社民党 京都府連合 野崎靖仁 副主席語録
社会民主党 中央規律委員 野崎靖仁、55歳。
日々の思いを綴ります。
 



冲方丁『光圀伝』(角川書店)を読む。



冲方丁といえば『蒼穹のファフナー』くらいしか知らなかったのですが、
映画化された『天地明察』の作者だったのですね…

ちなみに『天地明察』の主人公・安井算哲も登場しています。

さて、『光圀伝』というタイトルからわかるように、
水戸徳川家の当主だった「水戸黄門」こと徳川光圀が主人公です。

同腹の兄を差し置いて水戸徳川家の世継ぎとなった光國。
鬱屈した思いを放蕩や学問にぶつける光國。

全体の3分の2が水戸藩主になる前の話。
青年光國が熱さを失うことなく成長を遂げる教養小説の趣があります。

冒頭、家臣の藤井紋太夫を光圀自ら刺殺する場面で始まりますが、
若き日に無宿人を斬り、藩主になってからも罪人を斬首するという
文人のイメージとは別の殺伐とした側面も描かれています。

時代劇の「水戸黄門」のイメージしかない人には衝撃でしょうが、
史実としての徳川光圀に関する知識があれば
新鮮味というよりも「上手にエンタメに仕上げたな」という印象です。

徳川光圀を描いた小説としては村上元三『水戸黄門』がありますが、
『水戸黄門』の大河小説的な悠々たる流れと比べると、
『光圀伝』は劇画的といってもよいでしょう。
(ライトノベルといってもいいのですが)

「名君」としての光圀を学ぶには物足りないでしょうが、
苦悩を抱きながら熱く生きた男・光圀のキャラに感情移入できれば
最後まで面白く読み通すことができるはずです。

なかなか面白い時代小説でした。

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