正確に紹介していると思う。
~次回から「中世」~