北沢秋『ふたり天下』(河出書房新社)を読む。
関ヶ原の戦いから7年後、
黒田長政と結城秀康が天下をめざす物語。
名軍師・黒田如水の息子として、
関ヶ原の戦いでの家康勝利に貢献した黒田長政。
家康の次男として生まれ、武将としての器量に恵まれながらも、
家康に疎まれ続けた結城秀康。
そして、天才的な用兵を誇りながらも、関ヶ原の戦いで領地を失い、
秀忠に仕えていた立花宗茂。
歴史好きには知られているエピソードをふんだんに交えながら、
天下取りへのプロジェクトが着々と進行していきます。
東国を支配する徳川家と、西国を支配する豊臣家の「二重公儀体制」。
家康が建前として尊重せざるを得なかった「二重公儀体制」を逆手に取った
長政と秀康の徳川打倒計画が成功するか否か。
あまりにも話がスムースに展開するので、
ご都合主義のような気がしないわけでもありませんが。
史実では結城秀康は関ヶ原から7年後に病死しているので、
仮想歴史小説のような展開にはなりません。
秀康も自身の余命が二三年であることを承知しており、
長政の天下取りのシナリオも、それを踏まえています。
歴史の裏側でありえたかもしれない「if」のシナリオ。
長編ながらもスラスラと読むことができます。
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